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非エンジニアがエンジニア採用をする時に大事にしていた3つのこと

[なんの記事?]
会社非公式カレンダー NSSOL Advent Calendar 2020 4日目用の記事。
No ITの採用担当がエンジニア採用をする中での気づきを振り返りました。

普段は、社内向け広報/コミュニケーションを担当しています。広報の話を書こうかなと思いましたが、異動したばかりでなかなか考えもまとまっておらず。昔取った杵柄、ということで今年の8月まで担当していたエンジニア採用(※)についての話を書こうと思います。

なお、本記事内の「エンジニア」とは職種のことではなく、性格・気質を指す言葉として使用しています。
(使用例:エンジニア文化、エンジニアが会社員やってる) 

1 | 仕事紹介/この記事は誰に宛てて書いているか

元所属は新卒採用を担当するグループだったので、私が担当していた「エンジニア採用」とは、主に大学生/大学院生のうち、「エンジニア/データサイエンティスト/研究開発」などの職種を軸に、業界を問わず就職活動をしている方をターゲットとした業務でした。具体的には自社の研究開発職への初任配属を希望する(しそう)な学生に向けた採用活動です。

そして本記事は、プログラミング全くの未経験の状態で「君、エンジニア採用やってね!」と言われてしまった、IT超初心者 兼 エンジニア採用担当の人たちと苦労をわかち合いたくて書いています。

なので、エンジニア採用含む全採用業務をまるっと担うことになった人、また、大手IT企業の「営業・事務職/技術職」の応募職種を見て(人事とか財務とか興味あるな、、)と思って入社したらエンジニア採用を担当することになった人、そんな人を読んでくださる方としてイメージしています。

なお私自身、学生時代は社会心理学の研究室でエスノグラフィーの手法を用いた研究をしており、全くと言っていいほどNoIT。かろうじて教養クラスで統計学の勉強をし、レポートでエクセルの簡単な関数(sumとかifとか)を使った、という程度のスタートラインでした。
入社・配属当初の基本的なITスペックは以下の通りで、いかにもな「The★初心者」です。

・入社後の研修ではじめてHelloworldする。
・AIと機械学習と深層学習って何が違うの?と無邪気に質問し同期エンジニアをフリーズさせる。
・クラウドの由来は雲だと思っていた。

そんな状態でも、採用活動は会社の生命線なので「できない」と泣き言をいうわけにはいきません。

どんどん前置きが長くなってしまいましたが、
そんな私がエンジニア採用をするにあたって、常に頭に置いていたのは以下3つのポイントでした。

2 | 非エンジニアがエンジニア採用をする時大事にしていた3つのこと

1 . エンジニアにとって技術はスキルではなくアイデンティティ
2 . 会社全体のチーム戦に持ち込むこと
3 . 技術以外のあらゆる価値観を理解する努力を惜しまないこと

 2.1 | エンジニアにとって技術はスキルではなくアイデンティティ

仕事の楽しみって「やってみてわかる」ことって多いと思います。

かくいう私も「人事やりたい!」と入社当時から主張していましたが、仕事の面白さやその役割を担うことの誇りは、はたらく中で育まれてきました。

けれども、エンジニアを志す学生の多くは、社会人になるずっと前から、新たな技術を学び、試しに動く何かを作り、知見を発信しています。息を吸うように技術に触れており、それが生活の一部になっています。

こうした経験に裏打ちされた「エンジニアとして働きたい」という想いは、
私がかつて持っていた「人事をやりたい」という未経験者の好奇心とは異質なものです。
彼らは就職する前からエンジニアであり、就職した後もエンジニアであろうとしているにすぎません。

▼エンジニアが持つ技術への想いには全力のリスペクトを

そして優れたエンジニアであるほど、特に自らが専門とする技術については深い想い入れを持っています。なんていうか、愛が深い。彼らは技術を愛しすぎてる。あまりにも自然に。

むしろ技術の方が彼ら自身に溶け込み、彼らの一部になっています。アイデンティティに近いものじゃないかな、と思ったり。

だから、技術の話を聞くときは、内面のかなり深い部分、価値観の話を聞くのと同じくらいの配慮が必要だと思っています。
(たとえ知識の面から一ミリも言っていることがわからなくても)「理解不能」と思考停止だけは絶対にしない。
それは「あなた自身が理解不能」と伝えているに等しいからです。

たとえIT超初心者でも「理解したい」という好奇心は持つことができます。技術を知りたい、と伝えることは、あなた自身を知りたい、という採用担当としてのメッセージになります(そしてエンジニアのみなさんは質問すればめちゃくちゃ丁寧に教えてくれます)。
また、経験からある程度の知識がついてきても、あくまで自分は知らないということを忘れないこと。絶妙にずれながらの「わかった風」が、一番嫌がられる気がします(ニワカが一番厄介)。

