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閃きの生まれる場所「三上」

わたしが今の部署に異動してきて数ヵ月がたったときだった。

実験結果の分析方法に悩み、パソコンとにらめっこしていたとき、上司が何か印刷した紙をわたしに渡した。
その紙にはこう書かれてた。

三上(サンジョウ)
《欧陽脩「帰田録」の「余、平生作る所の文章、多くは三上に在り。乃ち馬上・枕上・厠上なり」から》文章を考えるのに最も都合がよいという三つの場面。馬に乗っているとき、寝床に入っているとき、便所に入っているとき。

そして上司にこう言われた。

「机に向かってたってなにも閃かないよ。通勤中やベッドの上にいるとき、トイレにいるときといった、ふとした瞬間に閃くもんなんだから。」

当時のわたしは、わかるようなわからないような…と思いながら、もらった紙を大事に鞄の中にしまった。


そして先日、思考の整理学という本を読んでいたら、三上の話が出てきた。

鞍上、枕上、厠上。鞍上はいま様に言うなら通勤電車の中である。枕上は床の中。厠上はトイレの中である。いずれもいい考えが出そうにないところばかり。ところが、そういうときに限って考えあぐねていたことについての、いいヒントがひらめく。

あのときの上司の話はこの本の話だったかもしれない、と本を読みながら思った。

そこで、自分が三上で閃いたりことがあるか、振り返ってみることにした。

まずは馬上。
わたしは普段電車と自転車で通勤している。
電車の中では基本爆睡なので、何も考えてさえいないが、自転車に乗っているときに突然「はっ!」となることがある。
それは忘れていたことを思い出したときの「はっ!」であることが多いのだが、時々閃いたときの「はっ!」であることもある。
この間、仕事でいいアイデアが閃いたのは自転車で通勤しているときだった。

次は枕上。
わたしはベッドに入ったら基本すぐ寝るタイプ。
たまに心配ごとについて、寝る前にずっと考えてしまうことはあるけど、ベッドの上で何か閃いた覚えはない。

最後に厠上。
トイレは自分ひとりの世界に入りこみやすくなるので、考え事をするにはいい場所だと思う。
ただ、トイレで何か閃いた覚えはない。

どうやらわたしの場合は馬上、もっというと自転車上が一番閃くようだ。というか、他の場所は全然ダメ。
ただ、三上が考え事をしたり閃いたりしやすい場所(瞬間)であることは確かだと思う。


もしこれを読んだあなたが、いい考えが閃かなくて悩んだときは、「三上」をぜひ思い出してみてほしい。




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♪今日のお供

COLD DISC/ストレイテナー


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