【書評】「純粋さ」ゆえの「異常さ」――『とんこつQ&A』
ほのぼのとした表題。白を基調にしたポップな装丁。その牧歌的な印象に引きずられ、ハートフルな物語を期待して読み進めれば、きっと痛い目を見ることだろう。本書に収録されているのは、いずれも不気味で背筋が寒くなる作品ばかりだから。
表題作『とんこつQ&A』は「とんこつ」という名前のラーメン屋が舞台。店主である「大将」と大将の息子(「ぼっちゃん」)の2人が切り盛りする店に、ある日アルバイトを志願する「わたし」が訪れる。お客と満足にコミュニケーションが取れないわたしは、『Q&A』と