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精神腫瘍科の受診をしてみる ~とあるOLの乳がん日記【59】

59.

私が応援しているアイドルグループが休止発表したという、突然の姉からの連絡に驚いて、友達にもそのことを伝えたら、友達も驚いた。

私はそのアイドルグループを、10年くらい応援していて、コンサートに行くために遠出をしたり、そのグループが出ている番組を全部録画したりしているくらいには、ファンだった。
スマホでSNSを見てみると、私のSNSはその話題でもちきりになっていて、ネットニュースも大きく取り上げていた。

でも、本当に、とても驚いたけれど、私は、親戚のお葬式のときみたいに現実感があまりなくて、ただでさえ私の頭のキャパシティーは、とっくにガンのことでオーバーしていたので、なんとなく感覚が麻痺してしまっていた。
そうか、そうなんだ、そうだよね、と思って、きっとそうじゃなかったら、とてもショックだったと思った。


結局、友達に抗がん剤のことを伝えないまま、駅で別れて、帰りながら休止発表のニュースを辿って、情報収集をした。
そうしていると、ずっと今まで健康だけが取り柄だった自分だとか、親戚のこととか、アイドルグループのこととか、今まで当たり前にあったことが次々とそうじゃなくなっていくので、こんな感じで私も、2年後くらいに死んでるんじゃないかなと思い始めた。



次の日は、看護師さんがおススメしてくれた精神腫瘍科の先生の診察日だったので会社を早退した。
診察の前に、別の先生が色々とヒヤリングをするということだったので、深層心理とか、自分の精神分析的なことをするのかなと思った。

でも、事前のヒヤリングは、気合を入れ過ぎていたせいか、自分的にうまく話をすることができなくて、あまりうまくいかなかった。
ヒヤリングが終わると、一旦待合室に戻って、次こそちゃんとやろうと思った。

しばらくすると番号が呼ばれたので部屋に入ると、今度は3人先生がいたのでびっくりした。
3人のうちの1人は、さっき私にヒヤリングをした人で、その2人の前に座っている先生が、後ろの2人も同席しても構わないかと聞いてきたので、別に大丈夫ですと言った。
いや、多分、本当はちょっとアレだな、と思ったけれど、ここで嫌と言えるほど、私の心は強くなかったので、仕方ないと思った。
あと、この前に座っている人が、看護師さんのおススメの先生なんだなと思った。

受診が始まって、精神腫瘍科の受診をしたら、私の中に根付いている苦しさの原因とか、深層心理とかが判明して、もう悲しい気持ちになることもなくなるのかなと思ったけれど、なかなかそううまくはいきそうにないなと思った。
看護師さんと話しているときみたいに、号泣するつもりだったけれど、2人に見守られながら先生と話しているせいか、それもうまくいかなくて、あっという間に診察は終わってしまった。

先生は、今回は初診だったので、いつもより多い時間をとったけれど、次回からはもっと短い時間になるということを言ったので、今日でも時間が少ないと思ったのに、次からもっと少ないのであれば、あまり受診を続けても意味はないのかもしれないなと思った。

気持ちが元気になる薬が処方されたけれど、なんとなくメンタル系の薬は飲むのが怖かったので、まあ飲まなくてもいいかなと思った。

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