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未経験デザイナーがベトナムのスタートアップ「freeC」に飛び込んで、一人目のデザイナとして過ごした7ヶ月の記録

こんにちは。
先日、ベトナムのHRtechスタートアップ「freecracy」でのデザイナーインターンを卒業しました、三上蒼太(@sota_mikami)です。

9月に入った頃から振り返りを書こう書こうとしながらも、なかなかまとめることができず。これ以上後ろ倒しにすることはできないし、代表が1年の振り返りを投稿している事に刺激を受けて、僕も筆をとります。

インターン開始前

インターン開始前に書いたnoteがこちら

2019年1月。タイ放浪中。
タイで会った友人から、「SNSで"デザイナーです"と名乗っているほどにはデザイナーらしくないよね」という一言をもらいました。この言葉のおかげで、僕はこの7ヶ月を過ごすことができています。

2019年10月から、新卒でアトラエという会社にデザイナーとして新卒入社することが決まっていました。
ただ、僕にはその実務経験がありませんでした。2018年4月にデザイナーになると決め、独学でデザインの勉強をした後、フリーランスの真似事でいくつかのプロジェクトに参加させていただいてはいました。しかしやはり実力も経験も圧倒的に弱く、関わっていただいた方々にはたくさんご迷惑をおかけしてしまっています。。。

当時、デザイナとしての自信は正直あまりありませんでした。SNSでは興味のある東南アジアスタートアップのことばかりを発信していたし、収入になっていたのはほとんどデザインではないお仕事からでした。

「デザイナーらしくないよね」は本当に図星でした。
あの言葉に傷ついたあと、「未経験でも受け入れてくれる」「10月から就職が決まっているけど受け入れてくれる」かつ「自分が大好きな東南アジアに向けたプロダクトに関われる」ところにインターンの応募をしていきました。

第一希望は中途しかとっていない、とお断り。
第二希望は10月からの就職予定があるのなら、、とお断り。
最終的に受け入れてくれたfreecracy社は、第三希望でした。

突然送った長文のメッセンジャーに対し『みかみさんの思いと弊社でできること含め是非ディスカッションしましょう!』と返信をいただきました。翌日通話をし、その場で是非にと受け入れていただくことが決まったのです。

第一希望も第二希望も、アジアにユーザーの多い会社さんではあるものの、オフィスは日本です。
一方でfreecracyはベトナムの会社でした。ベトナム人向けのビジネスSNSを提供している会社です。やはり僕に縁があるのはベトナムなようで、これ以上にないベストすぎる環境とチャンスをいただけたのです。


2月~3月:インターン開始して楽しい時期

インターン開始は2月18日でした。

初日の仕事は引っ越し笑


渡されたタスクに対応しつつ、とにかくfreeCを理解していくこと、創業者の頭を理解していく事に努めた時期だったと思います(その後もプロダクト理解は続くのですが)。

POC CXOの深津さんや、noteでデザイナーをしていた泰斗くん、アトラエのたけてつさんのnoteを何度も何度も読みながら、その真似事ができないかと模索していました。

プログラミングでの貢献ができない分、UIに限らずがっつり「デザイン」をやっていこうという気概でいました。

noteやSpeakerdeck等で公開される先人の方々の知見を元に、またアトラエの先輩デザイナさんからたくさんフィードバックをいただきながら、とにかく楽しくデザインしていました。

会社にはデザイナの上司や先輩がいないので、freecracy社におけるデザインのトップは僕です。実務未経験ですが、いきなりトップになりました。おかげで大きな裁量権でデザイン周り全般の仕事を経験でき、とても楽しく働いていました。

特にこの時期の大きな動きは、企業向けページのリニューアルプロジェクトでした。
力不足すぎだと後から自覚するようになるのですが、この時期は楽しくデザインしていました。

当時書いたnote


4月~5月:手探り期

4月上旬にCPOが参画したことを皮切りに、手探り期間に入ります。

開発の進め方についての手探り期間です。

実は僕が入る前には期間限定のCDOさんがいらっしゃり、その人はフロントもできる方。サーバーサイド担当の当時のCTOとCDOのお二人を中心にゴリゴリ開発していくスタイルだったそう。
ただ年明けでCDOが卒業したり、フロントが書けない僕の参画があったりと、開発体制が一新されるフェーズでした。

以前はあーだこーだ話し合いながらデザインも開発も一緒に行なっていたものが、この頃には「企画→デザイン→開発」というフローができていました。それ自体は自然なことかもしれませんが、「プロダクトコンセプトやビジネスモデルの変容」「仕様の手戻り」「デザインの手戻り」「開発の手戻り」「使われない機能の開発」など、非効率なことが目立つようになっていたのです。

