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さあ、「スクラム広報」をはじめよう ー社員一体型の広報を目指してー

[なんの記事 ? ]
会社非公式カレンダー NSSOL Advent Calendar 2021 25日目用の記事。
広報就任から1年が経過し見えてきた、筆者が目指したいこれからの会社の広報のあり方について書きました。

 タイトルの通り、私は昨年広報へ異動しました。今日まで手探りで業務を進める中、少しずつ見えてきたこれから確立したい広報スタイルについて、この機会を使って改めて言語化したいと思います。

 スケ管の甘さがたたりイブの深夜に本記事を書いていますが、深夜テンションだからこそ、想いの丈全開で行きたいと思います。

広報にスクラムが必要な理由

 そもそもスクラムとは、アジャイル開発の手法の一つであり、共通のゴールに到達するためにチームメンバーが協働し価値を生み出していくためのアプローチを指します。

 チームが一丸となって成果を出そうとするこのアプローチ方法は、システム開発だけにとどまらず、様々なプロジェクトにも応用できます。実際、2018年には株式会社HERPが社員一体型の採用活動として「スクラム採用」という概念を以下のように定義し提唱しました。

採用活動を経営陣と人事に閉じたものではなく、現場社員を巻き込んだ形で行うことで、最大の成果を創出していく採用手法

スクラム採用とは | HERP(ハープ)
※スクラム採用は株式会社HERPの登録商標です。

 この考え方を、うまく広報活動にも転用できないかな、と考えています。つまり、広報活動を経営と広報に閉じたものにせず、現場社員を巻き込んだ形で行うことで最大の成果を生み出していく、そんな仕組みが作れないかな、作りたいなと。

 そんな風に考えるようになったのは、以下のような背景がありました。

広報が担う領域の拡大と、個の大発信時代

 現在の広報が持つ発信手段は、旧来行われてきたプレスリリースや記者会見にとどまらず、コラムや技術者ブログをはじめとしたオウンドメディア、TwitterやLinkedinといったSNS、YouTubeやPodcastなどの文字媒体以外のメディアなど、急速に増加しています。
 そのため、適切なメディアを選択し、メッセージを設計し、コンテンツに落とし込む広報が担う業務の領域も量も、急速に拡大しています。

 一方、そうした発信手段の増加により、個人が主体となって発信していく機会も多くなっています。インフルエンサーは既存のコマーシャルや広告出稿に頼らなくても、自身の発信だけでも十分広告効果が得られます。
 誰もがそこまでの影響力はなくとも、私たちはしばしば個人が書いたブログやSNSによる発信を参考に意思決定をします。または、趣味で書いたブログ記事に知らない誰かからいいねがつきます。そうした意味で個の発信の力は高まっており、まさに「個の大発信時代」と言えるでしょう。

社員みんなが広報の担い手になったら、最強だ

 だからこそ、個人の一人一人の発信を会社の広報とうまくつなげることできれば「社員だれもが主体的に発信を行う文化」は一朝一夕で手に入らない強固な広報の力となり、それはとても大切な会社の資産になるのではないかと考えています。

 個人の自由な発信に対して会社が何かを依頼するやり方、つまり個人が受け身になってしまう発信はあんまりうまくいかないんだろうな、と思っています。社員ひとりひとりが能動的に「会社にとって価値のある発信をするためにはどうすべきだろう?」と考えられるようになるためのどんな工夫が必要になるか。

 そこまで考えたとき「組織成果を最大にするため、自律的にチームメンバーが考え行動できるようにする」スクラムの考え方に似ているところがあるなあ、と思ったんです。

 そして、主体的な発信を社員みんながするようになるための最初の一歩として「自分の仕事を誰かに伝える習慣」を少しずつ、いずれは会社全体に広げていくことから始めたいなと思っています。

改めて、目指していきたい「スクラム広報」の姿とは

 先ほど、私は「スクラム広報」を、広報活動を経営と広報に閉じたものにせず、現場社員を巻き込んだ形で行うことで最大の成果を生み出していくこと、と記載しました。
 もう少しそれをブレイクダウンし、自分の中では以下のような形で整理しています。

 1.社員だれもが自分の取り組みを知ってほしいと感じるようになり、
 2.広報が個の想いを会社として伝えたいメッセージとうまく連動させ、
 3.会社の発信力が増し、ブランディングが進んでいく 広報の姿。

もし、スクラム広報が実現できたら?

