デザイナー目線で見る決算説明資料 #4 2020年6月15日〜6月19日

より良い投資家コミュニケーションの設計を目指す「IRデザイナー」が、ビジュアル・ワーディング・内容、3つの観点で気になった決算説明資料を毎週紹介していきます！
今回は、2020年6月15日〜6月19日に開示された決算説明資料を紹介します！

株式会社伊藤園 （証券コード：2593）

お〜いお茶でおなじみ、伊藤園の資料です。主力商品のお茶を彷彿とするカラーリングと、1ページの情報量がかなり多めな点が特徴です。

「マーケティング戦略」のコーナーでは、お茶の健康価値についてや、今後発売になる新しい商品の紹介などが掲載されており、思わずお茶を飲みたくなりました。特に、6月29日発売のお〜いお茶カフェインゼロ、めっちゃ気になります！👀
そして、せっかくワクワクする新商品の紹介なので、広告等で利用しているビジュアルを資料にも掲載できたらもっと商品のイメージが湧きそう、と思いました。

決算説明資料はあくまでも決算を説明する資料ですが、商品を好きになってくれる人を増やすツールにもなりますし、商品をアピールすることは企業価値のアピールにもつながると思います。飲食料を扱う企業の方には、ぜひもっとおいしい商品をアピールしてほしいです！アピールしてもらえたら、私は買います！笑

https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200615444602.pdf

株式会社星野リゾート・アセットマネジメント （証券コード：3287）

星野リゾートの資産運用会社である星野リゾート・アセットマネジメントの資料です。コロナウイルスの影響は実際どうだったのかな、と見ていたのですが、3月は、星野リゾート運営物件は個室タイプも多いことから昨年実績を上回るほど好調だったそうです。星野リゾート以外運営物件は、ホテル市場全体と概ね同水準の下落幅だったとのことですが、これには驚きました。

今後の旅行需要予測ページには日本の観光市場規模が掲載されていました。これを見ると、国内旅行消費額27兆円のうちインバウンドが占める割合は4.1兆円、16%程度なことが分かります。コロナ前は外国人観光客が多く見かけられたため、体感としてはもっとインバウンドが多い印象があったのですが、数値で見ると体感はいかに当てにらないものかが分かります。
数値で分析、やっぱり大事です！

https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200615444530.pdf

セルソース株式会社 （証券コード：4880）

再生医療関連事業を行っているセルソースの資料です。ロゴマークの繊細な印象を踏襲した美しい資料です。コーポレートサイトも拝見しましたが、本資料と同じ世界感で統一されていて素敵でした！

見せ方で特に上手だなと思ったのは、数値の部分です。数字を見やすくするためには、数字は大きく太く、単位は細く小さく表現する手法が主流ですが、本資料はこのメリハリのつけかたがとても良いバランスで、数字がすっと目に入ってきました！

再生医療自体も非常に必要とされる分野だと思うので、今後個人的にもチェックしていきたい企業になりました！

https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200615444589.pdf

Fringe81株式会社 （証券コード：6550）

従業員同士が日頃の仕事の成果や行動に感謝・賞賛するメッセージとポイントを送りあえるWebサービス「Unipos」を運営しているFringe81の資料です。 会社名はFringe81だけど、ロゴはFringeのみなんですね。👀

業績サマリーで、業績予想レンジと実績を横線の上に表現しているのが印象的でした。これは横線の軸が表示されていない（ゼロがどこか分からない）ので、ビジュアルが与える「増えた」「減った」の印象と、実際の結果が異なりそうです。通常のグラフで表示すると不都合があった結果なのでしょうか。気になるところです。

また、業績予想をレンジで出すことができるというのを初めて知りました。前回、例外的な取り扱いとして業績予想の取り下げができる事例を紹介しましたが、それと同様で、特定の数値による予想を開示することでかえって誤解を与える恐れがある場合にはレンジ形式での開示ができるそうです。「かえって誤解を与える恐れがある場合」がどんなときを指すのかは気になるところではありますが、また1つ勉強になりました。

https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200617446515.pdf

株式会社ギフト （証券コード：9279）

「絶対ラーメン屋経営してる企業だ！」と分かるこの表紙、好きです！ｗ

コロナウイルス感染拡大防止対策を2ページにわたり紹介しているのですが、その中に「隣席への飛沫拡散を気にせず、ラーメンに集中していただけます。」という記載が。ラーメンに集中、という表現にとてもほっこりしました。ついつい真面目な表現になりがちな決算説明資料ですが、私はこういった文章の端々に人柄、企業柄が現れると思っており、この企業はきっと本当にラーメンを楽しんでほしいのだと感じました。非常に好印象を持ちました！

東証一部への市場変更申請も準備中とのこと。今後もとても楽しみです！

https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200617446052.pdf

今週の紹介は以上です！
シメがラーメン屋さんだったので、とてもラーメンが食べたくなりました…🍜