見出し画像

今日は、私にとっての "菊池桃子" 日和


 自分の使ってる配信サービスのタイムラインに「はじめての菊池桃子」というプレイリストが上がってきて、ちょっと胸が躍ってしまいました。

 どうやら、菊池桃子さんの楽曲(ラ・ムーを含む!)がサブスク解禁になったとのこと... ちょっと嬉しいです!


 80年代は、松田聖子さんや中森明菜をはじめとして、様々なアイドルが活躍した時代でした。
 テレビでも歌番組が隆盛で、たくさんのヒット曲が生まれたんです。
 そのアイドルたちの楽曲には、ニューミュージック系のアーティストたちが続々参加していて、ほんとクォリティの高いものが多かったのです。

 そして、菊池桃子さんの楽曲といえば、林哲司さんとのコンビです。

 林哲司さんといえば、上田正樹さんの「悲しい色やね」、杏里さんの「悲しみがとまらない」、中森明菜さんの「北ウイング」、そして杉山清貴&オメガトライブの楽曲など、80年代に活躍したヒットメイカーの一人です。
 その林哲司さんがデビューから一貫して関わっていたのが菊池桃子さんなんです。

 なんか、菊池桃子さんのアルバムって、菊池桃子というアイドルのアルバムというよりも、林哲司 feat. 菊池桃子という趣があるんですよね~。
 個人的には、林哲司さんのソロアルバムよりも、菊池桃子さんとのアルバムの方が断然好きだったりするんです。


1st『OCEAN SIDE』1984.9


画像1

 アイドルのデビューアルバムなのに、この『 OCEAN SIDE 』のジャケットって菊池桃子さんかどうかよく分からないんです。
 これってどうなん?って感じもあるんですが、デビューシングル「青春のいじわる」や2ndの「SUMMER EYES」の曲調自体も、あまりアイドルらしい快活さは感じられなかったんで、やっぱこういうコンセプトだったんですよね。


「青春のいじわる」1st

 作詞:秋元康/作・編曲:林哲司


「SUMMER EYES」2nd

 作詞:秋元康/作・編曲:林哲司


 ちなみに、このアルバムには、後年、海外でのシティポップブームの中で紹介されたあの曲も入っています。

「Blind Curve」

 作詞:秋元康/作・編曲:林哲司

 いい曲なんですよね~、これも!



2nd『TROPIC of CAPRICORN』1985.9

画像2


 この2ndアルバム『 TROPIC of CAPRICORN 』のジャケットでも、やっぱり菊池桃子さんの露出が抑えられてますね~、かろうじて、前作よりは菊池桃子さんが写ってますけど....

 また、大ヒットした4thシングル「卒業-GRADUATION-」は収録されているのですが、3rdシングル「雪にかいたLOVE LETTER」は入ってません!
 多分『TROPIC of CAPRICORN』(南回帰線)と名付けられたアルバムイメージに合わなかったのでしょうね。


「卒業-GRADUATION-」

 作詞:秋元康/作・編曲:林哲司


※ちなみに、収録されなかったシングルがこちら

「雪にかいたLOVE LETTER」

 作詞:秋元康/作・編曲:林哲司

 まあ、ファンから見れば、ちょっと寂しいんですが、アルバムについては、それだけトータルなイメージコンセプトがあったってことなんだと思うのです。



 林哲司さんが関わって制作された菊池桃子さんのアルバムは4作品あって、特に私が大好きだったのが 3rdアルバム『ADVENTURE』なのです。

3rd『ADVENTURE』1986.6

 いきなり、インスト曲で始まるこのアルバムは、抑制された楽曲が中心で、もうAORそのものって感じでした。

 なんでしょう、菊池桃子さんって声量がない歌唱が特徴なんですが、それを生かしたソングライティングがピッタリはまった感じなんですかね。
 むしろ、この菊池桃子さんの歌唱だからこそ、聴き心地のいいアルバムに仕上がってると思うんですよね。


「Adventure」

 作詞:有川正沙子/作・編曲:林哲司


「Night Cruising」

 作詞:藤田浩一/作・編曲:林哲司


「Mystical Composer」

 作詞:佐藤純子/作・編曲:林哲司


 この抑えられたトーンでまとめられていて、ほんと心地よい仕上がりなのです!

 そして、このアルバム前のシングル「夏色片想い」や「Broken Sunset」は収録されてなかったのに、1曲だけ収録されていたシングルが「もう逢えないかもしれない」なんです。
 多分、このアルバムって、この曲のトーンだったのかもしれませんね。

「もう逢えないかもしれない」

 作詞:康珍化/作・編曲:林哲司

 やっぱ、名曲ですよね。
 菊池桃子さん曲では秋元康さんとのコンビが中心の林哲司さんなんですが、この曲の作詞は康珍化さんとのコンビです。
 桃子さんの曲でこのコンビは希少なんですよね。


+  +  +  +  +  +


 思いがけず、今日は一日、菊池桃子さんを聴きながら過ごすことになってしまいました。
 菊池桃子さんの優しい声とともに、林哲司さんの世界に浸るのも悪くなかったのです。

 さて、1stアルバムに収録されている曲で「Futari No Night Dive」(二人のナイト・ダイブ)という曲があります。

 これも、久しぶりに聴けて嬉しかった1曲なんです。
 シングルでもなんでもない曲なんですが、実は、吉本ばななさんの著作『キッチン』の中で登場する曲なんですよね。

月灯りの影こわさぬように 
岬のはずれにボートを停めた
一人だけ ウエットスーツのあなた
少し無口になって 海の中消える

愛を感じてる 二人を結ぶものは
目には映らない他の力ね
小さな気泡が せつない言葉みたく
力なく届くのを ただじっと見守るのよ

 出だしの~月灯りの影こわさぬように~ってとこが、二人が育んでる恋愛の様子が見えて好きなんですよね~、さすが秋元康先生って感じなのです。 

 印象的な場面でもあるので、『キッチン』を読む際には、ぜひ、この曲を劇伴としてイメージしてもらえればと思います。


「Futari No Night Dive」

 作詞:秋元康/作・編曲:林哲司




(関係note)


<80年代アイドル名曲列伝>
イントロだけで魅かれてしまう南野陽子の名曲たち...
世界の本田美奈子.
中森明菜の9枚のシングル
続・中森明菜の9枚のシングル
呉田軽穂 SONG-BOOK with 松田聖子+
その時、そのアイドルは大人になった...