レジ袋有料化とマイクロプラスチック

海洋生物や鳥などがエサと間違えて飲み込んでしまい、その結果死亡するといった影響がある事を取り上げられて年々注目されるようになった海洋プラスチック問題。

海に漂うレジ袋や、砕けたり劣化したりして粉々になったマイクロプラスチックと呼ばれる5mm以下の大きさのプラスチック片、漁網や生け簀のブイ、容器として魚などの輸送にも使われる発泡スチロール片をエサと間違えて捕食したり、海水と一緒に体内に取り込んでしまった事により命を落としてしまう海洋生物も少なくありません。

参考資料:WWF「海洋プラスチック問題について」
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3776.html

そんなプラスチック製品の環境への影響から削減機運が高まり、海外では既に使い捨てのプラスチック容器やストロー、レジ袋の禁止に動いている国も少なくない中、日本でも分かりやすいところから?と2020年7月から始まったレジ袋の有料化。

お客側からすれば今までタダだったとはいえ、コンビニなどで買ったお菓子などが一品二品の少数少量や、すぐに飲み食いしてしまう飲料やアイス、ポケットに入れれば済むタバコなどでもいちいちレジ袋に入れられるのは店舗側の過剰サービスだなと思っていたので、これが有料化により無駄な石油製品であるプラスチックの消費が少しでも減るのは良い事でしょう。

経済産業省と環境省では、レジ袋チャレンジなるキャンペーンを始めています。
意外と?(でもないか)知られていないようなのでここで紹介しておきます。
http://plastics-smart.env.go.jp/rejibukuro-challenge/

それでも石油製品全体に占めるレジ袋の比率はわずか2~4%程度と推察されていますから、レジ袋を販売もせず全廃したとしても、プラスチックごみの削減効果は限定的です。

もっとも、路上・公園・空地に河川や海岸等に目立つポイ捨てが減れば、目に見えるだけに一定の効果あるかと思いますが。

目に見える以上に深刻なのが、目に見えない大きさまで微細化されて水中や大気中に漂っているプラスチックです。

ミネラルウォーターの中にも一定量のプラスチックが入っているという調査もありますし、大気中や雨や雪からも100分の1mm位のプラスチック成分が検出されています。

参考:朝日新聞デジタル「大気中からもマイクロプラスチック 福岡市内で確認」
https://www.asahi.com/articles/ASMC74DGWMC7TIPE012.html

つまり、知らず知らずのうちに、呼吸や飲料水から体内にプラスチックを取り込んでしまうというリスクは既に起きている可能性が非常に高いのです。

今のところ人体にどれ程影響があるのか科学的な証明は出来ていないようですが、決して良い影響があるとは思えません。

プラスチック製品を、なるべく買わない、使わない、燃やさない、リユース・リサイクルする、といったあらゆる方法で、なるべく石油由来のプラスチック製品等を生み出さない、削減する方法を実行したいですね。

生分解性プラスチックの方が早く分解して土に還るなどと云われていますが、小型の魚や小動物・昆虫類などの寿命はせいぜい1年から数年ですから、レジ袋などが生分解性プラスチックにすべて置き換えられたとしても、これらの生物が体内に取り込んでしまった場合のリスクや影響には大した違いは無いでしょう。

石油消費量は若干減るのかも知れませんが。

日本政府の公表する統計上では、90%近くもある事になっているペットボトルを含む廃棄物のリサイクルは、一見資源が循環しているように見えて、実際に再資源化されているのはせいぜい20%程度、ほとんどは“サーマルリサイクル”という名称で、リサイクルなどはされず焼却されて発電など熱エネルギーに変えてしまっているのです。

燃やしたモノまで“リサイクル”と称するのは誤魔化しですよね。
当然、国際的にはリサイクルには含めていません。

国立環境研究所のWEBサイト内のコラムでは、これらをやさしく解説しています。
https://taiwa.nies.go.jp/colum/recycling.html

石油・ガスなどエネルギー資源の90%以上を輸入に頼っている資源貧困国日本なのに、プラスチックの石油由来製品を回収しても、ほとんど再利用・再資源化されずに燃やしてしまえば、石油依存度はもちろん石油・ガスの輸入量も消費量も一向に減りませんよね・・・

SDGsにはGOAL12に“つくる責任 つかう責任”というのがありますが、消費者の多くがプラスチック製品を購入しない選択肢をすれば、その結果売れなくなった企業は選ばれる(買ってもらう)為に必然的にプラスチック製品を使用した商品を作ったり売らなくなったります。

選挙で多数の投票を得て議員にならなければ、税金の使い道を決めたり、法律・条例を作ったりといった仕事が出来ない政治家と同じで、プラスチックを減らすまたは無くすという選択肢は、企業でも行政が主導すれば出来るわけではなく、一般消費者の多くが購入・使用する行動こそが企業・行政・政治家を動かすのです。

私たちの普段の生活や仕事が、どのような形で暮らしや環境に影響するのか。
なぜ国連ではSDGs2030アジェンダという2030年達成に向けた目標を掲げて、加盟する193か国が承認して採択されたのか。

知識としてだけでなく、発信したり行動を伴う活動を紹介したり、市民・企業・行政・学校の連携を後押しする、持続可能な社会を目指す目的で25年継続開催している環境&SDGsイベント「第25回エコメッセ2020inちば」

私もこのイベントに賛同して毎年運営に関わっていますが、SDGsに興味がある方、行動している方の参加を募集しています。

今年は11月1日に幕張メッセで開催、同時にオンラインでも開催します。
詳しくは下記エコメッセ公式サイトを参照ください。
https://www.ecomesse.com


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?