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C-C-Bと"原色"したいね、もう一度...


 最近、巷では ”派手髪” が流行とのこと..
 でも、そんなカラフルな髪の様子を見てると、自分の記憶が刺激されて、無性に "C-C-B" が聴きたくなったりするんですよね。


3rd「Romanticが止まらない」1985.1

作詞:松本隆/作曲:筒美京平/編曲:船山基紀・C-C-B

 ピンクや青に染めた派手な髪、シンセポップで印象的すぎるイントロ、電子ドラムを叩きながら歌うドラマ―などなど、けっこうセンセーショナルな感じの登場でした。
 まあ、ホームコメディドラマの主題歌だったので、どこかコミカルで色物的(文字通りですがw)な印象ではあったのです。

 この「Romanticが止まらない」のヒットで、一気に人気者となった C-C-B なんですが、少しチャラそうな雰囲気だったので、1発屋の香りがしましたが、その後もヒット連発!
 あの80年代後半、アイドル的なバンドだったのは間違いないのです。
 ただ、外見とは違って、音楽的な見所も多かったグループなので、"アイドル" という位置づけは微妙かもしれません。

 今回は、そんな C-C-B について "note" していきたいと思います。


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◎「和製ビーチボーイズ」が聴かせるハーモニー


 C-C-B というのは、ココナッツボーイズ (Coconut Boys)の略称で、「Romanticが止まらない」の頃から、公式に C-C-B の名称が使われるようになりました。

 この ココナッツボーイズ というのは、元々、ミニFM局「KIDS」で、夏をイメージした ”和製ビーチボーイズ” をコンセプトとして企画されたバンドだったそうです。(そうなんですね〜)
 そのため、「Romanticが止まらない」以前の C-C-B は「夏」っぽく爽やかで、ポップなコーラスバンドだったんです。

1st「Candy」1983.6

作詞:児島由美/作曲:萩原健太/編曲:佐孝康夫・萩原健太・C-C-B

 萩原健太さんの曲なんですね~
 「Romanticが止まらない」から入った自分にとって、ちょっとイメージが違っていて、高校時代に聴いた時は、それほど好きになれなかったのです。

 でも、今、聴いてみるといいですね〜、けっこう好きです、この曲!
  C-C-B って、ファルセットを使ったコーラスワークだったり、メインボーカルが移り変わっていくとこが特徴的なんですが、このデビュー曲にルーツが見えますね~。
 くんの高音と関口さんの低音、そこに渡辺英樹さんの甘いコーラスが絡んで、まさに C-C-B ですね。

『Mild Weekend』

 調べてみると、1stアルバムの『Mild Weekend』では、他にも萩原健太さんの曲があったり、ビーチボーイズの「カレン」のカバーが収録されてたりして、ちょっと楽しそうなんですよね。
 今だからこそ、もう一度聴いてみたい!って思っちゃいます。

 ただ、サブスクで検索してみると、2枚のベスト盤しか解禁されてなくて、この1stアルバムをはじめ、大好きだった『冒険のススメ』とかは聴けないんですよねー、寂しい限りなのです。
 来年はメジャーデビュー40周年だし、なんとか解禁になりませんかね…


 1stアルバムの後、メンバーの脱退もあって、残留したベースの渡辺英樹さん、ドラムの笠浩二さん、リズムギターの関口誠人さんの3人に、キーボードの田口智治さん、リードギターの米川英之さんが新たに加わって、私たちの知る C-C-B がそろうことになります。

2nd「瞳少女」1984.7

作詞:秋元康/作曲:芹澤廣明/編曲:松井忠重・C-C-B

 ジャケットでの見た目は知った感じになってますね。
 2ndシングルはCMソングだったみたいなんですが、今ひとつ印象が薄いかも…
 でも、この2ndシングルは、芹澤廣明さん作だし、間奏ではサックスが鳴るし、髪型にアクセントを入れてるし、間違いなくチェッカーズ路線を狙ってますね。
 出だしこそくんですが、メインはベースの渡辺英樹さんですね。
 こういうドラムやベースがメインボーカルを担当するバンドって、珍しかったんですよね。



◎ノリノリだった「松本隆/筒美京平」時代


 さて、「Romanticが止まらない」は、作詞:松本隆/作曲:筒美京平という太田裕美さんの「木綿のハンカチーフ」や 斉藤由貴さんの「卒業」などなど、数々の大ヒット曲を生んだコンビですね。
 近藤真彦さんや中山美穂さんも、このコンビによるヒット曲が多いんですが、80年代中期に、このコンビがアルバムも含めて関わり続けたのは、実は C-C-B だけなんですよね。
 あれだけ、ヒットを連発した後ろには、やっぱりこの2人がいたのです。

 テレビにもよく出てたし、この頃って、ほんとノリノリで、ちょっと浮かれた感じなんですが、キャッチ―なメロディに、変幻自在のボーカルが、”クセ” になる部分もあったのです。


5th「Lucky Chanceをもう一度」1985.8

作詞:松本隆/作曲:筒美京平/編曲:船山基紀・C-C-B

 〔 Vo:渡辺→関口→笠 〕
 この曲は渡辺英樹さんのボーカルで始まるんですが、ベースを弾きながら歌うとこが、これまた新鮮だったんです。
 この頃って結成当初からの3人が歌うことが多かったのですが、クセのある低音が関口さん、甘い歌声が渡辺英樹さん、ちょっと渡辺さんと似てるんだけど、妙に”揺れる”感じがするのがくんのボーカルです。
 この3人の声が絡んでいく構成がいいんです。
 この曲、12inchシングルがリリースされたんですが、そのリミックス盤が楽しくてですね~、友人間でもけっこう流行ったんです。