特に先述の企業向けページのリニューアルについては、ただのリデザインではなく新機能の開発も同時に進めていました。当時PM不在の中、僕が作ったデザインファイルをただ渡すだけでコミュニケーションもろくにとれていなかったため、開発ステップでたくさんの不具合や想定不足が散見されてしまっていました。

このままではいけないよねと、CEOを中心にコンセプトメイキングを進めたり、CPOを中心にプロダクトの開発フローの健全化を進めていました。

この頃に読みまくっていたのはdelyでプロダクトマネージャーをされている奥原さんのnote。

CEOと僕で企画・議論をし、僕がデザインを作って開発チームにただ渡していたというフローは止めました。Product MTGを定期的に開催するようにし、そこでプロダクトのコンセプトを固めていくと同時に、新開発のプロダクトレビュー、デザインレビュー、開発スケジュールの確認などを逐一行うようにしたのです。マーケティングの観点からのツッコミ、営業サイドからのツッコミ、開発サイドからのツッコミや実現可能性についての検討など、プロダクトを良いものにするためにみんなで遠慮なく議論をし続けました。

開発フローや開発体制、デザインと開発のコミュニケーションのあり方など、いろんな観点でアップデートを繰り返しました。まだまだ模索中ではあるものの、少しずつ良くなっていく感覚があり、とても大切な時期でした。

この頃から、「プロダクトはチームで開発していくものである」と強く意識するようになりました。
特に企業ページに関して、僕はデザインをただ丸投げしていたのです。その先にいるフロントメンバーのことを全く考えられていませんでした。しかも僕は日本人でフロントメンバーはベトナム人。言葉の壁もある中で、雑なコミュニケーションをしていては良いものができるはずがないと、大きな反省と学びになりました。


6月~7月:(多分)一番の成長期

会社としてはステルスの時期。
プロダクト開発チームとしては、Nativeアプリのデザインと開発に取り組んでいた時期です。

己のデザインに対する意識の変化

定期的にProductMTGが開催されるようになり、デザインレビューされる機会も増えました。そのおかげで、デザインへの意識も変化がありました。

企業向けページをデザインしていた時は、大方整った段階でレビューがあり(あるいはページによってはそれもすっ飛ばし)開発サイドに渡していました。
しかしProductMTGがあることで、僕が作るデザインはだんたん「議論をするための材料」となっていきました。作ったデザインには愛着があるので、以前まではそれに批判を食らうと悲しい気持ちになっていました。しかしだんだんと「僕が考えるさいきょうのデザイン」から「みんなで良いものを作るための僕からの提案」と意識が変わり、(時々はムカつくものの)批判も気にならなくなりました。というか批判ではなく意見。「たしかにそうですよね」と、理解できるようになりました。

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("さいきょうのデザイン"だけを見せるのを辞め、ボツ案も共有しながら議論するようにした)

こちらの上野さんの連続ツイートはよく考えさせられ、デザイナーとしてのスタンスを改めるヒントになりました。


デザイン&開発のやりとりの変化

また、前回の大型プロジェクトである企業向けページリニューアルでの大反省点である、「開発サイドとのコミュニケーション不足」をまた起こさないよう、NativeAppのプロジェクトではよくよく注意しました。

ProductMTGの開催はもちろんのこと、仕様書・デザイン指示書を書くようになりました。
また、開発チームがタスクを分けやすいよう、タスク単位でFigmaのページを分割するなど、模索していました。

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(ページ分けされたデザインファイル)


デザインを「運用する」意識

企業向けページのリニューアルプロジェクトで失敗してしまい、そこから学んだことは他にも山ほどありました。コンセプト設計から甘いこと。Componentを上手に作れておらず更新が容易ではないこと。数々の手戻りの結果、一貫性のあるデザインが保てていないことなど。

一度企業向けページがリリースされた後、アップデートをしようと再度デザインファイルをいじろうとした時に「デザイン的負債」を残してしまっていることを自覚させられました。
更新も管理も容易ではないデザインファイルは、単発案件ではないプロダクト開発にとって致命的に思えました。
同じ失敗を避けるべく、世の中に公開されている質の高いデザインファイルを集めてファイル構造を学んだり、Component管理や「運用するためのデザイン」についてを調べ、自分なりの解を探しました。

