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SmartHR 新執行役員 兼 VPofHR 就任インタビュー:SmartHRが目指す「成長し続ける」組織のために

2024年7月から、新たにSmartHRの執行役員 兼 人事統括本部長(VP of Human Resources)に、宮下竜蔵さんが就任します。

宮下さんは2023年11月に入社し、人事担当として1か月でSmartHRの人事戦略策定を成し遂げた方です。
就任にあたり、宮下さんがSmartHRに入社した経緯や入社後に感じたSmartHRの課題、これから目指すすがたなどをお聞きしました。


宮下竜蔵(みやした・りゅうぞう)
株式会社SmartHR 執行役員 兼 人事統括本部長(VP of Human Resources)
関西学院大学卒業、神戸大学大学院(MBAプログラム)修了。大学卒業後、外資系製薬会社に入社し、営業や研修業務を経験。その後、複数の事業会社にて人事業務(採用・教育・HRBP等)を経験。前職では、Head of HRとして人事全体のマネジメントを担当。2023年11月にSmartHRに入社し、人事戦略の策定、タレントマネジメント導入等、人事業務に幅広く携わる。2024年7月より執行役員兼VP of HRに就任。

SmartHR入社前後について

──入社前、SmartHRにどのようなイメージを持っていましたか?

SmartHRは、日本国内では数少ないユニコーン企業の一つであり、優れたプロダクトを提供している企業という印象を持っていました。HR業界でも広く知られており、以前から強い魅力を感じていました。

──特に印象的なところはありましたか?

ミッションとバリューですね。言葉の選択が絶妙だと思います。特にバリューの一つである「早いほうがカッコイイ」は私の価値観にも合致していると感じました。

また、採用にも非常に力を入れている印象でした。人材獲得競争の激しいSaaS業界で、優秀な人材を多く採用している。採用ピッチ資料も透明性が高く、HR界隈でも評判になっていました。

──SmartHRの「採用」についてはどのように捉えていましたか?または今どのように捉えているか教えてください。

採用は組織成長にとって重要な要素の一つであると考えています。SmartHRの成長の要因は様々ありますが、重要な要素の一つとして「誰をバスに乗せるのか」にこだわってきた点が挙げられると思います。

SmartHRは、カルチャーフィットやバリューを体現できる人材か否かを創業時から大切にしてきました。これを小規模な組織フェーズから実践するには大きな勇気が必要です。この方針が現在のSmartHRにおけるバリューの浸透や、社員全員が同じ方向に向かう組織文化を形成する一助となっていると感じています。

入社後に見えたSmartHRの課題

──実際にご入社されて新たに見えた課題やより解像度が上がったものとして、どのような課題が挙げられますか?

育成文化の醸成、経営人材の輩出、人事の体系化が課題だと思います。

育成についていえば、これまでのSmartHRは立ち上げフェーズで、人をどんどん採用し成果を上げるビジネスモデルだったと思います。しかし、1,000人以上の規模の会社になり、さらに組織拡大しながら急成長しスケールアップし続けるには、そのモデルだけでは限界があります。
社内の人材を育成し、優秀な人材を輩出し続ける仕組みを作ることが重要です。これまでのSmartHRには、その仕組みがなかったことが課題だと考えています。

これまで育成の仕組みがなくても成長できたのは、カルチャーフィットや、バリューへの共感・体現を重視した採用を行ってきたからだと思います。そのため社員が同じ方向を目指しやすく、一体感も維持できていました。しかし、規模が大きくなるにつれてそれは難しくなります。

育成文化がSmartHRに欠けていたわけではありませんが、そのやり方が明確でなかったのではないかと思っています。つまり、育成するためのツールや、どのように育成すれば良いかを示すものがなかったのでは、と。

私たちは、スケールアップ企業としてこれからも成長し続けなければなりません。そのためには、継続的に人材を輩出する仕組みと、育成文化の醸成、この二つがセットで必要で、それを推進する人事の体系化が重要になると思っています。

──経営人材の輩出について感じていることもぜひ詳しく教えてください。

非連続な事業成長には、経営人材の育成も重要だと考えます。
意図的にチャレンジングなポジションへアサインし、課題に直面しながら修羅場を経験する。そして上長や周囲からのフィードバックを得たり、研修でその課題解決のヒントを得て、それを実践に活かす。このサイクルを繰り返し、経営人材を育成し続けたいと考えています。
社内で経営人材を輩出し続けることで、社外からも魅力的な会社として認知され、優れた人材の採用にもつながります。このような好循環を実現できる会社になりたいと思います。

──人事の体系化についてはいかがでしょう?

人事の体系化には、指針となる人事戦略の確立が不可欠です。しかし、入社当初は明確な人事戦略が存在していませんでした。そのため、人事がSmartHRや社会に対してどのような価値を提供できるのかを整理し、経営戦略を実現するための人事戦略を策定しました。
またSmartHRにおけるタレントマネジメントを本格的に推進したり、研修体系の構築も行いました。
さらに、この人事戦略を実行する組織体制を整えるために、2024年7月から人事組織を大幅に再編します。

これからやっていきたいことについて

──今後やっていきたいことについてもお聞かせください。

2030年のARR目標達成とミッションである「well-working」を社内外で実現できる世界感を作っていきたいです。そのために2030年までの人事統括本部ロードマップを作成しました。
まだ抽象度は高いですが、これをより行動レベルに落とし込み、着実に私たちが実現したい世界感に近づいていきたいです。

──具体的にどのようなことを行っていく予定ですか?

