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広島県呉市にて海自カレーを食らう。

呉市。広島県広島市の南東に位置する市町村で、瀬戸内海に面しています。荒れない海域ということもあってか近代に入ってから日本海軍の基地・呉鎮守府が置かれ、海軍や数々の造船所と共に歴史を歩んできた街であります。戦後も海上自衛隊の基地が置かれ、今もなお重要な場所であることは変わりありません。

市内には、
呉で造られ後世のサブカル作品でもモチーフが多数生まれた戦艦大和をメインに関連した展示を行う「呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)」や、
海上自衛隊で実際使われ退役した潜水艦『あきしお』を展示し海上自衛隊の機雷掃海と潜水艦の歴史などを解説する「海上自衛隊呉資料館(てつのくじら館)」
などがあり、観光地としての一面も併せ持っています。

そんな呉市のグルメと言えば、やはり海軍や海自にちなんだグルメ。その一つが「カレーライス」です。

カレーの歴史を簡単に解説しますと、まずカレーのルーツはインド。数種類のスパイスを粉にして調理しパン(ナン)やご飯とともに食べる風習を英国が持ち帰り、のちに複合スパイスの「カレー粉」を開発、英国式カレーが成立。この英国式カレーが日本に伝来したと言われます。このカレーが日本で独自進化したのが今の時代のカレーライスやカレー料理です。
この時代、軍事技術を英国より取り入れる一方で栄養不足による脚気に悩まされたほか、兵食改革に課題が生じてたそうな。そんな中、イギリス海軍で採用されていたカレーは『「栄養豊富」、「大量調理が容易」、「美味」と三拍子揃った大変優秀なレシピ』だったそうです。このような背景から海軍でカレーが食べられるようになり、その風習は海上自衛隊に受け継がれて今も続いています。

カレーはその後日本国民にも広まり現代になって固形の「カレールウ」が開発されるほか、アレンジ料理も多数作られ進化は止まることを知らず。挙げ句の果てには日本式カレーとして外国に輸出される始末。どこかで聞いた話ですが、小麦粉でとろみをつけたカレーは海軍がルーツだとか(揺れる船でこぼれないように、だとかで)。

ちなみに海上自衛隊では金曜日にカレーを食べる風習がありますが、その理由として語られる「曜日感覚を忘れないように」というのは後付けの理由なんだそうで。

それはさておき、そんなカレーは常務する艦艇や舞台ごとに独自のレシピがあり、各自工夫がなされています。そしてそんなカレーが地元の飲食店で再現され、乗組員にお墨付きを貰ったカレーが「海自カレー」として各飲食店で提供され、各海自のまちの名物グルメとなっています。


そんな海自カレーを私も食べに行きました。

市内の店で提供される、掃海母艦【ぶんご】のとろける牛すじとひき肉のカレー。
中央にはなんかワクワクしてしまいそうな旗が付いています。

味わい深いカレーに、とろける牛すじの脂と肉肉しいひき肉が白米によく合う一品。温玉がのっているので、はじめはご飯とカレーだけで食べて途中で卵を割ってコクを足す……という感じの味変が出来るのが楽しく美味しいカレーライスでした。

こうした海自カレーは呉以外でも横須賀、佐世保、など各「海自のまち」にもあり、そして飲食店ごとに違う味が提供されています。各街ごとに味が何種類もあり、カレーを梯子する前提でも全制覇には骨が折れそうではあります。ですが、いつかは他のカレーも食べてみたいところですね。

あと海自と地元飲食店がタイアップして各カレーを再現し街の名物とすることを考えた人は天才だと思います。

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