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ショートショート:日曜日

男は久しぶりに充実した日曜日を過ごした。数年ぶりに会う友人たちと酒を飲みかわし、近況報告や昔話に華を咲かせたのだ。

最近は土日にも仕事が浸食してきており、休みの日も寝て過ごすことが多かったが、この日ばかりは彼も仕事を忘れて楽しんだ。

酒宴が盛り上がりすぎて時刻は0時を回り、男はすっかり終電を逃してしまった。仕方がない、と男はタクシーを使い家路についた。心地よい疲れに包まれた男は帰宅後シャワーも浴びずに床に就くことにした。

男は夢うつつのなか酒の場の会話を思い返しては幸せな気持ちに包まれていた。

ああ、今日がずっと続けばいいのに…

そう思いながら男は眠りに落ちていった。

男の願いを聞いた神さまは、それを叶えてやることにした。日ごろから勤勉で熱心に働く姿を見ていて、男に報いてやろうと思ったのだ。神さまが何かを唱えながら杖を振ると、男の体を温かい光が包み込んだ。

男の願いは叶った。

その日から終わらない月曜日が始まった。

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