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「ただよび」運営会社倒産の衝撃と納得感【いまや「あれ」でさえ、冷たい反応となるシビアな現実】

「ただよび」を運営する会社が倒産したのだそうです。驚きと同時に、ここのところ、「ただよび」について話を聞かないなあと思っていたので、妙な納得感もありました。

講師陣は、発信力のある人たちが多かったこともあり、自らの発信を含め、いろんな情報が飛び交っていますね。動画については、倍速視聴でいくつか見ましたが、話しをまとめると、「ただよび」は、かなり雑な運営で回っており、資金繰りも綱渡り状態だったようですね。

ただ、コンテンツとして「モノ」はあるので、これがそれなりの価値のある資産として売却されて、新しい体制での「ただよび」がリニューアルされる可能性は十分あるのではと思います。

予備校講師の方にとっては、サイドビジネスという感覚だったようですが、自分がメインとしている主戦場があまりに堅牢なプラットフォームだったことも相まって、何か変だなと思いながらもズルズルと関わってしまっていたという感じなのではと見ています。

一方で、いい授業をすれば、ビジネスになるんだという認識は、優秀な講師だからこそ育つ意識なんだと改めて感じます。授業のクオリティの高さは、普遍性があり、プラットフォームに関係なく市場価値があるのだという感覚が引き起こした「事件」なのかもしれません。

あと、「ただよび」の運営会社倒産ということ自体は、ショッキングなニュースでしたが、すぐに妙な納得感が支配しました。

というもの、すでに、高校生の間では、低価格授業コンテンツの「あれ」の反応が芳しくないからです。今は、話題に出ることが激減しました。
ほんのわずかな間に、ここまで認識が変わるのかという驚きがあります。

私の周囲だけの印象はありますが、観ている人(入会している人)は、少数派なのではと見ています。
コロナが猛威を振るっていたころ、私立高校は、学校単位で契約している学校が多かったですが、今はそれもない。
そのため、化学のあのカリスマ女性講師の存在すら知らないという例も珍しくない。

なので、フロントランナーですらそうなのだから、後発のサービスである「ただよび」が苦戦したのも当然なのかもと感じなくもありません。この後も類似のサービスの撤退、縮小は、まだまだ起きるのかもしれません。

こうなってしまった理由をあれこれ考えるのですが、案外、授業型コンテンツは、市場がそもそも小さかったのかもしれないと思っています。

東進は、分析すると、事実上の管理と併用でビジネスモデルを組んでいるようですし、世間が思う程は、映像授業コンテンツだけのサービスではない。また、河合塾マナビスも管理と併用するために、あえてリアル店舗でビジネス展開をしていると見ています。

ビジネスの場合、実際にやってみないと分からないことは結構ある。映像授業配信だけではサービス力が不足していたのでしょう。ただ、これを事前に把握するのは、困難だったとも感じます。「ただよび」運営会社の倒産は、その好例なのかもですね。

あと講師目線でいうと、クオリティの高い授業は、講師が考えている程は、市場性はないという理解でいいのではと思います。

たとえ高品質であっても、授業だけで成績を上げるのは、至難の業。それは昔からそうで、それが通用していたように思われていたのは、子どもの数が多く、大教室の中に授業だけで十分に成績が上がるポテンシャルの高い生徒が多数混じっていたからではと思っています。その結果、授業のクオリティが成績向上の重要なファクターだと信じられていたのではと思います。

少子化になり、リアルに数字を動かすことが求められることが先鋭化すると、授業だけでは十分でないという受講側の認識の変化が生まれた。この変化が個別指導塾や武田塾のような管理型のビジネスを生み出したのではと思います。なので、今の時代、授業クオリティの高低はかつてほどの価値を持たないのかなと思います。

「ただよび」の行き詰まりは、時代の変化を証明したのかもしれないと見ています。

こういう意外性があるように感じられるニュースは、実は時代の方が先に動いているということを気づかせてくれるものでもあるように思います。

それにしても、教育ビジネスは、いろいろな点で常識外れですね。今、たまたまその方向で記事をまとめていたこともあり、このタイムリーなニュースはそれを実感させてくれてもいます。




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