6th「空想Kiss」1985.11

作詞:松本隆/作曲:筒美京平/編曲:大谷和夫・C-C-B

 〔 Vo:渡辺→笠 〕〔 「2」Vo:関口 〕
 シングルでのボーカルは、渡辺ペアだったのですが、アルバム盤では関口さんがずっと歌ってます。


7th「元気なブロークン・ハート」1986.4

作詞:松本隆/作曲:筒美京平/編曲:大谷和夫・C-C-B

 〔 Vo:笠(渡辺)→関口→笠(渡辺) 〕
 髪が黒くなった 7thシングル。
 女子から人気のあった関口さんの歌割が増えた感じなんですが、個人的には渡辺英樹さんのベースがかっこいいと感じた曲でした。(意外と英樹さん推しだったんですよね。)

 この辺りから、バンドやってた友人なんかも、チャラいイメージだった C-C-B に対する見方が変わってきた感じでした。


◎才能が開花していくメンバーたち

 C-C-B って、コーラスをはじめ、メンバーの全員がボーカルも出来るグループだったんですが、演奏の方も、けっこう実力派のバンドだったりするんですよね。(まあ、関口さんの”エアギター”問題はあるんですが…)
 皆さん、下積み時代のある方だし、くんのドラムテクや渡辺英樹さんのベースは、バンドをしてる友人の間でも評価が高かったし、裏方に徹していた米川英之さんのリードギターもかっこよかったんです。

 そんなメンバーたちだったので、デビュー時から編曲に関わっていて、船山基紀さんや大谷和夫さんらの職人とともに、必ず C-C-B がクレジットされてました。こういうとこ、こだわりがあったんですよね。

 また、C-C-B は15枚のシングルをリリースしていて、ラストシングルを含めて9曲が松本隆筒美京平コンビの曲です。
 アルバムにも、このコンビの曲が多いのですが、メンバーの曲も必ず数曲収録されていたんです。

 やっぱり、松本隆筒美京平コンビと一緒に作業するのは、かなり刺激的な事だったと思うんですよね。
 徐々にメンバーがソングライティングした曲が増えていって、後半は、ほとんどメンバーのみの仕事になっていくんです。

 そして、メンバーの手による最初のシングルが、関口さん作曲の「不自然な君が好き」なのです。

8th「不自然な君が好き」1986.8

作詞:松本隆/作曲:関口誠人/編曲:大谷和夫・C-C-B

〔 Vo:関口→笠 〕
 なんか筒美京平さんに負けてない感じですよね。
 ただ、この後の9thシングル「ないものねだりの I Want You」を最後に関口誠人さんは脱退しちゃうのです。


 4人になった C-C-B なんですが、これまで裏方に徹してた感じの米川英之さんがフロントに加わって、なんか、一気にロックっぽくなったような印象です。

 その頃のメンバーの手によるシングルが

11th「原色したいね」1987.9

作詞:松本隆/作曲:渡辺英樹/編曲:大谷和夫・C-C-B

Pain It Purple. Blue and Green
Paint It Yellow. Silver and Gold

〔 Vo:渡辺→米川→笠 〕
  C-C-B の曲の中で、私の最も好きな曲がこの「原色したいね」です。
 様々な色で溢れる松本隆さんの詞も素敵だし、関口さん脱退後、いよいよボーカルを担当し始めた米川さんの声もいいです。

 それに、なんと言っても、4人の演奏それぞれが走ってる感じがするんですよね。なんか厚みが出てきた感じで…

 
 そして、米川さんがメインボーカルを務め、そのロック魂が炸裂したのがシングル「抱きしめたい」なのです。

12th「抱きしめたい」1987.12

作詞:松本隆/作曲:筒美京平/編曲:大谷和夫・C-C-B

〔 Vo:米川 〕
 もうハードロックですよね~。
 ギターうなりすぎです! ココナッツボーイ時代はどこへ行ったって感じです。
 でも、後期の C-C-B は、この、覚醒した米川さんのテイストが強かったと思うのです。


14th「信じていれば」1988.10

作詞:渡辺英樹/作曲:米川英之/編曲:田口智治・米川英之

〔 Vo:渡辺→笠→米川〕
 そして、作詞:渡辺英樹、作曲:米川英之、編曲:田口智治・米川英之という純粋なメンバー曲だった14thシングルです。
 それだけに、4人の演奏がさらに走ってる感じがしますね。


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 最初の見た目の ”チャラさ” が、誤解を受けやすかったと思うんですが、こうしてシングルを並べただけでも、あらためて C-C-B は個性的で唯一無二のバンドだったと思うのです。

 80年代後半を駆け抜けた C-C-B は1989年に解散することになりますが、その後も個人活動だけでなく、メンバーがちょこちょこ集まっては活動してたみたいです。


 ただ、突然の訃報_____
 2015年7月に渡辺英樹さんが早逝したニュースはちょっとショックでした…

 とても残念な気持ちになりました。


 それから、けっこうな年月が経っていますが、もう渡辺さんはいないってことがやっぱり残念です。
 田口さんも事件を起こしてしまって、おそらく C-C-B としての活動を見ることは、もう無いのかもしれません。

 ただ、あの頃の5人、そして4人の残した原色はいつまでも輝き続けていると思うのです_____。





 渡辺英樹さんが亡くなる半年ほど前、解散以来26年振りに解散時の4人による C-C-B での「原色したいね」です。
 最後に、ほんとに楽しそうだった4人の演奏をお楽しみください!






 またもやメンバーの訃報です。
 2022年12月に笠浩二さん、笠くんがご逝去されました。ご冥福をお祈りします。