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おすすめ俳句漫画3選

 俳句が好きです。高校の授業で松尾芭蕉の「おくのほそ道」に触れて、夏休みに青春18きっぷで岩手県・平泉の中尊寺金色堂に聖地巡礼に行ったほどです。最近は「プレバト!!」の夏井いつき先生の影響もあって、詠む方にも興味が出てきたので、せこせこ投句しては玉砕しています。

 そんな中、俳句を勉強するために漫画を探したところいくつか見つかり、読んでみたらこれが非常に面白く、誰かにオススメしたい気持ちが昂りすぎたのでこうしてまとめてみることにしました。


▼その1「ほしとんで」

 大学という世界で、入ったら無事に出ていく人が少ない――それが「芸術学部」。その中でも特に個性際立つキャラが揃う「文芸学専攻」に入学した尾崎流星。彼が意図せず入ったのは、なんと強烈な生徒ばかりの「俳句ゼミ」で!?俳句って? 季語って? 淡々とした性格の流星と濃ゆ~い俳句ゼミメンバーでおくる、本格<俳句>青春コメディ!!

 『ガイコツ書店員 本田さん』の本田先生による、俳句ゼミ漫画です。俳句入門にピッタリの作品ですが、俳句抜きにしても面白すぎる漫画です。キャラクターの濃さ・テンポの良さ・台詞の巧みさにグイグイ引き込まれてしまいます。タイトルの「ほしとんで」の意味が分かった瞬間の爽快さったらたまりません。しゅんしん先生とお友達になりたい。


▼その2「あかぼし俳句帖」

 定年まであと5年。自動車メーカーの宣伝部で活躍したのも今や昔。閑職に追いやられ、何か趣味でも、と思い始めたシニアサラリーマン・明星啓吾は、行きつけの料理屋で俳人の水村翠と出会う。会いたい一心で、明星は翠に俳句の指導をお願いする。時代の波にも、出世の波にも乗り遅れた男の人生が、十七音に彩られはじめる!!!!!!!

 「ほしとんで」が入門編とすると、こちらは応用編でしょうか。俳句を作ってみたい!もしくは、句会に興味がある!という方には非常に参考になると思います。ダメダメな主人公・明星さんが俳句に魅せられ、真摯に学び、言葉をひとつづつ吟味して完成させていく過程が、ゾクゾクするほど格好良いです。「青野原」の句は読んだ瞬間、感動で全身が震えました。全6巻と読みやすいのもポイントです。あと、読むと俳号が欲しくなります。(笑)


▼その3「鳥啼き魚の目は泪~おくのほそみち秘録~」

 みちのく…そこは芭蕉の憧れた俳人たちの歌が詠まれた場所。源義経が青春を過ごし、また命を絶った場所。その地に立てば、きっと歌心を突き動かす何かがあるはず! 目に見えない情景を歌に詠むヤンチャな松尾芭蕉と、温泉好きでクールな弟子の河合曽良の、妖しさ満載東北二人旅が始まる!!

 すいません俳句漫画というか芭蕉漫画です。推しなので許してください。「おくのほそ道」をもとに、史実と創作が複雑に絡み合い「あれ、これ実際はこうだったのかも?」と思えるくらい深く切り込んでいる作品です。芭蕉隠密説とかあるくらいなので、実際どんな人だったか分からないミステリアスさも芭蕉の魅力だと思っています。


旅に病んで夢は枯野をかけ廻る 芭蕉

 最後に、私が作句するようになったきっかけを書いておきたいと思います。「プレバト!!」2016年7月28日放送回です。以下恐れながら、俳人・ローゼン千津先生(夏井いつき先生の実妹)のブログを引用させて頂きます。

 お題写真が「向日葵畑」の回を見た。特待生の東国原さんの句。口蹄疫の牛を29万頭葬った上に咲いた向日葵という句案にも感心したし、ちゃんと鎮魂の句にしましょうよと、いつき組長のした添削にぶったまげた。
向日葵や畜魂二十九万頭
 畜魂、という言葉に辿り着くまでの果てしない脳内の旅。地球から火星までの距離78,338,770 km、光の速さで秒速約30万km260秒、みたいな遠さと速さ。どこをどうタイムワープすればこの言葉に辿り着くのか。バラエティ番組にこんな感動があるのか。言葉は心。俳句は短いから凄い、と鮮やかに見せてくれた。

 極限まで研ぎ澄まされた言葉の美。17音から広がる世界は、きっとどこまでも行ける。そんな果てしない旅に連れて行ってくれる俳句を、これからも学んでいきたいと思います。(あきら)

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