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【architect】建築家とは…写真家鈴木久雄に学ぶ

InstagramやPinterestによって、建築の写真を業界外の一般の方が目にすることも増えた

今までは設計事務所などは作品として建築を写真に収めてきたが、最近ではInstagramにアップするためにプロのカメラマンに写真を撮ってもらう工務店やハウスメーカーも増えている


さてあまり詳しくない業界ではあるが、写真家の世界には医者のように内科や外科、歯科医、整形外科、眼科と分野があるように、得意分野がある
自然の風景、動物、料理、空、雲、ファッションなど写真家も分野は様々だ

今回ご紹介する写真家の鈴木久雄氏は建築をメインにスペインを拠点に世界中で仕事をしている

安藤忠雄やSANAA、藤本壮介など日本の建築家だけでなく、海外の建築家の建築も撮影している

世界的に有名な建築作品集である『エル・クロッキーズ』の専属写真家でもある

建築家の仕事に密着し計画段階から作業風景や模型までも写真におさめている

『エル・クロッキーズ』は非常に権威があり、特集が組まれたら一流の証といっても過言ではない


そんな鈴木氏であるが、元々は料理を専門とする写真家だった
しかしスペインに渡り、たまたま磯崎新氏の建築の写真を担当したことで建築の道に進んだ異色の経歴を持つ
色々な現場を経験する中で身につけた写真を通して建築を伝えるやり方は鈴木氏ならではである
ある意味、建築を専門にしてこなかったことで他の写真家とは違った視点が生まれたのだろう

鈴木氏の写真の特徴は、周辺の環境も含めての建築のあり方を表現していることにある
SANAAによる金沢21世紀美術館は近くのホテルから俯瞰した写真を撮っている
伊東豊雄氏のせんだいメディアテークは前面の並木と一体化したような写真をおさめている

鈴木氏の写真は晴天の日よりも曇りの空が多いのが特徴だ
通常建築写真は晴天の青空のもと撮られるのが良いとされがちだ
青空のもと中庭で遊ぶ子どもたちみたいなテーマで撮られた住宅写真は多い

しかし鈴木氏は空に浮かぶ雲が、建物と周囲の環境に奥行き感を与えてくれるため曇りの日を好んでいるらしい

これも建築が周囲の環境によって成り立っていることを表現している

建築はそれぞれは誰かしらのものであるが、街にある以上、社会的な側面は避けられない

ある建築家は建築の外観は『街のインテリアを考えること』と言っていた

決してオシャレでカッコいい建築をつくろう!という話ではない

周囲の環境の中にある建築として、周囲との関係を考えながら設計することが建築家には求められるのではないだろうか

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