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腰痛対策のスマートスーツを開発するためにベンチャー企業を立ち上げた話

スマートスーツを開発する株式会社スマートサポート社も第15期を迎えます。さすがにベンチャー企業とは言えない社歴になってしまいましたが、現在も「北海道大学発認定ベンチャー企業」の称号をいただいています。

時代も変わり、”ベンチャー”はちょっと古い言葉になりました。今では、”スタートアップ”って言うんですかね?

考えてみれば、研究開発先行で会社を立ち上げるなんて無謀な話でした。何しろ売るための商材はなく、研究開発費を使うばかりなのですから。当時は今のようにベンチャーキャピタルもなく、新興企業、しかも超零細な研究開発型企業、ものづくりで商品が開発されても製造や販売に課題が満載の企業に投資するなんて投資家なんていません。創業者チームが生活費を削って資本金を捻出し、研究開発系の補助金を当てにして起業したわけです。

おかげさまで会社を立ち上げた半年後にはNEDOの福祉用具開発の補助金に採択され、そこからほぼ切れ目なく研究開発系の補助金には採択されました。

NEDOの福祉用具開発に関する経緯については、NEDOの実用化ドキュメントでも紹介されていますので、左記のリンクをご覧ください。

研究開発系の補助金に採択されるのは、開発目的(ビジョン)や技術を高く評価されてのことですからありがたいことなのですが、助成金額は全額ではなく、半額、良くて3分の2の補助でした。
開発を継続するために、役員報酬は棚上げにし、逆に役員貸付ばかり増えて行きます。創業から3年は粘りましたが、ついに”デスバレー”(死の谷)を見ることになります。

デスバレーとは、ベンチャー業界では、” 資金調達や売上増大により資金量が回復するまでの資金量の谷底 ”を意味します。通常、ゼロから始めたベンチャーで、特にモノづくり企業は、一度ならず、複数回の死の谷を見ることになります。

スマートサポート社もこれまでに何度かの死の谷を見ていますが、そのたびに支援者が現れ増資したり、販売支援を受けたりして、少しづつ転落と復活を繰り返し15年間もやってきました。

創業から10年の生存率は5-6%だと言われています。それでも続けてこられたのは、作業現場で働く作業員に”腰痛対策”が必要であったこと、腰痛対策のために、ただ腰部負担を軽減するだけでなく、それに伴う体力の維持、向上もセットにした「軽労化」という概念を生み出したこと。そして、このために素晴らしい研究開発を実施してきた一流の研究者がいたことです。

我々の技術、製品、サービスが広く普及しているとは言い難い状況ですが、今後も粘り強く作業現場で働く人のために努力して参ります。