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アンゴラの世界遺産候補 サンミゲル要塞 (Fortaleza de São Miguel de Luanda)
ポルトガル語圏の海沿いの主要都市に
必ずあるものといえば要塞です。
今回は
アフリカはアンゴラ共和国の
「Fortaleza de São Miguel de Luanda」
【フォルタレーザ・ドゥ・サゥン・ミゲール・ドゥ・ルアンダ】
(サンミゲル要塞 [ルアンダ])
をご紹介致します。
![](https://assets.st-note.com/img/1650361831563-DxKLADNGtC.png)
サンミゲル要塞は
1576年に完工したポルトガル植民地時代の要塞で、
アンゴラの首都ルアンダの
目抜き通りである湾岸通り、こと
Marginal de Luanda
【マルジナール・ドゥ・ルアンダ】
![](https://assets.st-note.com/img/1650323219077-kFB9MxaK3L.png?width=1200)
と
ルアンダ湾
(Baía de Luanda【バイーア・ドゥ・ルアンダ】)
を構成する砂州である
Ilha de Luanda
【イーリャ・ドゥ・ルアンダ】
(ルアンダ島)
![](https://assets.st-note.com/img/1650323264414-mVXAJ2ut2m.png?width=1200)
の境目、つまり
ルアンダ湾の一番奥に位置します。
![](https://assets.st-note.com/img/1650325925810-4zq6GRRLbA.png?width=1200)
また、
この歴史ある建造物は、
1996年にアンゴラの世界遺産候補の
暫定リストに加えられています。
🏰🏰🏰🏰🏰
この要塞は現在
「国立軍事博物館」になっており、
歴史的遺物の数々を初め、
戦車や戦闘機・車両の他、戦時中の写真なども展示されています。
![](https://assets.st-note.com/img/1650381770267-zVBherViJ0.png?width=1200)
海岸通り側から
細い坂を上り切ると、
要塞の敷地の入り口があります。
![](https://assets.st-note.com/img/1650373179984-MimNo10ceu.png?width=1200)
すぐ手前に駐車場がありますので、
そこで車を降りて、
歩いて星形の門を潜り抜けたオープンスペースには
既に見ごたえたっぷりの
戦闘機 ↓ や、
![](https://assets.st-note.com/img/1650373444164-9Tll2kfgOo.png?width=1200)
戦車 ↓ などが展示されています。
![](https://assets.st-note.com/img/1650373538450-BPmmVWUIRM.png?width=1200)
このオープンスペースの先の
博物館の入り口(要塞本体の入り口)を抜けると、
![](https://assets.st-note.com/img/1650371010556-OJUi0ZDXe6.png?width=1200)
戦前(ポルトガル時代)には街中に設置されていた
ポルトガルの偉人像などが配置されています。
![](https://assets.st-note.com/img/1650339027598-dP0GC8BRDg.png?width=1200)
これらは
独立戦争が勃発してまもなく
当時のポルトガル政府が
破壊行為などを恐れて
急遽
要塞へ運び込ませたのだそうですが、
緊急配備できる機材が限られていたこともあり、
4~5等分に切断した上で
運び込まれたものもあります。
![](https://assets.st-note.com/img/1650341273121-sHKxlZ2Qv9.png)
いずれにせよ、
その後内戦時代に突入しても
どの像も破壊されるようなことはなく
無事であり続けたことは、
アンゴラ人の温厚さを示しているに他ならず、
あるモザンビーク人が
「アンゴラ人のことは必ずしも好きではないが、
ポルトガル時代の像などを要塞に運び込んで
大切に保管した点については尊敬している。
なにしろ我が国では
そのような歴史的な遺物の大半が
破壊されてしまったのだから…」
と嘆いていたのが強く印象に残っています。
🏰🏰🏰🏰🏰
![](https://assets.st-note.com/img/1650367186136-232hEB2zGc.png?width=1200)
2番の建物はメインの展示室で、
歴史的文書や武器・道具類が展示されている他、
建物の内壁全体が
アンゴラの歴史や自然を表す
美しいポルトガルのアズレージョで
埋め尽くされています。
![](https://assets.st-note.com/img/1650368407645-gavzMcXFce.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1650368091503-K0g9H8oenG.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1650367565808-a4qBT0NCBs.png?width=1200)
こちら ↑ に描かれているのは
アンゴラの国獣でもある
ジャイアントセーブルアンテロープ
こと
「palanca negra【パランカ・ネグラ】」です。
ちなみにこのメイン展示室の
アズレージョは長い年月をかけて
復元されたものです。
私がここを初めて訪れた1997年には
建物全体がボロボロで、
アズレージョも
