見出し画像

尾崎豊の「十七歳の地図」に出会った十五歳の自分

 Boy Meets The "SEVENTEEN'S MAP"


 「十七歳の地図」は ”10代のカリスマ” と呼ばれた尾崎豊さんが、18歳だった高校在学中(停学中)に発表したデビューアルバム。
 自分が初めてこのアルバムを聴いたのは、まだ十五歳の時、発売されてから半年を過ぎた頃で、まだまだ、尾崎豊さんは無名のシンガーでした。

 無名だった尾崎豊さんを知ることになったのは、新しいクラスで隣の席になった女の子のおかげでした。
 その子はGB(ギターブック)の愛読者だったのですが、GBって、ソニーマガジン社の音楽情報誌なんで、CBSソニーからデビューしていた尾崎豊さんの記事もそれなりにあって、ファンになったのだということでした。
 彼女と話をしているうちに自分も興味を覚えて、カセットテープに録音してもらったのだけど、そのストレートな歌詞に引き込まれて、すぐに好きになったんですよね。
 当時、尾崎豊さんのことを知っていたクラスメイトはごく少数だったので、彼女との話はいつも尾崎豊さんの歌のことでした。


画像1

 その後、尾崎豊さんは、ライブ中に機材から飛び降りて脚を骨折するという事故があった頃から注目され始め、年明けの新曲「卒業」が話題になったりして、あれよあれよと ”10代のカリスマ” になっていくわけなのです。

 その頃になると、クラスメイトの中にも熱狂的な尾崎ファンが増えてくるわけなのですが、彼女はその子たちとは少し距離を保っているような感じでした。

 心中、複雑なのかなぁ、と、思ったりもしたのですが、あまり気の利いた話も出来ないままだったのです。


「十七歳の地図」1983.12


 デビューアルバムの「十七歳の地図」は、それこそ彼女と1曲1曲について話し込んだアルバムで、収録されている10曲すべてが思い出深かったりします。

 自分のお気に入りはB面4曲目の『傷つけた人々へ』で、彼女のお気に入りはA面1曲目の『街の風景』でした。

 個人的に『街の風景』は、あまりメリハリがなく淡々とした印象なんで、私の中では、それほど上位ではなかったのですが、なぜか、今は『街の風景』を無性に聴きたくなる時があるのです。

『街の風景』

 追い立てられる街の中
 アスファルトに耳を当て
 雑踏の下埋もれてる
 歌を見つけ出したい
 空っぽの明日に向けて投げてやるさ
 誰もが眠りにつく前に


 この歌が聴きたくなった時、思い出すのは、やっぱり彼女のことで、今もこの歌を聴いているんだろうかと、気になって仕方がなかったりするのです。



『傷つけた人々へ』

時の流れに心は 変わってしまうから
そして いったい何が 大切な事だったのかすら
忘れ去られてしまう