LINEを使って、まちの課題を解決!福岡市立こども病院で「病院への電話がつながりにくい」を解決した話
こんにちは。Smart City戦略室の白石です。
わたしたちは、福岡のまちの課題をLINEを使って解決し、福岡をさらに住みやすく魅力的なまちにしていけるよう、日々取り組んでおります。
その取り組みの一つとして、福岡市立こども病院との実証実験を行い「福岡市立こども病院LINE公式アカウント」を導入、 LINEから診察の予約ができるようにしたところ、
・予約全体の70%がLINE経由に
・電話予約の割合が60%超→25%程度となり、電話がつながりにくい状況を解消
という効果を得ることが出来ました!
【「福岡市立こども病院LINE公式アカウント」の機能紹介など、プロジェクトのレポートはこちら】
LINEを使った予約機能の導入により、従来利用者の課題となっていた「病院への予約の電話がつながりにくい」という課題を解決することができたこの事例。
ここでは、プロジェクトに関わる中で感じたポイントを3つにまとめてご紹介します。
当たり前に感じる部分も多々あるかと思いますが、これから同じような課題の解決に取り組みたいと考えている方に、少しでも参考になる部分があれば嬉しいです。
1.導入時の工夫:できることからまずはじめる
このプロジェクトでは、最小限の機能から世の中に出す、ということを心がけていました。
まず最初に「再診予約」の機能を導入。その後、次のステップとして「初診予約」の機能を追加する流れをとりました。
ステップを分けた理由としては、病院としても新しい試みで、予約センターでの運用面や、予約時に医師が必要とする情報がきちんと得られるかといった点に不安があったため、比較的導入ハードルの低い「再診予約」から機能を導入しました。
また初診予約導入の際にも、一部の診療科ではどうしても予約時にしっかりとした問診が必要になるといった課題がありましたが、シンプルな質問のみで予約ができる症状・診療科に限りLINEから予約可能とし、その他は従来通り電話での予約へ誘導する方針としました。
このように、すべての課題を一度に解決しようとせず、できることから確実に世の中に出し、効果を見て次の課題解決に取り掛かる、というやり方で進めていくことで、導入の際の開発や調整のコストを最小限に抑えることができました。
2.利用数の推移:要因分析による意思決定
こども病院では、2020年の6月にLINEからの再診予約機能を導入。導入後3か月で予約全体の40%超がLINEからの予約となりました。
その後も順調に利用数は伸びていきましたが、2021年の6月以降に利用数の減少がみられるようになり、電話予約数を下回るようになりました。
要因を分析すると、LINEからは予約できない初診予約の増加によるものだと分かり、2022年3月に初診の予約もLINEから受け付けられるよう機能追加を行いました。
その結果、前年では電話での予約数が増加してしまっていた6月~8月の3か月で、LINEからの予約数が大幅に上昇しました。
3.広報のポイント:ユーザー導線の理解
こども病院では、従来予約制が利用者に浸透しており、予約なしで来院される方への周知が必要な状況ではありませんでした。
そのため、従来の利用者の導線の中にLINEへの導線を設けることを徹底し、特に病院ホームページ内の導線の強化に注力。利用者が迷わずにすぐに予約ができる導線を実現しています。また電話予約の際に、LINEでも予約が可能になったことを伝えるなど、オペレーション面の細かな変更も行っています。
こども病院の担当者の方からは、新たにアプリをダウンロードしたりする必要なく、「LINEで友だち追加」という利用者にとって使い慣れた方法だからこそ、自然と利用が広がっているのでは、という声をいただいています。
まとめ
改めて今回のプロジェクトを振り返ってみて、
・電話での予約受付を行っているが、電話がつながりにくいという課題がある
・メインの利用者層に日中働いている方が多く、利用者が自由に電話をかけられる時間が少ない
という特徴に当てはまる場合は特に、LINEでの予約機能による効果が得られやすいのではないかと感じています。
恐らくこども病院での事例と同じように、特別な労力かけて広報するといったことなしに期待する効果を得られる可能性が高いため、こういった特徴のあるケースであれば、業種を問わずぜひLINEを使った予約機能の導入を検討いただくことをおすすめしたいです。病院の他にも、児童館やジムなどのスポーツ施設とも相性が良いのではないかと感じています。
わたしたちはこれからも、福岡でLINEを使ったまちの課題解決に取り組んでいきます。まだまだ課題はたくさんありますので、住民の方や企業・自治体の方と力を合わせて、少しずつでも解決していけたらいいなと思います。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。