見出し画像

「ねっこぼっこ」が生まれるまで

「やっぱり、オンラインサークルなんじゃない?」

こんな一言が発せられたのは去年の秋、ちょうど台風19号で被災された方のための衣類を配っていた時でした。満が生まれて20年。当時赤ちゃんだったちびっこは成長し、社会の変化は一層激しくなり、移り変わりの中で、満は少しずつ大きくなっていきました。

満の生まれたきっかけはこちらの記事を読んでみてください!

今では
・地域子育て支援センター事業
・地域情報の発信
・ママのお助けコンシェルジュ
・川崎市の産前産後家庭支援ヘルパー派遣事業
・児童発達支援事業所「こども発達支援ルームマオポポ」
・「親子体操」「そとあそびこどもクラブのびる」などのイベント
など、この地域で子育てする人たちをサポートするための事業に取り組み、活動を応援してくれる人たちも増えてきました。

私たちが地域子育て支援センターの委託を受けたのは10年ほど前のこと。週に3日、平日の9時半から12時半までこども文化センターの一室を定期的に借りて開催しています。赤ちゃん連れ乳幼児連れのママパパ同士が交流できる場、小さな子が初めて同世代の子どもたちと出会い遊ぶ場は、時にスタッフも巻き込んで、子育ての悩みや楽しさを共有する場になっていきました。

子育て支援センターで、スタッフが利用者さんから相談を受けるけれど案内できないものの一つが、「いざという時の預け先」でした。「急に体調不良になったときに、保育園の緊急一時預かりは利用できない?!」「切迫早産で安静と言われたけれど上の子の預け先がなくて大変だった」…。
公的なサービスがないなら、私たちでサービスを立ち上げよう。そんな呼びかけから「ママのお助けコンシェルジュ」ははじまりました。「完全不定期」「急を要する預かり」といった無茶な案件を、子育て支援センターのスタッフがコンシェルジュとなって支えてくれています。

 一方で、子育てを取り巻く環境は劇的に変わりました。仕事を持つママがここ数年急激に増加しています。職場復帰したら、平日開所の子育て支援センターには来れません。また行政の情報発信がネットに移行する中で、特に第一子出産のときに、地域の有用な子育て情報にたどり着かない人たちも増えていると感じています。
 コンシェルジュ先で「悩みを誰に相談したらいいか分からない」「泣いてばかりいる赤ちゃんと2人きりの毎日が辛い」といった声を聞いたり、マタニティブルーであると打ち明けられたりすることも増えています。

 ライフスタイルの多様化からリアルな子育て支援センターに足を運べる人の数が減っている。ネットには情報があふれ、本当に必要な地域情報が必要な人にうまく届かない。そんな状況の中、横浜と東京に挟まれた川崎という都会で子育てと向き合っている人と一緒に満が出来ることは何かー。たどり着いた答えが「オンラインサークル」でした。

 昨今の子育ては何かと窮屈になりがち。目に見える繋がりは薄く孤独を感じたりする場面も多いかもしれないけれど、コミュニティの輪はとっくにインターネットまで広がっている。

 もしも、ネットでつながっているけど、地域を意識した子育てサークルがあったら?「必要になったらすぐに会いに行ける」コミュニティがあったら?顔が見えない分、自分の思うように携わることのできるコミュニティになるんじゃないかな、と思います。子どもに振り回された日の夜に、おしゃべりをする場として。困った時にすぐ相談に乗れる場として。情報を効率的に知る場として。オンラインだからこそ作れる気兼ねない関係というのもあるんじゃないかな。

そんな想いが集まって、オンラインサークル「ねっこぼっこ」が出来ました。

 インターネットでつながる子育てサークル。LINEのオープンチャット機能を使ったり、サークルの掲示板を使って交流したり、お花見みたいな季節のイベントをやったり、保活情報交換会や子育て相談会を開催したりできればと思っています。
 そしてサークルメンバーになってくれた人たちがその時にやりたいことを満のいろんなツール・コネクションを使って実現して楽しみ、その輪を少しずつ広げていってくれるといいな、と。もちろんサークルのスタッフも楽しみ、全力でサポートしたいな、と思っています。

「なんで有料なの?」の声はたくさん

 ねっこぼっこには「有料」のサークル部分と「無料」の閲覧部分とに分かれています。無料で読める記事はたくさんあります。緊急時の近隣の病院、産後の母乳ケアをお願いできる場、地域のサークル情報、幼稚園入園に関する情報、一時預かりに関する情報…など、満のHPに掲載していたいわゆる「地域情報」をnoteに移行します。

