見出し画像

こんな僕をどう思いますか。

こんにちは☺️✨児童養護施設出身、少年院出身の青年をサポートする団体 NPO法人スマイルリングでの、若者たちとの心の話をnoteしています。


少し遅い時間に電話が鳴った。


ちょっと、聞いてみたいことがあって…。

ちあきさんが
もしも人を雇うとしたら
どんな人と一緒に働きたいですか?



『そうだなぁ…。う〜ん…。私だったらねぇ…。一生懸命、一緒に働いてくれる人かなぁ?』


あぁ…。そうですよね。
失敗しても、ですか?



『うんうん。
 失敗してもいいの!失敗してもいいから、一生懸命な人って意味よ』


失敗しても大丈夫ですか?


『だって私だって失敗するもの』


ほっとしたように、
今日の出来事を、ゆっくりゆっくり話しだす。



今日、
職場で仕事中に失敗しちゃったんです。

『今度は失敗しないでね』

そう言われて、
僕、絶対失敗しないようにって、
気をつけていたんだけれど、また失敗しちゃって。


そうしたら

『なんでまた失敗したの?
さっき、もう失敗しないでって言ったよね?なのになんで失敗するの?』

『同じ失敗を、なんで2回もするかな』

って言われちゃって。


ええええ〜〜!!

なんじゃい、そのめっちゃ困る質問は⁈

それで⁈どうなったの⁈


はい…。

凄く、気をつけてたのに失敗したんです。


僕、その人に腹が立っちゃって

『お前は今までに失敗した事無いのかよ!』って、言おうと思ったんですけど…。

ぐーーーっ!!と我慢して。

『すみませんでした。もっと気をつけます』って言いました。


おおおお!!凄いな!!

それから⁈


『ほんとにもう、次は絶対失敗しないように気をつけてね!』って言われました。


普段、結構信頼している人なので
なんだかとってもショックで…。

でも、ぐーーーっと我慢しました。
気持ちを飲み込んだんです。


そうか。

気持ちを飲み込んだんだね。



僕、なんだかとっても辛くて。
その後トイレに入って泣いちゃったんです…。


そうか。辛かったね。

頑張ってもできなかったら悔しいよね。

頑張っているのに怒られちゃったら
凄く辛いよね。


はい…。


よく、ぐーーーっと我慢して、
すみませんでした。
次はもっと気をつけますって言ったんだねぇ…。
前までの君なら、きっと暴れてたと思うんだけど。


はい…。
でも最近、やっと職場の中でも自分の居場所が出来てきて…。


仲良くしてくれる人や、
困った時に相談に乗ってくれる人もいて。

職場が楽しくなってきたんです。

だから、僕も変わらなきゃって思ったんです


ぐーーっと我慢したから、

涙が出てしまったんだね。

『変わらなきゃ』って、思ってるんだね。

私、思うんだけど、

君はこの一年、ホントに成長したよ。


えっ!

僕、成長してますか?


してるよ。凄く成長したよ。


本当ですか!

めっちゃ嬉しいです。


私もとっても嬉しいよ。

いろいろあるけどさ…明日も仕事行けそう?


はい!

大丈夫です。行けます。

こんな遅い時間に電話して、ごめんなさい。

ありがとうございました!


児童養護施設出身で

軽い発達障害がある彼は

B型就労支援事業所で働いている。


少し離れた街から、

『地元では受け入れてくれる所が何処にも無いので、そちらで面倒見て貰えますか』

と、縁もゆかりも無かったこの街へとやって来た。


スマイルリングの代表 堀田は

帯広中の事業所を

彼と一緒に回ったのだが、

何処でも彼が“問題児”と分かると

断られてしまった。


不安そうな彼に堀田は


『大丈夫だ!心配するな!

 もし何処も見つからなかったら、

 その時は俺と一緒に働くべ!!』


そう言って彼を励ました。


運良く、

スマイルリングをよく知る

一番初めに行った事業所さんから

『うちにおいで』

と言って貰ったのが彼の職場だ。


彼は、施設や養護学校で

よく苛立って暴れたり、

先生を殴ってしまったのだそうだ。


“手の掛かる子はお断り”


そんな社会の中では、

ただでさえ生きづらさを抱えた若者は

何処へ行ったら良いのだろう。


寂しさや不安でパンパンだった彼は

一年前にはとても無表情で、

一緒に居ても、ほとんど話さなかった。


この一年、職場でもしばしば問題を起こし、

いろんな事があった。


そんな彼からここ最近、

“どうして施設や学校で暴れていたのか”

“その時どんな気持ちで、

周りの大人達はどんな風に動いたのか”

という事が、

“堰を切ったように”語られ始めた。


大人は問題が起こると、

さっさと解決したいものだ。


彼の話に耳を傾けていたなら

彼の心をもっと優しく見つめていたなら

そんなに暴れてたのかなぁと私は思う。


スマイルリングにやって来てからの彼は

ゆっくりゆっくり安心してきて、

ゆっくりゆっくり語り出し。


今では、

話すこと、聴いて貰えることが

嬉しくて仕方が無いようだ。


今ではすっかり、

スマイルリングのチームの一員として、

頼りにすらしている彼のことを

私達はこう思っている。


いつも本当にありがとう。

君のことが、大好きだよ。

失敗を繰り返しながら成長するのが人間。
NPO法人スマイルリング
理事 ののむら ちあき😁

#NPO法人スマイルリング

#児童養護施設出身 #少年院出身 #社会的養護

#発達障害 #エッセイ #日記 #若者支援















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?