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サブスク を「解約したい」から「続けたい」に変える、ユーザーの保有ポイント

当社が開発・提供するリテンションボット「Smash」。サブスクリプションサービスや定期通販の既存ユーザーに対し、「解約」というタッチポイントでコミュニケーションを図り、解約抑止・分析を行うツールです。

そのツールによって得られた様々なデータを分析。すると、解約希望者の保有ポイント、並びにポイントが消費できるサービス・商品の訴求を同時に行うことが解約抑止の要因になることがわかりました。解約抑止に関わる要因を突き止められれば、解約抑止率の向上はもちろん、サービスそのものの向上にも繋がります。

今回は、「解約」に関する近年の状況から、保有ポイントとそのポイントが消費できるサービスの同時訴求がどれくらい解約抑止に効果があったのかという結果まで某動画配信サービスの実際のデータを元に、分かりやすく解説します。


2022年5月25日、改正消費者契約法が成立

近年、市場を拡大し続けているサブスクリプションサービスや定期通販市場。利用するユーザーや提供する企業が一気に増えたことで、様々な課題も浮き彫りになっていきました。

その一つが解約について。ユーザー視点によると「解約したいけど、解約方法がわからない」「解約の手順がわかりにくい」という声が多いようです。そのため、2022年年5月25日には改正消費者契約法が成立。これによって、ユーザーがより解約しやすいように、解約手続きに必要な情報提供をすることが企業の努力義務となりました。

解約したい理由は選択肢の並び順によって左右される

当社が提供するツールでは、解約希望者には必ず解約したい理由を聞き、解約手続きに進むようになっています。解約理由には選択肢として複数ほど用意し、上から下に向かって並べて提示。この場合、選択肢の1番上が選ばれやすいというという結果が得られました。
例えば、「見たいコンテンツがなくなった」という文章が4番目に提示された場合はその画面を見たユーザーの約21%がその理由を選択。ですが、1番上に提示した画像を見たユーザの約41%を選択したという結果に。その他の理由でも試したところ、幅はありましたが、1番上に提示された時にもっとも選択されている傾向になりました。

1番上が選ばれやすいという理由の仮説としては「文章を読むのが面倒くさい」「なんとなく」などでとりあえず1番上を選んでいるユーザーが多いことが考えられます。ですが、もう少し検証データが必要なため断言はできません。

しかし、逆を考えると「料金が負担」という理由が1番下に提示されているにも関わらず選択した場合は、本当にそのサービスの値段が高いと感じているということになります。

4人に1人が「保有ポイントが残っている状態でも解約したい」という事実

理由は選択肢によって左右されることがある。それなら、解約希望者を引き止める要因として効果的なものはなんなのでしょうか?

今回は、サービスの内容から「保有ポイント」に注目。データから「料金が負担」「見る時間がなくなった」という理由を選択したユーザーの27%がポイントを残したまま解約を希望していました。つまり4人に1人が、まだ楽しめるコンテンツやサービスがあるにもかかわらず解約しようとしていたのです。

残存ポイントによる訴求は解約抑止に繋がる?

解約希望者の保有ポイントが解約を引き止める要因になるのか、ABテストで比較してみました。Aパターンでは、サブスクリプションサービスの内容についてのみ訴求。例えば、「ご加入のプランには、動画サービスの他に雑誌読み放題サービスも利用できます」というような提案です。それに対し、Bパターンでは、「お客様は現在、◯◯ポイント保有しています」というように残存ポイント数と、そのポイントが消費できるサービスを同時に提示したところ、解約抑止率が5.88%上昇する結果になりました。

しかし、注意しなくてはいけなないのが、ユーザーの解約理由によって、効果が異なってくるということです。例えば、解約理由を「見る時間がなくなった」と回答したユーザーには、上記の効果が得られた反面、「料金が負担」と回答したユーザーにはあまり効果がないという結果も得られました。ですので、ここで大事になってくるのは、解約理由など様々なデータでセグメントを行い、ユーザー一人ひとりに合わせ会話をすることが、「解約抑止」には大事になってくるということです。


最後に

既存顧客に対するリテンションマーケティングは、ユーザー一人ひとりのLTVを向上させるだけでなく、新規顧客獲得の1/5のコストで行えると言われています。
今回判明した、解約希望者への保有ポイントと利用できるサービスの具体的提案がもたらした解約抑止率の向上は、解約抑止だけにとどまらず、ユーザーに適したコミュニケーションを図ることで、ロイヤルティ強化にもつながります。

今後もさらなるデータの分析・研究を進め、解約にまつわる役立つ情報を提供してまいります。

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