 2.2 | 会社全体のチーム戦に持ち込むこと

とはいえ、技術の話ができないと採用はできません。
自らの価値観に深く根付いているからこそ、彼らはそれを理解し、わかち合う環境を求めているからです。

心がけていたのは「自分ひとりで何とかしようとしない」ことです。「一通りの要素技術について修士レベルの話はできますよ」というレベルまで急速には成長できません(そしてエンジニアは修士レベルを軽々と超えます)。
結論、技術に関する議論をする時は、社内のエンジニアを頼ってよいと考えていました。

▼社内のエンジニア・技術相関マップをつくれ!

エンジニア採用担当としてITに関する最低限の学びは必要ですが、目的に沿った優先順位があります。
大切なのは、候補者と会社を「つなぐ」こと。候補者がどんな技術を持っているのかを判断し、それを会社と結びつけるための学びが必要です。

トレンドの技術はどんな要素技術の組み合わせ?それぞれの要素技術の関係性は?自社の技術開発はその分野をカバーできてる?どのソリューション/プロダクトと関係ある?メインで担っているエンジニアは誰?

こんな技術に興味がある候補者は、このエンジニアと話が合いそうだな、という社内マップをどれだけ細やかに描いていくか、そして、いざというときに「助けてください!」といえる関係性を日頃から築いていけるかが、採用を成功させる鍵だと思います。
(実際にエンジニア採用として、どんな勉強をしていたかはまた別の機会でまとめます)

 2.3 | 技術以外のあらゆる価値観を理解する努力を惜しまないこと

じゃあ採用担当は候補者と社内のエンジニアの単なる橋渡しかと言われれば、そうではないです。

採用担当は候補者と会社をつなぐ「結節点」であり「玄関」
技術に興味を持ってもらっても、会社に興味を持ってもらえなければ候補者は決して入社しません。
協力者であるエンジニアが候補者と「技術の価値観」をわかち合うのであれば、採用担当は「それ以外の全ての価値観」をわかち合う必要があります。

どんなビジョンを持つ組織に共感できるのか、どんなキャリアを描きたいのか、どんな仲間と環境に囲まれて時間を過ごしたいのか。
なにより候補者が何にモチベーションを覚え、喜びを感じるのか。
こういった入社の意思決定の観点に関わる価値観です。

▼ゴールは、候補者に会社を好きになってもらうこと

候補者、協力者と密にコミュニケーションをとることであらゆる観点から候補者を理解し、適切なタイミングで適切な内容の情報提供をする。そして、候補者に共感を生み出し、会社を好きになってもらうこと。
このプロセスは候補者が誰であろうと共通しています。

余談ですが、エンジニアの方は技術以外にも好きなことへの愛が深いことが多いので、共感のきっかけを作ろうと候補者がはまっていることにはだいたい手をつけました(スプラトゥーン、一人旅、筋トレ、音ゲーなどなど挙げればキリがない、、、)。

3 | さいごに

「エンジニア採用」なんて大きい言葉を使ってみましたが、もしかしたら、これまで私が出会ってきた学生の方たちに限っただけの話かもしれません。そして、違う枠組みで入社いただいた方の中にも優れたエンジニアがたくさんいます。

この記事でお伝えしたかったのは、採用活動において「一人一人が大切にしている価値観」は何かを理解・リスペクトすることがとにかく大切で、エンジニア採用の場合は「技術」が価値観と深く紐づいていたんだなあという気づきです。

対話を通して一人一人が持つそれぞれの価値観と自社がマッチングする点を見つけ、自社で活躍する/幸せになる未来をともに描いていくことは、どの職種の採用でも大切なことだと思っています。

▼管理部門の仕事は"Pay it Forward" 関わった方に幸せをお返しする

基本的に、採用担当だけでなく、管理部門のミッションは自身の活動においてどれだけ会社のポテンシャルを引き出せるか。そして、それによって会社に自社に関わってくれる人の幸せをどれだけ増やせるかが腕の見せ所。

管理部門はコストセンターだといわれますが、本当にその通りで、自分の仕事すら現場の人の助けなしでは成り立ちません。
かつては「エンジニア採用」として、そしてこれからは「広報」として、たくさん助けていただいたみなさんに、次は何を返せるだろうと考えています。

(※)本記事執筆時点では、自社に新卒エンジニア採用という枠組みは存在せず、筆者が担当した業務領域から勝手に自称しているだけです。
(※)本記事の内容は個人の見解であり、所属する組織の公式見解ではありません。

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