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プロポーズ

結婚はしばらく先になるだろうなと諦めていたのに、突然その日はやってきた。約8年付き合っている彼が前触れもなくプロポーズしてくれたのだ。

諦めていたというか、ここ1〜2年、結婚欲はまるでなかった。仕事もまぁまぁ順調で、今はキャリアに重きを置こうと決めていた。今後彼と話し合って、結果的に別れを選択する道もあるかもしれないとも考えていた。

プロポーズしてもらって感じたことは、やっぱり私は彼と結婚したかったのだということ。
仕事で嫌なことがあって、帰り道泣きそうになりながら帰宅したあの日。玄関を開けると、内階段の両サイドに一段ずつろうそくが置かれていて、導かれるようにリビングに向かうと壁がバルーンで装飾されていて、バラの花束を持ったスーツの彼が出てきたあの時。この人は、私の気持ちが沈んでいてもこうやって幸せをくれるんだ、これからずっとそれが確約されるんだって、涙が溢れた。

プレゼントしてくれたバラ33本の意味も教えてくれて、歳をとっていつか死という別れがきても、生まれ変わってまた愛してくれるのなら何も怖くないって思えた。

感動して涙が止まらない状態のまま、「なんで今日プロポーズしてくれたの?いい夫婦の日だから?」って聞いたら、「え、今日いい夫婦の日だったんだ、知らなかった(笑)」っていつも通り予想外の発言をしてくるあたりも面白くて。私のいろんな感情を引き出してくれるエンターテイナーなところもやっぱり好きだと思った。

プロポーズのことを思い出すたびにいまだに涙が溢れてきて、その度に心が満たされて、しばらく余韻に浸れそうである。
年月が経てばこのときめきも薄れるのだろうか。
薄れるくらい永く一緒にいられたら、それはそれで本望かもしれない。

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