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江田島市の放課後等デイサービス「おひさま」ってどんなところ?【前編】

※この記事は2019年7月にアップした記事の再掲です。

いつもありがとうございます🍀

今日は2019年5月某日にお邪魔させていただいた、放課後等デイサービス「おひさま」の紹介です。

放課後等デイサービスとは

  • 知的障がいや発達障がいなどなんらかのハンデを抱える子どもたちを、放課後や学校がお休みの日にあずかって面倒をみてくれる、学童保育のような施設のこと

  • 自宅・学校からの送迎もしてくれる


江田島市にもこうした施設があることを知ってもらいたく、今回取材させていただきました。

少し長くなりますが、お付き合いくださると嬉しいです🍀

この記事には以下のようなことが書いてあります。

  • 「おひさま」の設立時~今まで

  • 「おひさま」では実際に何をしているのか?

  • 「おひさま」のスタッフはどんな人たちなのか?

  • 「おひさま」の平日・休日プログラムの流れなどのご紹介

また、一度に紹介しきれないため後日後編をアップします。そちらも併せてご覧ください。

江田島市の放課後等デイサービス「おひさま」ってどんなところ?【後編】

「おひさま」ってどんなところ?成り立ち~今まで


「おひさま」の正式名称は「放課後等デイサービス おひさま」といいます。

「おひさま」は知的障がいや発達障がいなど、なんらかのハンデを抱える子どもたちを預かり面倒を見る学童保育のような施設です。

場所は江田島市の大柿町柿浦にあります。

「おひさま」は、2012年に発足し、2019年で7年になりました。

元々は江田島市市役所の裏手にありましたが、手狭になったため空き店舗だった今の場所に移転してきました。

今「おひさま」を運営している建物は築40年程で、元々編み物・手芸屋さんだったところを改装したそうです。

入口をはいると、1階部分です。一般のご家庭のようなリビングやソファ、テーブルやキッチンがあります。


2階は広いスペースが広がっていて、雨の日などはここでみんなで遊ぶのだとか。この日も学校から戻ってすぐにボールを使って遊ぶ姿も見られました。


子どもたちが「おひさま」に来るとスタッフの皆さんが「おかえり」と迎えてくれます。第二の自宅のようなほっとする瞬間でした。

オーナーは宮下さん親子。お母さんと息子の成美(なるみ)さんとで経営しています。

成美さんは生まれも育ちも江田島市で、島唯一の高校である大柿高校の出身です。

お二方とも「おひさま」を運営する前から児童福祉に携わっており、以前は広島市内で児童福祉関連のお仕事をされていました。

今、江田島市には子どもたちを受け入れる放課後等デイサービスは2つしかありません。

経営母体が江田島市の会社は、「おひさま」を運営する株式会社太陽のみです。

もうひとつは呉市に経営母体のある会社が運営しています。

「おひさま」が最初にできた頃は、島(≒田舎)特有の保守的な考え方からなのか?あまり利用者が増えなかったそうです。

ほとんどが呉市からの利用者ばかりという期間もあったのだとか。

お母さんの口コミなどのおかげもあり、今の場所に移転してきたころから少しずつ利用してくれる家庭が増えてきたそうです。

「おひさま」は主に、小学生~高校生までの何らかの特性を持った子どもたちを受け入れており、平日は放課後から夕方まで、土曜日や夏休みなどの期間は朝から夕方まで開いています。

受け入れはその日ごとに多少の変動はあるものの、基本は1日につき10人で、スタッフが4~6人でみています。

法律により子どもたちが10人いればスタッフ2人は必ず常駐ですが、個性豊かな子どもたちが集うため、その子たちの状況を加味して増員できるそうです。そのため加配して4人~6人で対応しています。

子どもたちの受け入れ人数は、月ごとに調整してその日に受け入れる人数を決めています。

「おひさま」では、その日によってクッキングや野外活動、工作など子どもたちが楽しく学べるプログラムを用意していて、子どもたちもスタッフも一緒に楽しく過ごしています。

「おひさま」って何をするところ?


