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縁
もうここまできたか。考えごとをしていると早いもんだな。
私は、周りから見たらどんな風に歩いているのだろう。ちゃんと歩けているのだろうか。
バス停の前の信号にかかった。目の前なのに辿り着けない。何か不思議な気持ちになった。
そこで、今日は金曜日だと気づいた。あ、今日か。中学校の、部活動の夏季大会は。後輩たち、頑張ってね。応援に行きたいけどな。
バスが来た。少しほっとする。あれ、これ、私の日常なのに。
窓から見る風景は、いつもとは違う。 今日は少しだけ、私が変えた。左側の席に座った。
「知らない数だけ僕は、これから知れるし」
イヤホンから流れる。
バスのドアを境界線に、一瞬で熱い空気に切り替わる。
もう学校寸前というところで、足に石ころが当たった。石ころはまっすぐ進み、ぴたっと止まった。
教室でみんなの声がにぎやかに響く。少し集中すると、BGMみたいにぼんやり耳に入ってくる。
心の内はわからないものだ。輪郭の線すらぼやぼやしている。自分でも捕まえられない。
今日は素晴らしい。けどきっとつまらない。
そんな事を考えていたら、前を行く人の靴紐がほどけた。
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