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スタートアップが政治に働きかけるべき理由


みなさん、こんにちは。株式会社スマートラウンド代表の砂川です。今日はいつもと少し趣旨の違うトピックについてにお話したいと思います。それは

日本のスタートアップはもっと政治に働きかけるべきだ!

というものです。実はこれ、僕が日本とアメリカの両国でスタートアップに関わってきた結果、大きな課題として感じているものの一つなのです。

特に、私が2005年に立ち上げたロケーションバリューという会社で、厚生労働省に感じた絶望感が大きく影響しています。当時「おてつだいネットワークス」という、今でいう「タイミー」みたいなサービスを展開していたときに、厚生労働省は「賃金支払いの五原則」の柔軟な運用を頑として認めなかったのです。というよりも建設的な議論をする機会すら与えてくれませんでした

急成長を目指すスタートアップ

スタートアップは「急成長」を目指す企業と定義づけられます。そして、その急成長のための必須条件は「巨大な潜在ニーズ」が存在することです。

既存プレーヤーが顧客の不満を解消できなかった結果、溜まりに溜まったマグマのような潜在ニーズが、スタートアップの提供する革新的な解決策の出現により爆発的に顕在化します。スタートアップはこのニーズを一気に取り込み、デファクトスタンダートとなって人々の行動様式を変え、最終的にはプラットフォーマーや、なくてはならないインフラとなっていくのです。

スタートアップの多くが、インターネット関連の企業であることも偶然ではありません。インターネットはこの浸透プロセスを加速させることができる基盤であり、ゆえにこの基盤を利用して急成長するスタートアップが多く生まれるのです。

GAFAをはじめ、Youtube, Twitter, Uber, Airbnb, Netflix, Stripeといった歴代のユニコーンは、インターネットの特性を活かして急成長してきたスタートアップの代表格といえるでしょう。

スタートアップの急成長を阻害する法律や規制

ところが、こうして急成長するスタートアップは、その革新性ゆえにほぼ確実に法律や規制の壁に行き当たります。日本では、Youtubeの著作権法、Uberの道路運送法、Airbnbの旅館業法などが例として挙げられます。

法律や規制は、その制定時に将来的なテクノロジーの進化を織り込むことができないため、革新的なサービスやその展開を意図せず阻害してしまうのです。

また制定された法律や規制の運用を担う行政は、その厳格な運用を目指すがあまり、イノベーションによる産業の発展の可能性や、公共の利益を二の次にしてしまいがちです。

日本発で生まれていたかもしれなかったP2P技術を活かした革新的なサービスの可能性は、いわば警察と司直の手によって潰されたわけである。

さらに既得権益を守ろうとする業界プレイヤーが、法律や規制を盾に政治的圧力をかけ、参入障壁を作るという構造が問題を複雑化しています。

その結果、革新的なテクノロジーがもたらすメリットを社会が享受できるようになるのが遅れてしまうのです。「遅れる」というのは、どの国においても、結果的にはテクノロジーの進化に抗うことはできず、法律や規制を見直したり対応せざるを得なくなるのも事実だからです。

とはいえ、法律や規制の障害を時が解決することを待つことができない「急成長を求められるスタートアップ」は、残念ながら理想を実現できずに退場を強いられてしまいます。

積極的に変化しないと負ける

スタートアップが退場するのに「抗うことのできないテクノロジーの進化」は誰がもたらすのでしょうか。それは他国でデファクトスタンダード化したプラットフォーマーたちです。

インターネットには(一部の国を除けば)国境は存在しません。したがって他国で強大な力をつけたプラットフォーマーは、国内の抵抗勢力や参入障壁をものともせずに突破していこうとします。そして最終的にそれらのプラットフォーマーが国内でも道を切り開いていくのです。

改めて考えると恐ろしいことですが、GAFAをはじめ、こうしたプラットフォーマーなしにはもう私の生活は成り立ちません。でも、残念ながら「私の生活に欠かせないプラットフォーマー」の中に日本企業はひとつもいません。

では、他国にも法律はあるはずなのに、プラットフォーマーはどうして急成長できたのでしょうか。それは、積極的なロビイング(ロビー活動)のたまものなのです。

ロビイングというと、なにか「汚い手を使った利益誘導」のように聞こえるかもしれませんが、全く違います。日本にも憲法で定められた国民一人ひとりの権利として、国会議員への「請願」「陳情」という制度が存在しています。

特にアメリカのスタートアップは積極的にロビイングを行うことで、革新的なテクノロジーがもたらす社会的なメリットを門外漢である為政者に正しく理解させ、どうしたらデメリットを回避しながら実現に結び付けられるかという前向きな議論を牽引するのです。

こうしたロビー活動は「実施することを先行させ問題が生じたら事後的に対処していくという戦略」と相まって、スタートアップの生命線である急成長にブレーキがかかるのを防いでいるのです。

そしてロビイングは、実はそれを受ける側の国にとっても重要な意味があります。自国経済の振興という文脈において、グローバル巨大企業が継続的に生み出されることはどの国にとっても最重要な政策目標のひとつであり、それを可能にする土壌を提供することは国の責任であるとも言えます。

国内のスタートアップがその潜在的な可能性を最大限に発揮し、世界的なプラットフォーマーに育つようにする。これこそがイノベーションを中心に据えた現代の経済振興のあるべき姿なのです。これを怠ると海外のプラットフォーマーに席巻され、経済的な不利益を被るばかりか、安全保障にすら影響を与える可能性があります。

日本は遅れている

一般論として、他国との対比において「日本は遅れている」と断定するのはあまり好きではありません。とはいえ、スタートアップの政治への働きかけという意味では、これを言わざるを得ないと思います。

たしかに日本でも政治に対して働きかけをするという機運は高まってきています。楽天の三木谷会長兼社長が音頭をとって立ち上がった新経済連盟は積極的に政策提言活動を展開していますし、メルペイはサービス開始前からロビイストを雇って綿密に準備してました。

とはいえ、これらの事例もある程度成長したスタートアップが、潤沢な資金を使って展開をしているロビイングであり、ピラミッドの裾野にいる駆け出しのスタートアップが政治的な働きかけを展開している例はほとんどありません。

時代遅れな法律や規制が緩和されたり、新たな法律ができて道がひらけたりすることはスタートアップにとってユニコーンになる千載一遇のチャンスになります。そのチャンスを自ら作り出していくことこそ、起業家として求められていることではないでしょうか。

規模の大小に関係なく、ロビイストを雇えるかどうかではなく、スタートアップは機会をつくって自ら政治に働きかけていくべきなのです。

Smartround がその機会を作りました!

というわけで、機会を作りました!!!次回のSmartround Academiaは、番外編 スタートアップ経営者限定!「和田衆議院議員にいろいろ聞く&お願いする会」と題し、スタートアップ推進議員連盟事務局次長、和田衆議院議員をお招きします。

スタートアップ推進議員連盟は、スタートアップ振興のための政策の提言とその強力な推進のため、自民党の衆参国会議員により2019年10月発足されました。和田議員は、現在の平井卓也デジタル改革担当大臣と共に、どうしたらスタートアップがその可能性を最大限に発揮できるかを真剣に考えてくれる、重要なキーパーソンです。

周りの起業家仲間と一緒に参加して、政治がどんなことをしてくれたら、自分たちスタートアップが急成長できるのか、について積極的に意見交換をしましょう!伝えないとなにも始まりません!

政治に届け!スタートアップの声!

詳細・参加はこちらから!


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