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【GIS】#6 地図研究のDX.スタンフォード大の外邦図をカシミール3Dで楽しむ方法

前回の記事では,明治時代の地図を「Map Warper」で位置情報をつけてから「カシミール3D」に読み込ませ,現代の国土地理院などのデジタルデータと重ね合わせる「時層化」の方法について述べました.

「Map Warper」は,位置情報をもたないアナログ的な地図でも,そのデータに緯度・経度の位置情報を持たせることが簡単にできるツールです.(位置情報を持たせることを "ジオリファレンス" と呼びます)

また,データをWEB-APIという方式でエクスポートできます.これを使うと,自分の使いなれたGISソフトウェアでタイルレイヤーとして読み込ませられます.とても楽です.

この「Map Warper」で,あの「スタンフォード大学の外邦図」が使えたらいいな,と思う方もいらっしゃるかもしれません.

実はそのデータセットはすでに構築されているんですね(知る人ぞ知る).

まずは,その前に「スタンフォード大学の外邦図」について説明が必要となります.

スタンフォード大学の外邦図とは

アメリカのスタンフォード大学図書館の外邦図(Gaihōzu: Japanese Imperial Maps)は,戦前の日本の地形図(日本帝国地図)が約8000点にわたって収録されていることでは超有名サイトです.

2016年9月27日にスタンフォード大よりリリース公開がアナウンスされた時には,ネットの中では騒然,かつ衝撃的な勢いで伝播してゆきました.

その中でも,5万分の1地図をまとめた「Japan 1:50,000」のコレクションは,ほぼ全国の地図が網羅されています.
(紀伊半島が多くの部分で欠落しているのが不思議)

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Stanford大学の地図は閲覧だけでなくデータそのものも,それも高解像度版がダウンロードができます.

ただ,せっかくの超高解像度版が入手できるにも関わらず,自分ではうまく使いこなせませんでした.ジオリファレンスがなされていない地図を現代のデジタル地図と比較する段階で壁に当たりました.

日本版Map Warperでデータセット化されているスタンフォード大学の外邦図

実は,このスタンフォード大学の外邦図は「日本版Map Warper」でデータセットが構築され,また公開されていたのです.(知りませんでした)

調べてみると,「日本版Map Warper」の製作者でもある立命館大学の矢野桂司先生が取り組まれたお仕事です [1].2018年の学会のProceedingもオープンになっておりますので,戦前の地形図の公開にかかる先行研究も含めて,このProceedingを読み通すと,とても勉強になりました.

[1] 今村聡・鎌田遼・矢野桂司・磯田弦・中谷友樹「日本版Map Warperを用いた旧版地形図の公開」、第26回学術研究発表大会、地理情報システム学会、首都大学東京、八王子市、2018年10月20日

さらに,この地図は宮崎県のWeb-GISの『ひなた GIS』でタイリングされて閲覧できます.

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ひなた GIS』をオープンすると,最初は国土地理院の淡色地図が表示されます.ここのスタンフォードの外邦図を読み出すのは,次の操作をするだけです.

右上の赤いボタン「背景」⇒「古地図フォルダ」⇒「戦前戦後地図フォルダ」にある「日本版Map Warper 5万分の1」のチェックボックスに印を入れる

じわじわとですが,Stanfordの外邦図が表示されます.全国のタイリングが完了するまでは数分かかりますが,忍耐強く待ちましょう.

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ひなた GIS』では,驚いたことは,Stanfordの外邦図で欠損している地図を補完してタイリングされていることです.このような丁寧な取組には感謝せずにいられません.

次に,みたい地図の箇所を拡大してクリックすると,ピンク色で出典が示されます.千葉県の「銚子」を例にすると次のようになります.

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『日本版 Map Warper』で該当する地図を探すのは大変ですが,『ひなたGIS』がガイドとなっているのですね.また,『ひなたGIS』には二画面での表示などの機能もありますので,『ひなたGIS』上だけでも楽しめることができます.

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ふたたびカシミール3Dで取り込む

カシミール3Dに取り込むのは,前回と同じ方法です.『日本版 Map Warper』の「エクスポート」から必要となる「タイル」と書かれたURL を,適当にメモ帳などにcopyしておきます.

https://mapwarper.h-gis.jp/maps/tile/903/{z}/{x}/{y}.png

あとは,このWEB-APIを『カシミール3D』での「タイルレイヤー」に読み込ませると,以下のように表示がされます.


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手慣れてきますと,WEB-APIのURLの中の番号「903」という数字だけを変えてゆけば,他の地域の地図を表示させることができることに気がつくでしょう.

番号がどの地図に対応しているかを効率的に見つけることが,『ひなたGIS』を使うちょっとしたコツとなります.

作業秘話

私の明治国道のルート考証では,そのコツを使って『ひなたGIS』から番号を探り出し,それをカシミール3Dで投影しからトラッキングデータを作成しています.

この『日本版 Map Warper』と『ひなたGIS』がなければ,仕上げることはできなかったと思います.

感謝.


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