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炊き出し当事者と好循環サイクルになれた

炊き出し参加し4年4ヶ月目に入り、最近、多くの当事者と好循環サイクルになれた実感が、僕自身に湧いてきました。毎回、炊き出し公園をフラフラしていると、誰かが何かの報告や相談、訴えなどをしてくるので、放っておいても勝手に情報が集まってきます。

・人間は鏡
例外はありますが、こちらが笑っていれば、相手も笑うことが多く、こちらが怒っていれば、相手も怒ることが多いです。なので、当事者へポジティブ感情をひたすら伝え続けてきました。結果、今では多くの当事者が協力姿勢になってきてくれました。ただただ、感謝しかありません。笑

・僕はあなたの敵じゃないよアピール
態度や姿勢でも、機会があれば言葉でも、ひたすら「僕はあなたの敵じゃないよ」と、伝え続けてきました。当事者は炊き出しに辿り着くまでの人生において、深い悲しみや深い苦しみを感じてきた方が多いと思っているので、些細な出来事でも直ぐに「闘争」or「逃走」の2択反応になり、「闘争」の方を選んでファイティングモードに入ってしまう方が一定数います。なので、常に「僕はあなたの敵じゃないよ」と、伝え続けてきました。確実に効果を感じています。

・否定からは、ポジティブなものは殆ど生まれない
毎回、色々な当事者からひっきりなしに、何かを投げかけられます。基本、まずはひたすら話を聞き、時折、相槌や返答、質問などをします。共感や肯定できる内容のものは、できるだけオーバーリアクションで「僕もそう思うよ!」と、伝えます。逆に同意できないような内容でも、スルーできる内容は「あー、そうなんですねー(棒)」と、答えることが多いです。笑 スルーできない内容のものは止めに入りますが、それでも「僕に話してくれて有難う」と、最後に添えます。当事者の人生の中で、現時点で感じていることや思っていることを伝えてきているので、とにかく否定は最小限に留めています。今回だけでなく、次回以降も正直な気持ちを話したいと思うようなスタッフを、ずっと目指しています。

・自分の言葉で返答をする
常に当事者から色々な投げかけがあるのですが、できるだけ自分の言葉で返答しています。無難な返答しかしないスタッフや、心の障壁があるスタッフなどは、ちゃんと当事者に見抜かれています。仮に間違いの返答をしてしまったとしても、それが重大な何かに発展するようなことはまずないので、間違いに気づいた時点で、当事者に謝れば良いと思いながら、いつも気楽に返答しています。笑

・振り上げた拳を下ろして貰うため、平常時にひたすら顔繋ぎ
スタッフの失礼や不手際、当事者同士のトラブルなどに、耐えかねた当事者が怒っても、怒った瞬間から振り上げた拳をどう下ろすか考えてくれる当事者は多いです。その時に、初めて接したスタッフや、普段余り交流がないスタッフが場を調整するよりは、普段から交流があるスタッフが「ここらで許して頂けませんか?」と、交渉に入ったほうが、格段に成功率は上がると思っています。なので、平常時からその当事者の投げかけなどに耳を傾け、必要ならば動く必要があると感じています。その普段の姿勢や態度が、怒った際の場を収めるのに、活きると信じています。

・100%本音を、当事者は話してくれないと思ったほうが良い
どうしても、支援される側と支援する側なので、権力勾配みたいなものが生まれてしまっているので、100%本音を当事者は話してくれないと思っています。ですが、それでも少しでも純度の高い本音を話して貰うには、普段からの信用信頼関係がないとダメだと思っています。気軽に何でもぶつけられる立ち位置を、僕は常に目指しています。最近は、炊き出しに余り関係のない話も受けることが増えてきたので、良い傾向だと感じています。笑

・スタッフが当事者を見ているのではなく、当事者がスタッフを見ている
スタッフは当事者を見ている(支援している)つもりでいますが、スタッフが当事者に、支援者として相応しいかどうか、常に見られている(ジャッジされている)と、参加途中から明確に感じ始めました。当事者は不利な側であるので敏感です。スタッフが表面上は取り繕っていても、何気ない一言や、何気ない反応で、本心が透けてしまっています。大変な人生を送ってきた当事者だからこそ、観察眼が鋭いというか、本能的に嗅ぎ分けている方が多いと感じますので、スタッフの気持ちは見抜かれていると思っています。

・何かを投げかけられ、突然テストが始まる
スタッフは当事者から何かを投げかけられます。それは突然やってきて、同時にそれは当事者からのテストだと感じています。最初は、社交的な方、人懐っこい方、元気のある方などが投げかけて来ることが多いです。しかし、そのスタッフが当事者からの投げかけにどう応えていくのか、投げかけた当事者だけでなく、周りにいる当事者も何も言いませんが、しっかり見届けられています。その応え具合で、2人目、3人目の投げかけが生まれるかどうか、テストされているのです。常に話しかけられているスタッフは、過去のテストを合格できたのだと思います。

・正しさの追求は、場合により害になる
当事者が怒り出して話を伺っていると、暴言を吐かれたり、無茶苦茶な要求をされたり、支離滅裂な主張を受けたりして、困惑や憤慨することもあります。そういう時にスタッフは往々にして、正論を展開しがちなのですけれど、正しさの追求は当事者を追い詰めてしまうこともあると感じています。当事者の人生の中で、現時点で感じていることや思っていることを伝えてきているので、とにかく否定は最小限に留め、少しでも相手と合意できる部分を探しています。正しく生きれない方や正しく考えられない方の、置かれている状況などを、想像し続けることは必要だと感じています。

・信用信頼は、一瞬で失う可能性がある
僕はコロナ対応2年目頃から、当事者からの風向きが変化してきた実感がありました。当時、最前列のほうは、3つほど緩やかな当事者グループが形成されており、その1つのリーダー格の方が、ある時突然、「このスタッフの言うことは聞こうぜ」みたいな働きかけをしてくれるようになったのです。そのグループが最初に僕のあだ名を付け始めました。現在、その方は最前列ではなく、時間調整して列の後ろの方に並ぶようになったのですが、交流は続いています。ただ、当事者同士の口コミはとても強力なので、時間をかけて築き上げた信用信頼は、一瞬で失う可能性もあります。常に気を引き締めて臨む必要はあると感じています。

・当事者対応に王道はない
当事者対応に王道はないので、ある当事者の情報を自分の中で蓄積していき、剛柔併せ持った対応が必要ですし、その人に合った接し方をするしかないと感じています。筋論で話した方が伝わる方、情に訴えた方が効果がある方、無言の圧をかける必要がある方、柔らかい対応の必要な方、毎回の挨拶をしっかりし、年上としてリスペクトすることで協力関係が築ける方、などなど、当事者によって様々です。ひたすら、トライアンドエラーを繰り返し交流する中で、縁ある方とは、名前交換したり、寝床訪問するようになるのだと思います。「助けて」を言いやすい関係を築き、「助けて」と言われた時に直ぐに動けるように、関係スタッフに繋げられるように、常に準備をしておく必要があると感じています。

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