見出し画像

帰ってくる場所。

 こんにちは☺️児童養護施設出身・少年院出身の青年達の自立をサポートする団体 NPO法人スマイルリングでの、青年たちとの日常をnoteします💫


スマイルリングには“家”がある。

私達は“スマイルリングホーム”と呼んでいる🏠✨


”今日は時間があるから…。

大根煮たものでも持ってくかな…。”


仕事が終わってから、

慌ただしくバタバタと駆けつけて

“あっという間に出来るもの”

を作っては出す、ホームでの夕食。


どうしても簡単なものになりがちなのだが

皆文句も言わずよく食べてくれるので

内心いつもホッとしている。


現在は3名の青年がホームに住んでいる。

今年の夏は暑く、エアコンのあるホームで

過ごす青年が増えた。


ただただホームに泊まりたい青年もいる。

仕事で疲れて部屋に帰り、

独りぼっちで過ごすより

皆んなと賑やかにご飯が食べたいのだろう。


昨日も

『ホームに泊まれる〜!』と、

賑やかで優しいY君が嬉しそうな顔をしていた。

仲良しのK君も嬉しそう。


豚汁を作る。

一人一人に小皿に少〜しずつ、味見をさせる。

『めっちゃ美味い!!』

大袈裟に褒めてくれるのが嬉しい。

皆んな本当にいい青年達だ。


最近の私の楽しみは

彼等と一緒に行く“買い物”である。


あれっ!もう飲み物が無い!

お肉も無いねぇ。

買い物に行かなきゃ。


そう言うと彼等は

誘わなくてもイソイソ用意をしだす。

私のお手伝いとして

荷物持ちをしてくれるのだ。


クールに見えるK君。

でもこんな時はさっさと助手席に乗り込んできて

いつもよりずっと楽しそうに話す。


スーパーに着くと

ワイワイと食材を選び

私がウロウロと品物を選んでいるのを

クスクス笑いながらこっそり付いて来たり。


キョロキョロ彼等を探して

あれっ?と目が合うと

『ワッ!!』と大笑いしている。


もうしっかり大きな彼等なのだが、

とにかく本当に可愛いのである。

彼等と一緒にいると

私はどんどん元気になってくるのだ。


この間珍しく、私も少しだけ一緒に食べた。

Y君が

『水餃子の中華スープ』を作ったので

食べて欲しいと言うのだ。


『なんか、変な味なんだよな…。』


としきりに気にするY君に、

“とっても美味しいよ、大丈夫だよ”と

何度も声を掛ける。


そんな楽しい夕食の最中

Y君が突然話し出した。


小学生の時からの夢があったけど、叶わなかった。

弟が事故で死んでしまった。

お母さんが精神の病になったから学校を辞めた。

16歳から働いた。

ずーっと股関節が痛いのを我慢しながら働いた。

骨が壊死していた。

二十歳の誕生日の次の日に手術した。

お父さんには一度だけ会った事がある。

新しい家庭があり、幸せそうだったから

『もう二度と会わないで下さい』と言った。

自分が居たら、邪魔になるから…。


他の子達は

ゆっくりとご飯を食べながら俯き、

彼の話に耳を傾けている。


この子達一人一人に

様々なドラマがあるのだ。


私ねぇ。

いつもとっても

複雑な気持ちになるんだ。


そう言うと、

皆んな一斉に私を見つめた。


Yも頑張って、よく生きてたね。

皆んな、それぞれ、いろいろあったね。


『何で自分ばっかりこんな目にあうのか?』

って、すごく考えるよね。

私もそう思うよ。

でも…たださぁ…。


君達がそういう思いをしてきたから

出会えて私は君達とここにいるんだよなぁ。

もちろん、そうで無かったら

一番良いんだろうけどね…。


でも本当にごめんね。

私は君らに会えて、ホントに良かったな。

嬉しいなぁって

思っちゃうのさ…。

複雑だよねぇ…。


彼等はうん、そうだよねと頷きながら、

ホッとしたような顔になる。


あんた達がさ、

しっかり自立する時があるじゃない。

それを喜びながら、

もしかしたら寂しかったりしてねぇ。


そう言うと、


『大丈夫ですって!!

 ちゃんとここに帰ってきますから!!

 俺等の家ですもん、ここは』


満面の笑みを浮かべて

楽しそうに笑う君達よ。


ここでご飯を沢山食べて。

沢山、安心して寝て。

沢山、

子供時代に、子供らしく振る舞え無かった分、

ここで自由に笑って。

力強く巣立っていって欲しい。


この家は、

君達が何度でも

いつでも帰って来られる場所だよ。

NPO法人スマイルリング
理事 ののむら ちあき☺️

#NPO法人スマイルリング #スマイルリングホーム

#児童養護施設出身 #少年院出身

#社会的養護 #エッセイ #日記 #物語

#帰る場所 #居場所


















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?