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発想を成果物にまで落とし込むことがクリエイティブだ。【THE CREATIVE ACADEMY #5】


5月20日、THE CREATIVE ACADEMYの第5回講義。

canaria・徳田祐司さんの「デザイン」の講義だった。

THE CREATIVE ACADEMYとは、The Breakthrough Company GOが開催するクリエイティブディレクターの養成講座である。詳しくはこちら。


徳田さんはいろはすやFLOWFUSHIなど、私たちが日常生活で使っているブランドのデザインをされている。前回までは言葉、今回はデザインがテーマという点で、どんなお話が聞けるか非常に楽しみだった。

講義のテーマは「デザインの可能性」だった。デザインをうまく活用できていない人が多い、だからデザイナー以外の人にもデザインをうまく使って欲しいと、という徳田さんの熱い想いから講義がスタートした。


【デザインとは?】

初めにデザインとは何か、というお話からスタートである。徳田さんの答えは、「コンセプトを具現化すること」、だった。世の中の人工物はほぼデザインされている。人が作るものには、目的がある。目論みを立てる=コンセプトからスタートし、ビジネス、パッケージになることがデザインである、と定義された。

その中で、「グラフィックデザイン=審美性をもった視覚表現」であるとされた。もっと簡単に言うと、特徴や見えないものをパッと魅せること。音楽・言葉よりももっと早いスピードで認識させる力がある。現代においてグラフィックデザインは伝達させるツールとして大きな武器になると言える。


デザイナーの仕事とは、デザインを具現化させるまでの過程まで入っている。普段見えているグラフィックは表層でしかなく、デザインというものは最初の計画・調査まで全てを含むということが考えられる。


【発想とクリエイティブは違う】

課題を見た徳田さんから、「こうなったらいいな」という発想はあったが、成果物にまで落とし込めていないというお話があった。発想とクリエイティブが混在している。思いつきに留まらず、そのさきの唯一無二の表現を作るところまでが「クリエイティブ」である。成果物にまで持ち上げられた課題が少なかった、とされていた。

正直、ここで「あ、私できてないな…」となった。発想に終わっていたんじゃないか。考えだけ書いてそれで終了してしまっていたのかもしれない。(そして事実そうだった)

どのように仕立てて、どのように作るか。徳田さんは「原作と演出」と分けるとクリエイティブが作りやすいと説明された。原作とは思いつかないぶっ飛んだコアアイデア、演出とは表現スタイル。音楽でいうと作曲家の楽譜が原作、指揮者が演出。指揮者によって表現は大きく変わる。つまり演出とは、クリエイティブディレクターの個性を出すことである。


【デザインの4つの力】

デザインは、4つの才能・力に分けて行う。4つの力を使って、人の目に届いて、気づきを与えることである。

①未来を想像する力
②シンプルに整理する力
③魅力と価値を見つける力
④美しい形をつくる力


【1:未来を想像する力】

こうなったらいいな!と未来がよくなることを願って、ブランドのゴールを思い描く。

ブレードランナーは地球がどうなっているといいかといったあらゆるシチュエーション・世界観を考えた。未来を考え、今を作ることが重要である。未来を考えビジュアル化することが大事であるとされた。

【2:シンプルに整理する力】

情報の断捨離をすることで、要件をあぶり出す

企画などを考えていると、いろんなしがらみが起こり、必要なものがわからなくなってしまう。まず何をすべきかという条件・思いを整理し、情報の断捨離を行うことで、大切なものを見抜くことができる。
また、断捨離はものを断絶することではなく、大切なものを向き合うことである。ミニマリストといった方達に冷徹な偏見があったが、残ったものを大切にできる、という価値観は非常に素敵だと感じた。


【3:魅力と価値を見つける力】

長所・短所どちらも際立つ特徴から、他にはない価値=魅力に変えていく

デザイナーは魅力を引き出すことが求められる。長野県の阿智村は「日本一暗い村」と言う短所を、「日本一星空が綺麗な村」という価値転換を行うことで観光客が沢山訪れるようになった。他にはない価値をいかに見つけることができるかがデザイナーにとって重要であると言われていた。

