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If -臆病な恋

彼を初めて見たその瞬間
私の恋は始まっていたのかもしれない

熱気に溢れるライブハウス
スポットライトを浴びながら
少しはにかむように笑う口元
なめらかに弦の上を歩く指

ギターを弾くその彼は
眩しいくらいにかっこよかったのだ

高校生の夏
どこ主催か忘れたけど音楽イベントが開催されることになり、その運営ボランティアに参加した
高校生だけで作るイベントだったのだけど
そのイベントがきっかけで
ある大学生バンドと知り合う事になる

そのバンドはオリジナル曲も多く作ってて
ライブパフォーマンスもかっこよくて
デモテープを売りながら
しっかりファンもついてて
高校生が憧れるには充分な魅力があった

イベントで知り合ったことをきっかけに
よくライブにも誘ってもらったりして
気づいたらファンの1人になっていた

そのバンドのギタリストと
イベントボランティアのリーダーが
知り合いだった事が今回のきっかけ

実は彼のこと好きなんだよね…
とそのリーダーが可愛く打ち明けてくれたので
その時はまだ純粋に応援したいと思った

ボランティアのみんなで即席バンド
組むことになって
私はギターを弾いていたので
それを口実にギタリストの先輩に
ギター教えて欲しいな〜って言って
スタジオに誘い出したりして

ほんと余計なお世話w

イベントが終わってからも
片思いを続けていたリーダーは
告白する勇気もないし片思いでいいの
って進展する気配もさせる気配もなく
私の行為はほんとに余計だったらしい

私はといえば
一ファンとしてライブに通いつめ
デモテープを買っては
テープが伸びるほど聞き込んでいた
(カセットテープ世代なのバレたなw)
ファンの1人としてそのギタリストの先輩から
ライブの予定とか、今度オーディション
受けるんだとか
電話で話してたりもして…
ドキドキしながら話すからほんと
何話したかなんてほとんど覚えてないけどw

ただその時も脳裏に
先輩のことが好きだった子の顔がちらつく

好きだっていうことを知ってるのに
その相手に関わって行くっていうことで
数人に囲まれて非難された過去がよみがえる

たまたま同じものを持ってただけで
ひどいと泣かれたり…

いやいや付き合ってないじゃん!
って思っても反論できない弱い私

そんなトラウマとも言えないトラウマから
臆病になってた私は
自分の気持ちを勝手に封じ込めていた

そのまま県外に進学した私は
ライブハウスに行くこともなくなり
思い出に変わってしまった

もしもあの時…

もしもあの時…






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