見出し画像

新規事業を創りたい「内なる衝動」を持つ社員を見つけ出せ

新規事業のリーダーは、新規事業の「資質あり」×「経験者」である必要があります。

もう一つ忘れてならないのは、「新規事業を創る」という強い内的的な動機があることです。

人は誰しも、その人なりの哲学や価値観があり、仕事においても仕事観を持っています。
「成長したい」「学びたい」「評価されたい」「1番になりたい」「褒められたい」「周囲の役に立ちたい」「稼ぎたい」「出世したい」「仕事は金を稼ぐ手段」「突き詰めたい」など、普段は口にはせずとも、誰しも自分が大切にすることを内に秘め、それは自身の内発的な動機と密接に関わります。

新規事業は、「新しい何かを創りたい」と、内なる衝動・情熱のある社員に担ってもらいましょう。新しい事業を創りたい、革新的なプロダクトを創りたいという、未解決の課題を解決する今までにないサービスを創るという、内なる衝動・内的な創作意欲に突き動かされる人を社内で見つけ出しましょう。
「創りたい」という創作欲求は、「うまく創りたい」という欲求と、「今までにない新しい何かを創りたい」という欲求に大別されます。新規事業が向くのは後者の内発動機を持つ人です。新しい何かを創りたい衝動が行動に現れている社員を見逃さないようにしましょう。

新規事業はゼロからイチを創り出すことであり、ゼロからイチを作るのは意志である、と言われます。
新規事業は一般に失敗率は90%を超えるものであり、やらない理由は社内で10個でも20個でもすぐに出てきます。それを乗り越えて新規事業を進めるには、経営者にも組織にも、そして新規事業を担当する個人にも強い意志が求められます。目先の利益や自分の評価ではなく、「新しい事業を創りたい」という強い創作意欲に突き動かされる人に新規事業を任せましょう。

「新しい何かを創りたい」と強く熱望し、何かしら行動に現れている社員は、すぐ目に留まるものです。

新規事業に強いと評判のリクルート社で、ヒットした新規事業の受験サプリ(後にスタディサプリに名称変更)を立ち上げた山口文洋氏は、新しい何かを創りたい衝動が溢れていた典型例です。
山口氏は受験サプリで、同社の新規事業提案制度「New RING」のグランプリを受賞しましたが、実は受賞前に、5年連続で落ちていました。ある年はティーンエージャー向けの無料ポータル案で落ち、ある年はCtoCフリマ案で落ち。
大抵の人は5年も連続で落ちたらもういいやとなりますが、山口氏の場合は新事業アイデアを実現したい衝動がどんどん強まっていったそうです。 
インターネット企業のDeNA社で、CtoCカーシェアサービスのAnycaを立ち上げた大見周平氏もそのようなタイプです。大見氏はAnyca事業を経営会議に諮るも、同社創業者の南場氏から「愛車を知らない人とシェアリングなんて絶対しない」と3回連続で提案を棄却されてしまいます。南場氏曰く「そのアイデアを全力で潰しにいった」とのこと。
大抵の人は、会社の創業社長・創業家の社長に提案を否決されたら、そこで諦めてしまいます。しかしそれでも大見氏はしぶとく粘り、事業化の承認を得てAnycaを立ち上げました。

創りたい欲求を持つ人は、新規事業で必要となるいろいろな作業を、さも当然のように主体的に進めます。
顧客や状況に対して強い好奇心を持ち、興味深い課題を見出し、深く理解しようします。新しい情報や検証をもとに、最初に描いた課題自体を書き換えていきます。顧客が抱える真の課題に深い興味を持ち、解決策を探求します。新しいプロダクトが上市されるよう、社内の様々な部署への働きかけも行います。

新規事業は、試行錯誤と失敗の繰り返しです。また社内からの非難・批判があるのが普通です。そのような障壁に直面した時に、それを乗り越えようとするか、それとも諦めたり妥協するかは、新規事業リーダーや担当者の内発的な動機に依存します。
新しい創造により人々の暮らしを良くしたい。自らの製品で顧客の生活を変えたいという、内なる衝動が、新規事業を前に進めます。

「新しい何かを創りたい」という内発的な動機も、「成長したい」「学びたい」「評価されたい」「1番になりたい」「褒められたい」「周囲の役に立ちたい」「稼ぎたい」「出世したい」「仕事は金を稼ぐ手段」「突き詰めたい」と行った動機やその人なりの哲学や仕事観も、会社が提供する教育で身につけさせることはできません。
教育を施そうとするのではなく、「新しい何かを創りたい」と、内なる衝動・情熱のある社員をなんとか見つけ出しましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?