山田太一が遺した言葉

「このドラマをテレビ局内に通すには、企画書に『コンセプト』を書いて下さい」

脚本家・山田太一さんがテレビ局のプロデューサーによく言われた言葉。

山田太一さんは「短い企画書」に「コンセプトと言われるもの」を書き、ドラマの企画を通す。

実際の脚本を書く時は、この「コンセプト」を全て忘れ去ってしまうそうだ。

脚本は「感性」で書く。「コンセプト」など、邪魔になるばかり。

山田太一さんはこうも言っている。

御自身が助監督として働かれていた「松竹大船撮影所」から湧き起こった大島渚や吉田喜重の「松竹ヌーベルバーグ」が大嫌いとの事。

つまり、「理屈」や「主義」「主張」などを言う奴は碌でも無いと。

僕もそう思う。大島渚の映画のどこが面白いのか、さっぱり分からないからだ。

脚本は書き上げた時、普通の人々の会話の裏側にさりげなく「何か訴えかけるもの」が有れば良いと思う。

山田太一作品は、そんな「訴え」さえも無理強いしない。

多角的な視点から、世の中を捉えている。

だから、観てから何年経っても、多くの人々の心に焼き付いているのかも知れない。

昨年末、山田太一さんが亡くなられてから、脚本・インタビュー・エッセイ、様々なものを読み続けた。

心が洗われる感じがした。
心が元気になった様に思った。

未見のドラマもあるけれど、それはこれからの楽しみに取っておけば良い。

ちなみに、山田太一さんの最後の連続ドラマ「ありふれた奇跡」のDVDは楽天の「レンタル落ち」で1980円で入手した。

いつか、孫が大人になった時、このDVDを観せてあげたい。

何十年経っても全く古びない山田太一ドラマに彼らは何を考え、何を子孫に伝えて行くのだろう。

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