「おひさま」は、主に子どもたちの学校や自宅送迎を行っています。

そうして放課後や学校がお休みの日に集まった子供たちとスタッフとで様々なプログラムを行いながら過ごします。

利用は放課後や学校がお休みの日(土曜日祝日など)だけではなく、夏休みなどの長期休暇中も可能です。

主に生活する力のレベルアップを目的とした、それこそ手洗い・うがいのような基本的な生活の習慣づけから、その時々でクッキングやお買い物体験、外遊びなど日々様々なプログラムを通じて子どもたちの成長を促しています。

取材当日の子どもたちは、学校からおひさまへ来るとまず荷物を置いて整頓し、次に持ち帰った宿題を取り出して始めたり、おやつを食べたりと思い思いに過ごしていました。

どんな子が通っているの?


現在「おひさま」を利用するのは、小学校1年生~高校3年生までの子どもたちです。

その割合は小学生が多いそうです。また男女比では、男の子が多いのだとか。

もちろん女の子もいますが「おひさま」ののびのびとした雰囲気や男性スタッフの多さ、思い切り遊べるスタイルが発散したい男の子に合っているのかもしれませんね。

私が最初に感じた「おひさま」の子どもたちの印象は、「非常に個性の強い、バラエティに富んだメンバーの集まり」でした。

いわゆる「普通」の子どもたちでさえ、誰ひとり同じ子はいませんよね。みんな性格も思考も好き嫌いもさまざまです。

そこに何らかのハンデが加わるということは、より一層個性が強く際立つということなんだなぁと感じました。

自閉症などまったく言葉が出ない子は私でも気づくことができましたが、パッと見では彼らにハンデがあるとは気づけません。

何がハンデなのかは、よくよく接してみないとわからないのです。

当たり前かもしれませんが、その辺の小学生~高校生と見た目は何ら変わりありません。

様子をじっと観察したり、少しずつ会話したりコミュニケーションをとっていくと、なんとなく少しずつその子の特性・個性が理解できてきます。

が、最後までどのへんにハンデを抱えているのか分からない子どもたちもいました。


成美さんは、

「発達障害関連の子供が増えたのは体感でここ3年くらい。それまでは知的障がいか、身体障がいがほどんどでした。」

と話していました。

発達障がいひとつとっても抱える問題は様々です。

良くも悪くも診断名や原因名が欲しいひとが多く、今はそれが分かることで本人やご家族が落ち着く場合もあります。

けれど「発達障がい」という線引きが色濃くなりすぎて、差別や偏見・すれ違いにつながることもあるようです。

また彼らはほかの子と同様に親や大人に構ってほしい注目してほしい欲求を抱えているのですが、その表現方法が分からずうまくいかないこともあります。

特に思春期になってくると、相手に興味はわくのだけれどその適切な距離感やバランスをとることが分からなくて過度にボディタッチしてくる子も。

誰かに構ってもらいたくて、自分以外の人の問題で悩むふりをする子もいるそうです。

成美さんは「日常茶飯事です(笑)。」とあっけらかんと笑いながらお話ししてくださいましたが、実際に対応するのはとても大変だと想像します。

「おひさま」のスタッフってどんな人たちなの?


おひさまのスタッフは、その日により受け入れする子どもたちの人数で変わります。

主にオーナーである宮下さんと息子の成美さんを中心に、多い時で6~7人、少ないときでも4人は配置されています。

女性スタッフ、男性スタッフの割合は半々くらいでしょうか。

取材時は、オーナーである宮下さんを中心にそれぞれのスタッフが子どもたちの様子を細かく観察しながら、都度優しく言葉をかけて丁寧に接していました。

ひとりひとりと向き合って、まずはその子の思いや気持ち、感情を汲み取りながら会話の中でよい方へ導いていくのが皆さんとても上手な印象でした。

やはり日頃のコミュニケーションの賜物なのでしょう、子どもたちのリラックスした表情が印象的でした。

また、自閉症の影響で全く言葉の出ない子どもさんとは言葉をかけるだけではなく、手を繋いだり握手したり。

その子特有の気持ちを表すサインを見逃さず、きちんと反応を返しているのもすごいなと感じました。

時には自分をコントロール出来ずに感情をむき出しにして罵声を浴びせてきたり、荒ぶってあばれてしまう子もいるのだとか。

「そういう時は、冷静に。理詰めで返して対応します。」

と、成美さん。

結局は「構って欲しい」「構って欲しいけど、その表現方法が分からない」「語彙力が不足していてどういう言葉が良いのか分からない」というのが彼らの本音であると理解して接しています。

