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僕が施設に入ったのは

こんにちは☺️児童養護施設出身、少年院出身の青年達をサポートする団体 NPO法人スマイルリングでの、若者達との日常をnoteします😁


車の助手席は

しばしば彼等の『語りの場』になる。

運転する私の隣の席で

真っ直ぐに前を向きながら

彼等は

いつもとはほんの少しだけ

違う顔を見せてくれる。


この間、お母(おかあ)に言ったんですよ。

どうして、他にも兄弟がいるのに

俺と弟だけが施設にやられたのか。

それは、

俺らの“知能”が低いからだべ!って…。


僕は小一で施設に預けられたんです。

凄く悪ガキだったからだと思うんだけど…。


そうか。

まだ小さかったから、寂しかっただろうね。

混乱しただろうね。


ものすごく、混乱しました。

ものすごく、寂しくて、悲しくて。

何がなんだか分からなかった。

毎日大暴れしました。

そしたら、児童相談所に送られて。

今度はまた違う施設に送られて。


うん…。そうか。

そうだったんだね。


そこからが……苦しかった。

毎日毎日、中学生とか高校生の人達から

もの凄く…もの凄〜く、いじめられて。

殴られたり、蹴られたりホントに酷くて。

毎日虐められて…地獄でした。

苦しかったです。


そうか…。


親に言ったんです。

『どうして俺だけ、家に居られないんだ。

どうして俺だけ、あんなところに居なくちゃならないんだ!!』って。

そのせいかもしれないけど、

弟も施設に来ることになって…。


うん。


年に何回か

休みの時とか、たまに家に帰ってたんだけど。

でも、いつも僕が怒りくるって

家でも暴れて。

義理の父(おとん)にも凄い殴られて。

だから僕、

一時期家に帰らなくなったんです。

『絶対帰らない』って。

弟は帰ってたんだけど。


うん、そうだったんだ。


はい…。そのうち、

『親を殺してやろう』と思うようになって。

包丁を隠し持ってたんです。

本当に『殺してやる』って思ってました…。

それが段々

『家族全員 ブッコロしてやりたい!!』

って気持ちになって…。

本当に全員、殺してやろうと思ってました。


そうか…。

そんな気持ちだったんだ。


高校は養護学校に行く事になって。

毎日毎日イライラして。

凄くイライラしてて。


施設の先生も殴って。

学校の先生も殴って。

後輩のこと、めちゃくちゃに殴ってしまって…。

その子の鼻の骨が折れても、止まらなくて

殴り続けちゃったんです。

イライライライラして。

自分が止められなかった。


うん。


高校卒業する頃、

『お前が入れるグループホーム、地元には無いぞ』

って言われて。

どうしようかな…って思って。

親戚のおじさんが

『帯広の競馬場の厩務員になれ』

って言ったんだけど、

僕、何故だか物凄く腹が立って。

『ふざけるな!!』って

怒鳴っちゃったんです。

簡単に、

僕のことを片付けられると思ったのかな。


そうだったんだ。

そんなことがあったんだね。


はい…。

でも行く場所が無くて。

家にも帰れないって言われて。

そうしたら

『帯広にNPOがあるけど、そこに行くか?』

って話になって。

それしか無いのかなって思って…。

あれから一年以上経つ。


そうだね。

あっという間に一年経ったけど、

でも、ずーっと前から一緒にいるみたいだよね。

それにしても、君は物凄く成長したよなぁ。


えっ!僕成長しましたか⁈


うん、したよ。

成長したってより、元からホントはそんなんだったのかなぁ?君は。

私は君と一緒に居ると楽しいよ。


ホントですか?

めっちゃ嬉しいです。

僕、自分でも変わったと思ってます。


ずーっと不安だったけど…。

ここに来て、僕の居場所が出来たし、

好きな人とか、大事な人が増えました…。


思った事を口に出せるようになった。

悩んだら相談出来るようになった。

声をあげて笑うようになった…。

何より、

彼のことをジャッジせずに、

本気で可愛いがって応援してくれる

大人が、ここには何人もいる。


小さな頃の彼がどんなに不安で寂しかったか。

虐められてどんなに苦しかったか。


こんな思いをしている子がどれ程いるのだろうか。

私は、彼らがやっとの思いで話してくれるこんな言葉のひとつひとつを、

ただの“思い出語り”にはしたくない。


『困った子は、困っている子』

その事を私達は

もっともっと知らなくてはならないと思う。

“困った子は、困っている子”
NPO法人スマイルリング
理事 ののむら ちあき☺️

#NPO法人スマイルリング #社会的養護

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