悩んでいた頃に書いたnote

リサーチをし、管理・運用ルールやComponentの命名ルールを記したドキュメント等を作成しました。

おかげさまでNativeAppのデザインファイルは企業向けページと比べても明らかに整理され、新しいデザインのアップデートはとてもやりやすいものになりました。


後輩デザイナーの参画

もう一つ僕にとって大きかった出来事は、後輩デザイナがインターンとして入ったことです。
僕より2つ歳下で(僕と同じく)実務未経験ながら、大学でデザインを学び、全然僕よりデザインのレベルは高い。デザインのレベルが高いかつベトナム人でありユーザーの感覚が僕よりもわかる彼女。一方僕は日本語でCEOと会話ができプロダクトや会社のビジョンを比較的よくわかっている、かつ数ヶ月の実務経験がある人です。

少し戸惑いながらも彼女の上司となり、デザインチームを率いる役割となりました。

僕と彼女には圧倒的な言語力の差もありました。彼女はニュージーランドへの留学経験もあり、英語はかなり堪能かつ流暢。一方で僕はジャパングリッシュ。

チームとしてたくさんコミュニケーションを取るべきなのに、言葉の壁を感じてしまい、僕はあまり積極的になれませんでした。
そんな中、彼女が指摘してくれたデザイン上の問題点について、僕は曖昧な返事をするだけで彼女の意見を受け入れない。そんな状況が複数回続いた時がありました。その時、完全にデザインチームの空気は悪くなってしまいました。

決して悪気があって無視していた訳ではありませんが、これは完全な僕の間違いです。チームとして、コミュニケーションをおろそかにしたりサボったりしてはいけなかったのです。
急遽デザインチームでのミーティングを持ち、感じている不満やモヤモヤをお互い全て吐き出す時間としました。その全てのトピックについて二人で議論をし尽くすことで、問題は解消することができました。

問題の解決はあまりにもあっさりでした。「抱えている問題点を言葉にし、それについて話し合う」、これだけです。これだけで解決するのです。
そのような機会を意識的に作ることの重要性を感じ、それ以降は毎週定例のチームミーティングを開催しました。それにより、どんどんお互いの抱えている問題はクリアになり、日頃の会話も増えていきました。それによって僕の英語力も多分伸びました。

一度彼女と険悪になりそれを立て直せたという経験は、チームの信頼を育む貴重なものになりました。


8月~9月:変革期

8月頭には、ついにiOS/Androidのアプリがリリース!
それまでユーザー向けにはPWAでのサービス提供をしていましたが、新たなコンセプトでの価値提案をすべく、NativeAppをメインに切り替えました。セールス、マーケティングチームのアクセルも強く踏み込むようになります。

引き続き定期開催していたProductMTGの内容は、だんだんデザインレビューではなくプロダクトの改善議論がメインになっていきました。
実際に上がってくるユーザーのデータを見ながら改善施策を考えることは、「これこそプロダクトのデザイン、スタートアップのデザイン」という感じがし、とてもエキサイティングでした。

この頃からグロースハックに強く関心を持つようになっています。

MESON CEOのKAJIさんのnote、Speakerdeckは聖書です🙏
何度読んだかわからないほどに読み返しています。
一番読み返しているnote


その一方で、後輩のデザイナーは次の大型プロジェクトのデザイン担当となり、それを進めてくれます。
デザインのレベルは彼女の方が高いものの、プロダクトやDB構造の理解は僕の方があります。デザインを進めていくにつれ、彼女の理解不足が顕著にあらわれるようになり、僕によるクオリティコントロールが必要であることを知りました。というか、「このプロジェクトは僕、このプロジェクトは君ね」と単に仕事を分担するのではなく、"チームとしての成果物を出す"ことが大事であると学ぶ機会になりました。"freeCというチーム"、"freeCの中のプロダクト開発チーム"、"プロダクト開発チームの中の、デザインチーム"それぞれでのチームの意識です。

僕は既存プロダクトのアップデート、彼女は新プロダクトのデザインと、分業はしているものの、僕のアウトプットには彼女からのフィードバックをもらうようにし、彼女のアウトプットには僕のフィードバックを送るようにしました。こういう点で、Figmaはめちゃくちゃ便利です。気軽に相手のワークスペースを覗いてリアルタイムの動きを把握しつつコメントを残せます。少しずつメンバーのプロジェクトに首をつっこむ癖をつけることで、会話の機会も質も上がり、チームとしてさらに強くなれた気がします。