このような ↓ 状態になっていました。
![](https://assets.st-note.com/img/1650369604072-KHwnWLITBd.png?width=1200)
それが復旧事業の末、
このように蘇りました。
![](https://assets.st-note.com/img/1650369699512-fi3JkhCxTK.png?width=1200)
🏰🏰🏰🏰🏰
このメイン展示室の周りの壁沿いに見える
テント状の屋根の下には
独立戦争で実際に使用された
車両や大砲などが展示されています。
![](https://assets.st-note.com/img/1650372837889-KqSXYDn7RG.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1650372912548-8Ko7zBCXJs.png?width=1200)
🏰🏰🏰🏰🏰
3番の建物は、
独立戦争博物館です。
ここには当時使用された武器や拷問器具の他、
戦争の生々しい写真などが展示されており、
グロいものが苦手な方は
見ない方が良いかもしれません...。
🏰🏰🏰🏰🏰
4番の建物は、
オーシャンビューのレストラン、
Restaurante Marisqueira Forte Velho
【レシタウラントゥ・マリシケイラ・フォルトゥ・ヴェーリュ】
です。
![](https://assets.st-note.com/img/1650375130402-JxVeR6YXUm.png?width=1200)
肉料理も魚料理も絶品で、
味良し景色良しのワンダフルスポットです。
![](https://assets.st-note.com/img/1650375622974-eb4dNNQLIA.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1650375697595-vu1shlZ6Oq.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1650376570415-e4DzlpgqAR.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1650376675380-q3KGI9ZdVs.png?width=1200)
🏰🏰🏰🏰🏰
そして最後に
順序が逆になりましたが、
要塞の外側に見える1番の建物について一言…。
この1番の建物は、
これまた当初予定が遅れに遅れて
2020年11月にオープンした
ショッピングセンターの
Shopping Fortaleza
【ショッピン・フォルタレーザ】
です。
![](https://assets.st-note.com/img/1650377445359-nodMnb7brK.png?width=1200)
今般の流行病の最中のオープンとあって、
直前には職を求める若者がン千人も押し寄せたとかで、
ちょっとしたニュースにもなりました。
また、
それまではショッピングセンターというと、
遥か南の、道が混めば1時間以上かかる
ベラス(Belas)地区にまで行かねばならなかったので、
![](https://assets.st-note.com/img/1650378746943-k612Annjeb.png?width=1200)
海岸沿いの人々にとっては
待ちに待ったショッピング施設ではあるのですが、
サンミゲル要塞には似つかわしくない
モダンな造りのこのショッピングモールが
「ルアンダのシンボルである要塞を覆い隠しているのは
断じてけしからん!!」
と、
非難の声をあげるルアンダの古くからの住民も
少なくないのです。
歴史と景観をとるか、
未来都市への一歩をとるかというのは、
どこの国でも
難しい問題のようですね…。
🏰🏰🏰🏰🏰
ちなみに日本語サイトを検索していたところ、
サンミゲル要塞のことを
「ルアンダ湾を囲む砂嘴の付け根にそびえる真っ白な要塞」
と謳っているサイトがありました。
サイトの情報は2017年のもののようですが、
その記事に載せられた写真が
2006年~2008年頃のもので、
事実、
サンミゲル要塞の改修工事の第一弾として
一旦真っ白に塗られてしまったことがあったのです。
しかしそれは
あまりにもそれまでの趣を剝ぎ取ってしまったような
結果であったため、
散々叩かれた挙句に
アズレージョの復元などを含む
大型プロジェクトの前段階に
元の「くすんだ色」を模した色合いに
塗り直されたのです。
このような誤情報が出現すること自体に
如何にアンゴラが
日本人には知られていない国であるかを
思い知らされる次第です。
🏰🏰🏰🏰🏰
「地雷だらけの国」、
「汚職がひどい国」、
「世界で最も貧しい国の一つ」
等々、
何も知らずに調べてみれば、
ろくな評判が見当たらない国ではありますが、
これまた
観光に力を入れていきたいと言いつつ、
プライドの高さも手伝い、
「もう少し良くなってから」、
「あっちの○○も完成してから」
と、
ただでも「宣伝力」の低い
ポルトガル語圏人が
出遅れに出遅れた挙句に
流行病にもタイミングを奪われた
末路だということができます。
今後
気楽に海外に行ける時代が戻って来た暁には
是非アフリカの未知の国アンゴラも
行先の候補に入れて下さる方が
出てきて下さることを
願って止みません。
お読み頂き、誠にありがとうございました!
![](https://assets.st-note.com/img/1650382668525-EzQKjXnJkm.png?width=1200)
※ 「未知を追いかけたいネ♪」、否、
「追いかける 子ねこ」はこたつぶとんさんの作品です。
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