中高生ともなると身体のサイズも力も大人とほとんど変わらず、身の危険を感じる場合もあるそうです。

正直危険な状態に陥ってしまった場合、女性スタッフだけでは厳しいだろうと思いました。

そういう面で男性スタッフが多く配置されているのは心強いですね。



成美さんの話す子どもたちと接する際の心構えとして、

  • 1人の「人間」として接すること

  • 特別扱いはしない

  • 程よい間合いを保って見守る

  • ひとりの「個」として認める

といった点を心がけているそうです。

また学童クラブのような一面を持ちながら、時にその子が家庭内で居場所がない場合・保護者との関係がうまくいっていない場合などは、そのご家庭を重点的にサポートしたり、保護者の話を聞いて寄り添うなどのケアもすることがあるそうです。

「保護者のケアのほうが大切な場合もある。」と話してくださいましたが、その子のみならず保護者にも寄り添うのは大変だと想像します。

厚労省の放課後等デイサービスのガイドラインには

  • 子育ての悩み等に対する相談を行うこと

  • 保護者の時間を保障するために、ケアを一時的に代行する支援を行うこと

と明記されており、こうしたデイサービスで保護者が子どもに向き合うゆとりと自信を回復することも、子どもの発達に好ましい影響を及ぼすとされています。

子どもたちのみならず、保護者の方々と真摯に向き合う姿勢から、宮下さん、成美さんはじめ、スタッフの皆さんの強さ・温かさを感じました。



「おひさま」スタッフの皆さんは、宮下さんの知人や親戚・幼なじみなどとても近しい関係の方々が多いそうです。

アットホームな印象を受けたのもなるほどと納得しました。

「おひさま」の様子ってどんな感じ?平日プログラム


平日プログラムの流れ

平日の「おひさま」のスケジュールを簡単にご紹介します。

学校のある日は、学校へお迎えにスタッフが行きます。車でピックアップしてもらい、「おひさま」に到着。

手洗いや荷物の片づけなど身の回りのことを済ませたら、各自宿題や日々の課題に取り掛かります。スタッフはこの時必要な場合に支援(宿題の手伝いや課題のサポートなど)をします。

また1人につき100円/日のおやつがあります。ストックしてあるおやつを各自食べることもありますが、近くの商店に買い物に行ったりクッキングして作ったりしながらみんなで食べることもあるそうです。

またその他の活動としては、季節の造形活動(工作など)や手芸をしてみたり、近所の公園で遊ぶこともあります。

そんなこんなで終わりの時間が近づくと、お帰りの会をして、ひとりひとり今日のふり返りと感想を発表します。時々時間が余ると絵本の読み聞かせなども行っています。

休日プログラムの流れ


続いて休日の「おひさま」のスケジュールを簡単にご紹介します。

学校のない日というのは、主に土・祝・夏休みなどの長期休暇・学校振替休日の場合です。

まずは朝から自宅へお迎えに行き、「おひさま」に到着します。

手洗い・荷物片付け・宿題・日々の課題をこなすなどは、平日と変わりありません。

自分のことが済んだら、自由遊び時間です✨

お昼ご飯は、長期休暇のときはみんなで計画を立てて「調理体験」をすることが多いそう。

午後のおやつタイムは、近くの商店に買い物に行ったりクッキングをしたり。

取材した日はあいにくの小雨模様でしたが、室内(2階)でみんなで室内運動会をして盛り上がっていました。

日によってレクリエーション・公園遊び・周辺散策・地域のイベントに参加させてもらうこともあります。

学校がお休みの期間は、みんなで遠出して広島市内までサーカスを見に行ったそうです。

江田島市に住んでいると公共の乗り物に乗る機会も少なく、大きなショッピングモールでお買い物をするという経験もなかなか出来ません。

そういう意味であえて遠出をし、サーカスの観覧ならばチケットを買うための金銭のやりとりをしたり、トイレの場所を人に聞いて確認したり、と普段はつい保護者が代わりにやってしまいがちなことを自分自身で解決できるよう力を養う目的があるのです。