 月500円で参加できる有料のサークル部分では「一緒に」をモットーに色々なことを企画したいと思います。オンライン相談会の内容も、イベントの実施も、考えてはいるけれど、まだまだ新しいことが出来るんじゃないかな、「する」「される」という関係ではなく、「一緒にする」関係を作っていきたいな、と思っています。もちろん、携わり方、関わり方は参加する人の自由で。

 これまで、満の活動は平日の日中に行われてきました。「満」スタッフを直接知っている子育て支援センター利用者さんやその友だちなどでないとイベントは見逃されがち。友達がいなかったり、平日働いていたりすると、情報が届かずに参加できないということも間々あったと思います。知り合いも伝手もない方がオンラインでつながれる場として、時間がなくても手軽に情報収集が出来る場として、活用してほしいなと思っています。

 今回、オンラインサークルを開くにあたって、およそ半年間、運営チームの中で、議論を交わしながら、多くのことを考えてきました。
「なぜオンラインサークルを作りたいと思ったのか」
「どんなことをしていこうか」
話し合いを繰り返し、形作っていくその中で最も頭を悩ませたのが「お金」の話でした。

 子育てにはお金がかかるし、普段からお金を節約している人もたくさんいる。目の見えないものに、しかもオンラインでつながる場所に月々でお金を払ってもらえるのか?
 今までボランティアでやってきた部分が多かったからこそ、そして、自分の子育ての実体験があったからこそ、有料にすることに対して葛藤や悩む部分も多く、「月額500円」たどり着くまでに数か月を要しました。

けれど有料化を提案するときに考えたのは、満の活動を支えてくれている多くのスタッフ、そして未来の満の姿でした。

満の活動はたくさんの人たちの「善意」で成り立っています。デザインを考えてくれるスタッフや、運営に参加しているスタッフも多くは満に賛同して活動を支えています。けれどスタッフにも生活があり、自分の子を育てるにもたくさんのお金がかかります。

 20年前と社会の価値観は変わりました。かつてはタダ同然であった情報や繋がりに価値が生まれました。満の抱えているコネクションや情報をさらなる世代に繋げていくことも大切になってきました。やりたいことを今後も企画し、満としての活動を続けていくためには、未来のママ・パパを助けるためには、「活動のためのお金」が必要になるという現実もあるのです。
 「繋がりの価値」は実感しにくい。多くの人たちに応援されている活動だからこそ、こうして様々な活動を支えてくれるスタッフに「善意」を形あるものとして還元したい。「活動に参加してよかった」とみんなが思えるような団体にしていきたいという想いもあります。
 新しい暮らし方として、「お母さん」の役割を終えた人の社会でのありかたを作っていきたいという気持ちもあります。

 今だからこそなかなか外出がしにくく、外で誰かと会ったり何かをすることの難しさを実感する分、多くの方がオンラインであることの重要性を実感されているかと思います。また少しずつ戻っていくであろう日常生活がこれまでと同じである保証はありません。新しく来る時代に子育て支援の在り方も変わっていくでしょう。今まで通り子育てに時間を取れなくなってくる方も、「繋がり」を常に保つことが難しくなってくる方も増えてくると思います。月500円で、週1回の自販機で買う飲み物の代わりで、カフェで飲むコーヒーの代わりで、地域での子育てのつながり、安心感はいかがでしょう?それぞれの携わり方の中で、子育ての中にオンラインでつながれる安心感を取り入れてみませんか?

 もちろん、500円以上の価値を生み出せるよう持てるだけの力を使って、支援をしたいと思いますし、500円以上の価値を還元できるよう、運営していきたいと思っています。「ねっこぼっこ」に参加してよかった、と心から思ってほしいから。

 満が生まれて20年。子育ての形は大きく変わってきました。自分の親がしてくれた子育てが参考にならない機会も増えてきました。それでも答えのない毎日の中で子どもと向き合いながら、自分なりの子育ての答えを出し続けなくてはいけない。20年間都会で子育てと向き合いながらそれぞれの形を見つけたメンバーがいるから、一緒に答えを探すことも、悩むことも、想いを形にすることもできる。今満に携わってくれている多くのメンバーがそうであったように、一緒に満の中で自分なりの子育ての形を探していきたいな、と思います。

 社会が大きな転換点を迎え、満も大きな転換点を迎えようとしています。一緒に新しい満を、そしてそれぞれの子育ての形を探し、悩み、共に創っていきませんか?

(orca)

サポートいただけると励みになります!いただいたサポートは、会員の皆さんの活動につながるよう、使わせていただきます!