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ウチの子 発達障害!?vol.91~95

vol.91「友達はきちんと選べ」

 息子の通う工業高校では、普通科の学校より少し早めの6月に三者面談があった。担任は専門学科を教える若い女の先生で、私が教室に着いた時には息子と談笑していた。
 一番の心配事は、息子がクラスで人間関係を上手く築けているかどうかだったので、いろいろ気になっていたことを聞いてみたが、特にトラブルもなく安心した。先生は息子に「何もクラスメイト全員と仲良くしなくてもいいのよ。でも実習の時は、同じ班の子と協力し合ってほしい。それだけ守ってくれたら。」と言ってくれた。
 私はこれまで息子に「友達はきちんと選んだ方がいいし、イヤだと思う子と無理をして付き合わなくていい。」と繰り返し伝えてきた。今、息子にはいつでも一緒にいるような親密な友達はいないが、いろんな場面でいろんな友達から声がかかり、楽しそうに過ごしている。
 小学生の頃は親友と呼べるような子がいないことに不安を覚えた時期もあったが、一人でも自分のやりたいことにチャレンジしていく息子の姿に、これで良かったと思う。(2018.9)

vol.92「下見はきちんとやったので」

 息子を普通科の高校へ…とは思えず、早いうちから工業系の高校へ行かせようとせっせと準備をしていた私たち。しかし周囲の人たちはかなり心配していたらしい。
 高校へ入学してすぐの頃は、朝の通学中に中学の同級生と出会う機会が多く、その度に「学校でいじめられていない?」と声をかけられていたそうだ。高校入試の事前説明では受験する学校別に並ぶので、誰がどの学校を受験するのか、ある程度分かってしまう。その時に息子の受験校を知った子たちが、「あいつ大丈夫か?」と心配していたということだった。
 当時の担任の先生が心配してくれていたのも分かっていた。だからこそ、何度も足を運んで学校の雰囲気や生徒の様子を見に行き、在学中の子がいるお母さんにも話を聞いた上で、ここなら大丈夫だろうと思って志望校に決めた。
 その昔、私の弟も工業高校に通っていたが、あの時代を思えば今は平和。「そんなもんよねぇ。」と思いながら息子の話を聞くのが楽しい。
(2018.10)

vol.93「1の2乗はいくつ?」

 10月初旬、息子の高校では2学期の中間テストがあった。実はテスト前に「数学の二次関数がよく分からない」というので勉強を見てあげた。少し急いで詰め込んだものの、大体理解できていたので大丈夫だろうと思い、前日はあえて確認もしなかった。
 ところが翌週、返されたテストの点数はなんと25点。答案用紙を見せてもらったところ、教えられたことはできているのに「なんで?」と思うようなことを間違えている。少し間を置いて、私は息子に「1の2乗っていくつ?」と尋ねた。息子は驚いて答案を覗き込み、「1の2乗は1よなぁ。そりゃ、これを間違えたらこんな点数になるわ」。
 おそらく急ピッチで詰め込んだため、頭の中でうまく整理がついていなかったのだ。息子の情報処理速度が低いことをすっかり忘れていた。掛け算の九九同様、「1の2乗」なんて絶対に間違えてはならないのに…。
 それでも本人がなぜ間違えたのかを理解できれば、きっと次は大丈夫だと思う。経験を通して彼が自分の性質(たち)を自覚して、社会へ出ていくまでに改善していけばよいのだ。(2018.11)

vol.94「共感が大切」

 先日、新聞の投書欄で「電車好きの息子の成長が楽しみ」という記事を読み、その内容が素晴らしいと思った。その方は電車好きの息子さんが幼少の頃から一緒に鉄道イベントなどに出かけ、彼から電車の格好良さを教えてもらって自分も電車好きになり、今では撮影も一緒に楽しんでいるとのこと。ある日息子さんから「お母さんの夢は?」と聞かれて「しまかぜに乗ること」と答えたら、「僕が働いたお金で乗せてあげる」と言われたそうだ。それからというもの、道端で求人情報を見ては「自分にもできるかなぁ」と思案しているかわいらしい姿に目を細めつつ、しまかぜに乗せてもらえるのを楽しみにしているという話だった。
 うちの息子も同じく電車好きだが、母にこんな言葉をかけてくれたことはない。息子への共感が足りていなかったからなのか、それとも面倒くさがって本当に乗りたがっていた電車に乗せてやっていなかったからなのか…。何だろう、この違い(笑)。
 さて私の愚痴は脇に置き、「共感すること」は大切なこと。指さしを始めた頃からはぜひ、お子さんの気持ちに共感してあげてください。(2018.12)

vol.95「ゆるい育ちの息子」

 なぜか周囲の人を「何かしてあげたい!」という思いにさせてしまうという不思議な能力?魅力?を持つ息子(笑)。友人や学校の先生、そして母親の私にいろいろ大目に見られながら、スパルタとは真逆のゆる~い毎日を送っている。
 さて毎年12月には、息子の通う高校が中学生のロボット工作部などの大会会場になる。ありがたいことに副担任の先生が「手伝わないか?」と声をかけてくださったようで、息子が「手伝いに行ってもいいかなぁ」と相談してきた。もちろん「行っておいで」と背中を押した。
 当日は朝早くから体育館で会場の準備を行い、先生の指示を受けてあちこち走り回っていたようだ。そして終了後には「また来年も頼むぞ」と言われたと、帰ってきてから嬉しそうに話してくれた。
 人に何かを任されるという経験が少ない息子にとって、今回のお誘いは良い経験になったようだ。就職やその先のことを考えるとまだまだ心配は尽きないが、自身の特性を知るためにも、今後もいろんな経験を積んでいってほしいと思う。(2019.1)


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