9月には組織の変革もありました。
最強CTOの参画です。

ベトナムにおいての大卒平均給与は300USD。エンジニアの場合は1000~3000USDがボリュームゾーンということを考えると、彼のすごさが伝わるでしょうか。

これまで日本人メンバーが中心となっていた開発体制(開発トップもデザイントップも日本人)から、新CTOの参画と僕の卒業とで、ベトナム人メンバー中心の体制にシフトします。ベトナム人向けプロダクトを作る組織としては、この方が適切でしょう。日本人は日本人としてのバリューを発揮しつつ、ベトナム人が引っ張っていくチームができると最高だなと思います。


やりきれなかったこと

freeCらしいデザインの確立」。これに尽きます。

freeCらしいデザインとはなんなのか。僕らが大切にすべきことはなにか、しないことはなにか、など。freeCとしてのデザインガイドラインやデザインフィロソフィーのようなものをきちんと確立させたかったけれど、できませんでした。
もう一人のデザイナーとそういう話をしてはいるものの、ドキュメントとしてまとめ、運用していくということは叶いませんでした。
スタートアップという組織でいつそんなドキュメントを作るかという問題もありますし、属人化したデザインの知見で突っ走っていくことも不可能ではないでしょう。

ただ、もともと9月で卒業することを決めていた身としては、僕が抜けた後のことを考えずにはいられませんでした。
「属人化」を嫌い、丁寧な命名規則を作ったり、Figmaファイルの運用ルールを定めはしましたが、それは不完全とわかってはいたのでもう一人のデザイナに共有はしても強要することはできませんでした。自分一人で運用し、改変していました。

結果、僕と彼女のデザインファイルの作り方や使い方は若干異なってしまっています。ただ彼女のやり方が間違っているとも思わないし、なんなら僕より良い部分もあるし、やはり解はまだ見えません。

ペアデザインでお互いの使い方を見せ合う機会を作ることで僕の持つナレッジは伝えきり、かつ僕が考えてきた課題感を共有することで、この課題解決は彼女に引き継いでもらうこととしました。

特に、僕の初期プロジェクトだった企業向けページについては、たくさん改修したい物を残してしまいました。
LinkedInの創業者の名言に「最初のプロダクトを恥ずかしいと思わなかったら、ローンチが遅すぎるということ。」という言葉があるとはいえ、恥ずかしいものをそのままにしてしまっています。
改修は僕一人でできるわけではなく、フロントメンバーの工数も必要です。もちろん僕のリソースも必要です。「恥ずかしいから。負債を残したくないから」という理由だけではスタートアップの貴重な時間を使うことはできませんでした。

僕は"デザインシステム"というものを知ってからその存在に憧れを感じています。銀の弾丸ではないことはわかりつつも、これを作りきることができてその運用が浸透すれば、僕が抜けた後も一貫性のあるデザインが望めるではないか!と、知った時は興奮したものです。

Yahoo!社の春野さん、Cookpad社の藤井さんのSpeakerdeckはもはや愛読書です。



しかし、実際に豪華なデザインシステムを構築するには僕らはまだ早すぎるとも感じます。仮説と検証を繰り返していくべき今のフェーズにおいては、もっと簡易的なもので十分でしょう。

デザイナーのやりたいことだけでなく、会社やプロダクトのフェーズ、KGI/KPIなどいろんな側面から物事を考えられるようになったのも、freeCで7ヶ月デザインリードができたからです。本当に貴重な経験をすることができました。


インターン卒業後、これから

10月1日より、株式会社アトラエに新卒入社します。

大好きなベトナムの"ベ"の字もない会社ですが、この組織が心から好きになって入社を決めました。
「世界中の人々を魅了する会社を創る」と言っているこの会社を、本当にそうするべく、とにかく「海外に行こう(僕が行きたい東南アジアに行こう)。」と言い続け、実行していけるよう励みます。

また、アトラエには素晴らしいデザイナーの先輩が多くいます。
freeCで荒く身につけた経験を、先輩方から学ぶことでより理解を深めていければと思っています。


最後に

長文でしたがここまで読んでいただきありがとうございました!
freeCおよびアトラエおよび僕に興味を持っていただけた方は以下のいずれかからご連絡いただけると嬉しいです🙌

【freeCに興味を持ってくださった方へ】
freecracy株式会社へのお問い合わせ、取材依頼、その他のご意見につきましては、こちらのフォームよりぜひご連絡いただければ嬉しいです → https://freecracy.com/contact


【アトラエに興味を持ってくださった方へ】
世界中の人々を魅了する会社を創りたい、または誇りある事業を作りたいという方、(しかもそれを東南アジアでしたいという気概がある方は、)是非アトラエに遊びに来てください・:*+.\(( °ω° ))/.:+

全職種、通年で採用しています。


【僕に興味を持ってくださった方へ】
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