「価値の発見」については、言葉の講義でも言及されていた。クリエイティブとは、いかにその魅力を引き出すこと、そのために価値観を転換させる力が求められると強く感じた。


【4:美しい形をつくる力】

心に届く共感を引き出す形をつくる

一瞬にして情報を伝達するために、美しい造形にする。これはデザインに詳しくない人でもわかることだが、一瞬で伝えることが出来ることはデザインならではの力であると言える。


【ブランディングデザインとは?】

経営・事業・サービス&製品を、
審美性をもって包括的、
効果的に伝えること。

いろんな形で伝えていくことがブランディングデザインである。ブランディングとはブランド醸成するための継続的な計画と実行であり、育成し続ける必要がある。お客様の心の中に生まれる信頼・憧れがブランドである。


【デザインは作るではなく、伝える】

デザインは作る、ではなく伝えるといったことが重要視されている。しかし、日本では「イイものは伝わるはず問題」があると徳田さんは述べた。ここからは、徳田さんの仕事=いろはすが売れるまでの話になった。

いろはすはトレンドから外れていた飲料水だった。他の飲料水は「大自然から水をいただく」という特徴を伝えて訴求されていた。その一方、いろはすは採取地が6箇所あるため大自然などをアピールすることができなかった。しかし、ミネラルウォーターは自給自足できるのに海外から大きなエネルギーを使って輸入しているのか、といった疑問が浮かんだ。そのため、大自然を守らなければならないのではないか、といった「水を飲むことで環境への考え方を持つ」というアイデアが生まれた。

いろはすのボトルは原油使用量を半分にしたものだった、といったことがひ弱で売れないといったネガティブなイメージがあった。しかし、この特徴を自然環境の負担を抑えると捉えて訴求した。ひ弱なパッケージは誰でも簡単に楽しく絞ることができる、といった演出を行い、最も売れた水へと進化を遂げた。また、そのラベルのデザインの”意味”を教えていただいた。いろはすのロゴが水という字、風車をモチーフにされている=扇風を巻き起こすということを示している。いろはすが売れるようになるまでの苦悩・過程、そして改善の話を聞いて、納得のロゴだと感じた。


また、LINEASTORIAというウィッグの会社の事例では、新しいユーザーにも合うようにブランドの転換を行なった話が印象的だった。ファッションと医療という、一見真逆の需要から「なりたい自分になれる装置・道具」と位置づけ、ロゴデザインにも反映。ロゴに込められている、Lを重ねてキラキラ=なりたい自分になれるという概念が具現化されているデザインには感動した。モノグラムにもできるように、といったところまで設計意図に反映されていることがとても素晴らしいと感じた。

女性なら知らない人はほとんどいないFLOWFUSHIは、「プレミアムプチプラ」という新たな価値観を添えて、少し高いプチプラとして人気である。DiorやCHANELの横に並んでも負けないブランド、という意味が込められたロゴは非常に素敵だった。


デザインとは、思いつきでできるものではなく、こういった苦悩から積み重なった過程があり、論理的に設計がなされている。デザインを使いこなすクリエイティブディレクターになれたら、もっと世界が広がるのではないかと感じた。

【課題の反省】

課題は、今徳田さんが取り組まれているSPACEPORT CITYをワクワクさせるアイデアといったものだった。そして、その中でさらにロゴを作成するといった難しいミッションがあった。しかし、上位の方々はロゴをかなり意味を込めて作られていると感じた。

私は自分の発想をクリエイティブにできなかった。それは、ロゴだけでなく企画書全体に言えることだったと思う。また、企画書に落とし込む段階で「これを実現させてやるんだ」といった気概が上位の方と比較すると負けていると感じた。発想を実現させるためのアイデアを詳細まで考える力、端的に企画書にまとめる力、そしてビジュアルを効果的に使って考える力が足りていないと痛感した。


もっと課題に対して様々な想像を掻き立てて、SPACEPORTや未来についての「あるべき姿」を考える必要性、そしてそれを表現する力がまだまだ不足している。そして、課題をもっと突き詰める熱量も。まだまだ伸び代があると信じて、今後の課題での逆襲を狙っていく。そう誓った回だった。

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