フィードバックをSmartHRの文化にする取り組みを進めています。
企業文化にするには、共通認識、共通言語、共通感情が重要です。そのため、組織全体で一貫したアプローチをとり、レイヤーを問わず全員に同じ視点で浸透することが大切です。24年中に全従業員に向けて統一されたフィードバック研修を開催します。

文化を日常的に浸透させるためには、上長自らがその文化を体現することも重要です。そのためにマネージャーからトレーナーの志願者を募ったのですが、嬉しいことに多くのマネージャーが手を挙げてくれています。
また、継続的にフィードバックの実践度合いのデータを収集・追跡し、可視化していくことで、文化の定着を図りたいと考えています。

このフィードバック文化の浸透の目的は、お互いに高め合い、働きがいを感じられる組織風土を創出し、結果、生産性を向上させることです。
今後、お互いを高め合い、誠実にフィードバック出来る環境がますます重要になっていくと思います。

また、人材育成を強化するために「SmartHRの人材育成 4つの軸」を策定しました。
これは、育成や登用に関する判断に迷った際に、基本となる指針として戻ることができる基盤のようなものです。これらの軸に基づいて、人材の育成や登用を進めていきます。

これからのSmartHRは、人材への投資を惜しまず、人材育成に注力します。

経営人材の輩出や管理職の育成には、「人材の見える化」も不可欠です。
そのため、SmartHRは初のタレント会議を開催しました。この会議では、将来のVP(統括本部長、事業本部長)・ダイレクター(本部長、事業部長)候補とマネージャー候補を対象に、2つのレイヤーで実施しました。
特にVP・ダイレクター候補編では、全経営陣が半日かけて候補者一人ひとりの強みや弱み、将来のキャリアについて膝を突き合わせて話し合いました。一部の候補者には外部研修の機会も提供します。
タレント会議は年2回開催し、このサイクルを通じて多くのVP・ダイレクター候補やマネージャー候補を輩出していきます。

また現在、社内公募や人事異動を推進する「Career Development Program」を構築中です。このプログラムにより、チャレンジする社員にチャンスを提供する環境を整えていきたいと思います。

SmartHRの「働きがい」とは

──「働きがい」というキーワードが出てきましたが、そもそも「働きがい」とはどのようなことだと考えますか?

「働きがい」は、「働きやすさ」と「やりがい」が組み合わさったものだと思います。これは、マズローの欲求5段階説、ハーズバーグの動機づけ・衛生理論のすべてに関連します。

働きがいが高まると従業員のエンゲージメントが向上し、エンゲージメント向上により生産性が上がることが証明されています。したがって、SmartHRがさらに成長するためには、働きがいのある環境を作り出すことが必要です。

──では、SmartHRならではの「働きがい」とはなんでしょうか?

SmartHRにおける「働きがい」はコーポレートミッションである「well-working」と深くつながっていると思います。

これまで「well-working」は主に社外向けのメッセージとして使われていましたが、今回、社内向けの「well-working」を言語化しました。
それは「日々、成長実感と自己実現の機会があり、誇りを持って働くことが出来ること(また、その結果としてSmartHRの事業成長をリードしている実感が持てること)」
私たちのミッションと働きがいがリンクしている、これこそがSmarHRらしさだと思います。

これまでSmartHRは、社内外に対して「働きやすさ」を打ち出してきたと思います。それ自体は決して悪いことではありませんが、現在私たちが目指している「働きがい」とはギャップがある状態です。
これからは、より「やりがい」も高めていきたいと考えていますし、そのために日々の業務中にお互いを高め合うフィードバック文化を醸成していきたいです。

──先日、SmartHRは「働きがいのある企業」に認定されましたね。

認定を活用させていただいた背景には、「SmartHRの働きがいは実際どうなのか?」という指標や現状を確認したいという思いがありました。

SmartHRの特徴の一つは本質主義です。この考え方からも、第三者の視点や客観的な基準から評価を受け、その結果をもとに強みや弱みを把握し、納得感のある「働きがい」を作り上げていきたいと考えています。

VP of HRとしての思い

──これからSmartHRに入社する方に期待するのはどのようなことですか?

これまでの人事経験から、「成長する人材の要素」があると感じ、私なりに「ASK」という言葉を見出しました。
ASKとは、A:明るさ(どんな時でも物事を前向きに明るく捉える)、S:素直さ、K:謙虚さを指します。スキルや経験は後からでも身につけられますが、ASKはベースとなる部分であり、非常に重要な要素だと捉えています。個人的には、このASKを体現されている人と仕事をさせていただきたいです。

また、人事の観点からいえば、「人事のための人事」ではなく、「事業成長のための人事」の考え方を持ち、実践されている方は非常に魅力的です。自分の意見を明確に持ち、周囲に説明し、価値を創出しようとする方と一緒に働きたいと思っています。
数年後には、「戦略人事と言えばSmartHR」と世の中に認知されるような強いチームを皆で築き上げたいと考えています。

──最後に、宮下さん自身の目標をお聞かせください。

「リーダーの器以上に、組織は大きくならない」という言葉がありますが、私も本当にその通りだと思います。
器を広げるためには現状に満足せず、自分の「まだ足りない」部分に常に目を向けることが大切だと思います。
前向きな自己否定をしながら、明るく目標に向かい自己成長をしていきたいと思います。

宮下さんがこれまで行ってきた人事戦略のプロセスがわかる参考記事もぜひご覧ください!