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それでも残したいと思うのは

撮り溜めた写真や短い動画がそのままの形で増えていくと溺れていくような気持ちになる。 日々のちりぢりは想像しているよりも多く、思っているよりもほんとうに些末で、カメラロールに溜まったそれらから「それでも残すのはなんのためか」と問われているような気がしてしまう。

そんな気持ちで、4月に行った小旅行の動画をつなぎ合わせて、ひとつの個人的な動画をつくった。 すでにほこりをかぶりはじめていたちりぢりたちに息を吹き込んでいくような感覚。 それらが動画のタイムラインに整列していく姿は、まるで思い出になるための順番待ちをしているようだなと思う。 そうして出来上がったものは、もうちりぢりではなくしゃんとした思い出になっていて、自分の中の記憶が再構成されていくみたい。
あの場所で見たこと、聴いた音、食べたもの、歩いた道。うれしそうだったり、おいしそうだったりする表情。 撮られている人の目の前には必ず撮っている人がいるわけで、そのすべてがラブだなと思う。

「動画はラブレターだから」と夫が言ってくれたことがある。そうだね。 日々の些末なことを、いろんな形で残していきたいし、そんなふうに残したくなる日々を送っていきたい。 大切な人に向けて、そして未来の自分に向けて、この気持ちを伝えていくために。 今日もあしたもあさっても、他の人から見たらとるにたらない写真や動画で、カメラロールをいっぱいにしていきたいなって思う。


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