そうして「おひさま」で一日フルに過ごしたあとは、お帰りの会へと続きます。

今日のふり返りと感想は、ひとりひとり自分の言葉で感想を言いあっていました。

自分の気持ちを言葉にして伝える経験としてとてもいいなと感じました。

休日プログラムを取材して感じたこと


休日プログラムの日に取材をして印象に残ったのは、ゲーム機やタブレット端末などの使用がOKであることです。

学校のある日は持ち込み出来ませんが、休日は保護者の許可があれば大丈夫とのこと。

利用する際は自分で時間を決めて、掲示してあるホワイトボードに利用時間を書き込みます。

ずっとダラダラと続けるのではなく、自分がどれだけスマホやタブレット端末を利用するのか、時間を計算してみんなに分かるようにホワイトボード上に記入することで、自分自身で管理する力もつきます。

成美さんは「あえて使わせることでネットリテラシーを学ぶ大切さを実感して欲しいから」使用OKとしているとのこと。

昨今、ネットリテラシーに対する認識が未熟な上にトラブルに巻き込まれたり犯罪に巻き込まれるという事件も耳にします。

何も障がいのない子どもたちですら、ネット上のトラブルに悩まされるケースは多いです。

まして彼らのように何かしらのハンデがある子どもたちは、ネットリテラシーを理解するまでにものすごく時間がかかります。

最悪の場合、犯罪の被害者のみならず加害者になってしまう危険性もはらんでいます。

そういう意味でも避けては通れない問題なので、タブレット端末やスマホ、ゲーム機の使用を見守ることも、子どもたちにとって大切なことを学ぶ機会になるのだと思います。

また、何故そうしたSNSやネット上のモラルやマナー、インターネットを正しく使いこなす知識や能力が必要なのかという部分を、ハンデを抱える子どもたちがきちんと理解出来るよう根気強く説明していくこともとても大切なことだと感じました。

今、小学生~中学生ともなればほとんどの子がスマホを持つ時代です。

LINEなどの連絡ツールは当たり前で、乗り遅れると仲間はずれにされたりという話も聞きます。

この日話を聞かせてもらった中でSNS上で実際に嫌な思いをした経験があると打ち明けてくれた子もいました。

「難しい問題ですが、野放しにはできないですね。」

と、成美さんは話していました。


後編へ続きます。

江田島市の放課後等デイサービス「おひさま」ってどんなところ?【後編】

参考:「おひさま」詳細

  • 利用可能時間

学校が休みの日 10時~17時まで

学校がある日 14時~18時まで

  • 一日あたりの利用定員は基本10名(実際は10名を超える場合もある)

  • 運営会社:株式会社太陽

  • 所在地 〒737-2211 広島県江田島市大柿町柿浦1954-1

  • 電話:0823-57-2225

  • FAX:0823-57-2252

  • おひさまHP

  • Instagram

  • Facebook

参考:放課後等デイサービスとは?

厚労省 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000082831.html

リタリコ発達ナビ https://h-navi.jp/column/article/35025515

放課後等デイサービスについて|LITALICOジュニア https://junior.litalico.jp/shugakugo/day-service/

児童福祉法一部改正の概要について|厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsushien/dl/setdumeikai_0113_04.pdf

障害福祉サービスにおける サービス管理責任者について|厚生労働省http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000106771_1.pdf

障害児の利用者負担|厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/service/hutanの2.html

いつもありがとうございます✨何かしらのお役に立てば幸いです。