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デザイナー目線で見る決算説明資料 #3 (gumi/ツクルバ/神戸物産 他)

より良い投資家コミュニケーションの設計を目指す「IRデザイナー」が、ビジュアル・ワーディング・内容、3つの観点で気になった決算説明資料を毎週紹介していきます!
今回は、2020年6月8日〜6月12日に開示された決算説明資料を紹介します!

株式会社gumi (証券コード:3903)

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gumiの「G」をかたどったと思われる赤い縁取りの表紙を使っている資料です。
コロナウイルスによる業績への影響はなし、とのことですごいなあと見ていたのですが、別の理由で業績予想を非開示とされていました。今、コロナウイルスの影響で業績予想を非開示にする企業は多くありますが、影響を受けていないにもかかわらず、こんな理由で(こんな理由と言ったら失礼ですが…笑)非開示にできるものなの!?と疑問に思ったのですが、ソーシャルゲームは売上のボラティリティが非常に激しく、また開発期間も長期化するものであり、予想を立てるのが困難という共通認識があるのだそうです。なるほど〜…。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/3903/ir_material_for_fiscal_ym/82343/00.pdf


株式会社ツクルバ (証券コード:2978)

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グレー系の色味でシックにまとめられているツクルバの資料は、毎回参考に見させていただくことが多いのですが、今回は図やグラフ等の解像度が低く、ガビガビしてしまっているページが多いのが気になりました(上記キャプチャだと分かりにくいのですが…)。
おそらく、既存の画像もしくは別ツールで作成した画像をpngやjpg形式で配置したためこうなっているのだと思います。デザイナーが分かる言葉でいうと、ベクターデータではなくラスターデータになってしまっているということですね。
決算説明資料などを含む東証にアップロードする資料はファイルのサイズに上限があるため、配置した画像データはかなり圧縮しなくてはなりません。その際、pngやjpg形式の画像は、圧縮によってこのようにガビガビしてしまうので、なるべくベクターデータで作成するよう意識するのがおすすめです。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/2978/tdnet/1848105/00.pdf


株式会社神戸物産 (証券コード:3038)

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個人的に大大大好きな、業務スーパーを手掛ける神戸物産の資料です。
メディア露出と新型コロナウイルス感染拡大による内食需要の高まりによって出荷量が増大、売上高は前年同期比21.8%増加したそうです!すごい!
一方、資料は全体的に1ページに表現する情報量が多く、主張したい部分にすぐ目が行かない印象を受けました。せっかくいい数字なのでもったいない!また、強みももっといろいろあると思うので、売り場の工夫から商品の紹介まで、もっとリッチにページを使って紹介してもいいのかなと思いました!

https://www.kobebussan.co.jp/upload/ir/IRNews/636/636_2020611.pdf


ラクスル株式会社 (証券コード:4384)

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広告のプラットフォーム「ノバセル」を正式リリースしてから初の決算説明資料です。しかし、意外にもノバセルについては説明はけっこう控えめで、スライドにして2ページのみでした。どんなサービスなのかもう少し知りたくなり、結果ググりましたw
新サービスをリリースしてから初の資料については、もう少しサービスについて詳細に記載があると嬉しいな〜と思いました!

https://ssl4.eir-parts.net/doc/4384/ir_material_for_fiscal_ym/82483/00.pdf


株式会社スマレジ (証券コード:4431)

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スマレジの遊び心あるロゴの世界観に統一された、きれいにまとまった資料です。特に資料全体に利用されているちょっとポップなAXIS Fontが、世界観醸成のための大きな役割を果たしています。やっぱりフォントの与える印象は大きいですね!
販売費及び一般管理費の推移ページは、数値が小さくグラフの高さが全然ない項目の表現が泣きたくなるほど悩ましい箇所です。
まずは色。この資料では青系の色味でまとめています。こうすると全体のカラーの統一感は保てて美しいのですが、一方パッと見でどれがどれかを理解しにくくなるというデメリットもあるのが難しいところです。
次にグラフに重ねた数値。これもグラフの高さが全然ない項目は表示場所がないため、見せ方が難しいところです。ここは私も最適解を探っていきたいです。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/4431/ir_material_for_fiscal_ym1/82533/00.pdf


株式会社アールエイジ (証券コード:3248)

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珍しく明朝体が利用された、繊細な印象の資料です。カラースキームも統一されており、非常にまとまりがあるなと思いました。
一方で、文字の大きさが小さめな印象を受けました。明朝体は文字サイズが小さいと判読性が下がるため、説明会等で投影することを考えると、気持ちサイズを上げるといいかもしれないと思いました。

https://www.early-age.co.jp/wp-content/uploads/2020/07/20200611.pdf


株式会社Link-U (証券コード:4446)

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ページ右部にメニューのように表示している、目新しい決算説明資料です。このメニューによって、全体のどの部分を説明しているのかをどのページにいても理解できます。メインコンテンツを表示している部分も角を丸くしていたりと、まるでWebページのようなダイナミックな表現手法を多用されています。これは今までの決算説明資料の概念を壊してきたレイアウトだと思います…!
一方で、先端を行き過ぎていて、今までの決算説明資料に慣れ親しんだ方たちが、この親切なメニューの意味を理解されるかは気になるところでもあります。
個人的には、この資料が今後ビジュアル面で一番ウォッチしていきたい資料No.1に躍り出ましたw

https://www.link-u.co.jp/irdata/library/resluts/Financial_Results_2020-3Q.pdf


株式会社Casa (証券コード:7196)

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資料全体に、線で描かれた丸みのあるアイコンを多用されており、かわいらしく親しみのある資料になっていて素敵でした。こういうアイコン類もテイストを揃えることが資料のクオリティアップに繋がりますね。
そして最後から2番目ののページに突然の筆文字で「三方良し」の文字がどーん。このページだけテイストも異なるし、ページ数とコピーライトも入っていなかったので、後で付け足されたのだと思います。きっと最後に「三方良しを目指します!」という表明をして終わりたい意図だとは思うのですが、前後の文脈からはこの三方良しに直結する文脈は見当たりませんでしたw でもインパクトは抜群ですね!

https://ssl4.eir-parts.net/doc/7196/ir_material_for_fiscal_ym/82519/00.pdf


今週の紹介は以上です!
いや〜、今回は気になる決算資料が多くて絞るのがめちゃ大変だった〜😇

最後まで読んでくれてありがとうございます😆 みなさまからのサポートは、さらに頑張るための自身への燃料としてラーメンに変えさせていただきます!🍜 今後も楽しく読んでもらえたら嬉しいです😆