 スクラム広報が実現し、誰もが自分の仕事を知ってほしいと感じるようになると、会社の広報がどんな風に強くなれるか、今のところ考えているのは以下3点です。

1.タイムリーな情報を吸い上げる仕組みができる
 
誰もが今の自分の仕事について、社内のいろいろな人に伝える習慣ができたら、その良いニュースはきっとすぐに、広報に届きそうです。「この案件、いつか事例化したい」の段階から、現場のメンバーと伴走することで、先手を打った広報戦略の立案ができるようになるんじゃないかなと思っています。

2.「熱量」「想い」がそのまま広報に届く
 もちろん各部署からの情報収集も大切ですが、いろいろな人を介して伝わるニュースだと、どうしても客観的な事実が中心になりがちです。ですが、自分の仕事にわくわくしている本人の語りには、大切なエッセンスがつまっています。これは、組織のCultureを伝える広報活動に大きな強みになるでしょう。

3.組織を横断する情報連携も活発になる
 
もし、誰もが積極的に自分の業務についてためらわずに周囲の人に話すようになれば、自分の周囲の人以外の仕事の様子の見える化もどんどん進んでいきます。縦割りの打破もできるかもしれません。

スクラム広報を実現するには

 じゃあ具体的には私は何をすればいいのか、どうすればスクラム広報を実現できるのか。ここでは、上述した株式会社HERPによるスクラム採用で示されている実現ステップと同じ3分類から考えてみたいと思います。

 1. 権限移譲
 2. 成果の可視化
 3. 広報担当のPM化

https://lp.herp.cloud/media/about_scrum_recruiting/#i-3

 1.権限移譲

 まずは広報の行動そのものである「発信」を少しずつ多くの人に行ってもらえるようになることが必要です。そのための現段階でのゴールは「自分の仕事を誰かに伝える習慣」づくり。
 なので、気軽に発信ができる機会を多く作り、巻き込む声かけを惜しまないことで、一人でも多くのかたに「伝える」の最初の一歩の機会を創出するための仕掛けづくりを惜しまずやっていきたいなと。
 
この「NSSOL Advent Calendar」はそんな取り組みの一つとして大切にしていきたいです。

 2.成果の可視化

 広報活動のバックログにあたるものの作成と、それらの社内への発信もまた重要です。ここで発信すべき内容は、私たち広報が目指すものや課題を定義し、それらの課題に対してどう進捗しているのかという行動の可視化と、社員の皆さんが協力くださった記事や原稿がどんな反響があったのかという成果の可視化との2つになるでしょう。
 特に成果を数字で定量的に示すことが難しいからこそ、何を目指し、何を課題として設定し、そのためにどう行動するのかを社内に発信し、社員のみなさんに共感していただくためのコミュニケーションをたくさんとっていきたいです。

 3.広報担当のPM化

 自分自身を、各種メディア運用や施策ごとのオーナーとしてではなく、「NSSOL広報」が会社に対してどんな価値を生み出すのかを設計/実現を目指す役割だと自覚し、行動に移す必要があります。
 具体的な行動としては、日ごろの業務を通じて社員のかたにどうふるまっていただきたいのかを伝えていく、情報の透明性を担保する円滑なコミュニケーションを社内の誰でもどこででもできるように、情報流通の環境を整えていくなどの積み重ねが重要なのかなと思います。

さいごに

「広報を手伝う?いやいや自分の仕事もあるし、なかなかそこまで手が回らないよ」
「発信するって正直こわい。あんまり目立ちたくないなあ」
広報に協力する、と聞いたときそんな考えが頭をよぎるかもしれません。
けど、そんなに難しいことを考えなくていいんです。

「仕事が楽しい!」 その声が広報の力になる。

 私たち広報は、ストーリーの語り手と受け手の架け橋です。一人ひとりが持っている仕事への想い、やりがい、挑戦。それらをたくさんの人に届けていくのが私たちの仕事です。

 「楽しかった!」「やった!できた!」その喜びをそっと私たちに、もしくは、周囲の誰かに伝えてください。

 そうして集まったひとつひとつの喜びを「会社の魅力」として表現し、あらゆる人に発信していく。その積み重ねが強い「広報」を作り上げます。

やっぱりPay it Forward

 広報活動もひとりでできることに限界があり、多くの社員に協力いただくことが必要不可欠です。

 そのため私が目指す最終地点は、「よかったら手伝うよ」と応援いただくことに加え、「わくわくするから広報したい!」とだれもが感じる仕組みづくりだと思っています。

 社員ひとりひとりの発信によってつながりが生まれ、イノベーションが生まれるきっかけとなる発信の過程を、楽しいものとなるように。

 そうすることで、みなさんにいただいた幸せをひとりひとり、そして会社に還元していきたいと改めて実感したところで、この記事を締めたいと思います。

今回のAdventCalendarも25人が立候補して発信活動をしてくださいました。
そんなNSSOLのみなさんにたくさんの感謝と愛を込めて。

メリークリスマス!

※本記事は個人の見解であり会社の公式見解ではありませんが、いつか公式にもこういう想いをもって広報しています、と言えるように頑張ります。

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