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スペインのスーパーで見つけた豚レバーパテの味が忘れられない

4月10日に掲載した「食を求める旅」の修正版です。
POOLO JOBにて講師の方に赤入れをいただき構成を編集した後の記事になります。

▼編集前の投稿


旅先の景色に感動した記憶よりも、食べ物の記憶は何故か強く残っている。特に今までに出会ったことのなかった食材や味が、自分の味覚にヒットしたときの衝撃は忘れられない。

人間は、聴覚ー視覚ー触覚ー味覚ー嗅覚の順で忘れていくそう。それはつまり、嗅覚と味覚は記憶に残りやすい、ということ。記憶に深く刻むことのできる、新たな食との出会いを求める旅をあなたにもしてみてほしい。


旅行プランは、食事から。


旅先を決めるとき、みなさんはどんな情報に心をつかまれているのだろうか。景色の綺麗さや、アクティビティ、街の雰囲気など、人によってさまざま。私が心を奪われて旅先行を決めるのは、魅力的な食べ物を知ったとき。昨年行ったスペインがまさにそう。

母が「死ぬまでに行ってみたい」と、スペインのバルセロナへの旅行を計画していたのだが、私はガウディー建築もサグラダ・ファミリアも興味が無い。そこで母の誘い文句は「スペインに生ハムを食べに行こう」だった。一気に興味をそそられた。

本場の生ハムが食べたくて、母とのスペイン旅行を決めた


観光は母の行きたいところへ、私はお腹をすかせるための運動ついでに観光。もちろん建築を見て感動した場所もあった。そこまで無関心なわけではないのだが、今までの旅行の中で、食と食以外への興味の差がもっとも大きい旅行だった。

バルセロナにはいくつか市場がある。宿泊していたホテルからはブリケア市場のほうが近かったのだが、観光客向けすぎてテンションが上がらず。もっと地元の人が普段の生活での買い物に使うような市場に行きたくて、サンタ・カテリーナ市場へ。

市場内には果物や野菜、パン、チーズ、お惣菜のお店など、ところせましと並んでいる。お目当てはもちろん「生ハム」。ショーケースにもびっしり、壁にも吊り下げられ、売り場いっぱいに並べられている生ハム。種類が多すぎてどれを選べばいいのか全然分からないほどの品ぞろえ。

市場内には何軒も生ハムのお店がある

まさかこんなに生ハムに種類があると思っていなかったので、衝撃。帰国後、スペインの生ハムの種類について調べみたが、予想以上にしっかりとジャンル分けされており、スペインの生ハムの歴史を感じた。最高級とされている生ハムは「100%イベリコ豚で、自然環境でどんぐりや大地の恵みをふんだんに食べて育った豚の後ろ足の、熟成期間の長いもの」だそう。

お店のお姉さんに「初めて買うからまじで分からんので、とりあえず中間くらいのお値段で、お姉さんのオススメ2種類を100gずつください。」とお願い。美味しそうなサラミも100g追加し、3種類を購入。母とルンルンでホテルへ帰り、いざ実食。脂の少ないものと多いもので2種類選んでくれたので、食べ比べ。

脂の少ない生ハムは、旨味がギュッと濃縮されていて、飲み込んだ後も生ハムの後味につつまれる幸せを感じる。脂の多い生ハムは、脂の甘味がふわっと口の中に広がるが、胃もたれするようなくどさは無い。今まで食べたどんな生ハムより濃厚で美味しい。やっぱり本場ってすごい、と感動。

スーパーマーケットのはしごも忘れずに。


デパートのようなちょっといいお値段のスーパーから、地元の人しかいないスーパーなど色々回った。カタルーニャ広場にあるエル コルテ イングレスというデパートの中に入っているスーパーにも行った。店内をふらふらと見て回っているときにふと目に入った、豚レバーのパテ。他の豚レバーのパテに比べてパッケージが可愛いなあ、と軽い気持ちで購入。

翌朝、「ああ、そういえば豚レバーのパテ買ったんだった、ちょっと食べてみよう」なんて、なんの期待もせず食べた。

美味しすぎてフリーズ。

レバーの旨味だけを残して臭みが全くない。いくらでも食べられる。私の味覚にヒットした衝撃を感じた。スペインまで来て良かったと思わせてくれる味だった。

左 豚レバーペーストの胡椒風味
右 アリオリソース(マヨネーズにニンニクなどを混ぜたソース)


高級レストランのお洒落な料理よりも、意気揚々と食べ比べまでした生ハムよりも、スーパーで買った500円のレバーパテの方が記憶に残るのだから、面白い。このレバーパテを食べるためだけに、またスペインへ行きたい、と思うほどの素晴らしい出会いだった。

これが食べたいからまた来たい、と思えるような味との出会いを、ぜひあなたにも体験してみてほしい。


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