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モザンビークでの出来事いろいろ(2')- 役人を𠮟りつけてしまった話(完)

こちら ↓ の記事の続きです。


このとき泊まっていたのは、
海辺にあるこちらです。
(全貌はトップ画像)

「シャイシャイ (Xai-Xai)」って、日本人が読むと
やっぱり「ザイザイ」になってしまうのね…。( *´艸`)  ↑


ここの部屋もまた、
広めの2~3室を除いてはひどいものでした。
(それが証拠にどこのサイトにも部屋の写真は掲載されていません!笑)

それでも
バスルームの壁が隣と筒抜けだったりはしないし(笑)
食事などもまあまあなので、
町中ホテルよりは大分ましでした。

おっと、以前の記事 ↓ によれば、

「海辺のホテルは結構いいんじゃなかったっけ」と?

ええ~っと、それがですねぇ…、

実は位置関係がこんなでして、

仕事場から泊まったホテルまででも
車で30分程度はかかりますので、

リゾート地区のビレーネに泊まるなど
あり得ないことなのです…。

ビレーネであれば、こんなに美しくてのどかで、

こんな ↓ 居心地の良さそうなホテルも数多くあるのですが、


如何せんシャイシャイで仕事をするには
遠すぎますからね…。😩

😩 🥺 😢


さて、
本題に入りましょう。

「こんなうつろな目をしたボロっちいおっちゃん達って
読み書きすらできないんじゃないかしら」

と思ってしまうような人達が、
実は非常に優秀だったと知った挙句に
その人達に私が説教をしてしまったという話です。

ガザ州入りして4~5日程経った夜、
私は高熱にうなされました。
(座学と実技から成るコースの2日目の
講義通訳を終えた夜だったと記憶しています。)

翌朝起きると
多少の病み上がり感はあるものの
熱は下がっていたので、
普通に仕事をしました。

ただ、昼過ぎからは
また熱が出て、信じられない程汗をかきました。

でも、

不思議と倦怠感などはなく、
普通に働くことができました。
(食欲だけは減りましたが…。笑)

しかも

そもそもが暑いところですし、
冷房もなかったので、
いつもと比べて異常に汗をかいているとは
私自身しか気づかなかったかもしれません。

そして
その晩も次の晩も大熱を出し、
同じような症状で、
同じように働きました。

ま、通常の風邪でも
夜間に熱が出る状態が数日間続くようなことは
ざらにあることですから、
そんなに気にしてもいなかったのですが、

それが5日目になった辺り(確か週末)に、
ようやくスピードの遅いインターネットで
調べてみると、

熱の出る間隔といい、汗のかき方といい、
熱が出ていても平気で動き回れてしまうことといい、

ブラジルの旅行者向けサイトに載っていた
デング熱の症状にぴったり
マッチングしたのです!

それによると、
7日間その状態が続き、
8日目には発疹が出るとともに熱は出なくなり、
発疹が引けば完治...とのこと。

しかも治療薬もないので、
どっちみち予防するか、
罹って解熱剤などの対処療法を行いながら
「サイクルをこなす」しかないとのこと。

(※ 唯一の注意点はアスピリン系の薬を服用してはいけないということ。)

😲


「なるほど、これだわぁ~!」

ということは、

「行っている対処法は合っているし、
あとはもう2晩熱を出せば3日目には
デングかどうか分かるワ ♪」


と、呑気なもので(苦笑)、
そのまま普通に働き続けました。笑

(なにせ講師一人と通訳一人のみの渡航でしたし、
予備日も前後半日ずつ程度しかなかったため、
休んでなんかいられなかったということもありますが…。)

こうして
私が掛かっているのは恐らく
デング熱であろう
と理解してから
3日目には

見事!
全身ブツブツになり(笑)、

受講者達に

「どうやらデング熱だったワ…。orz…」

と話したところ、

顔のブツブツを覗き込んで、

「ああ、これは確かにデングだね」

と...。

JICA モザンビーク事務所にも連絡したところ、
大層心配して頂いたのですが、
結局は医務官の方に
発疹が出たのなら、もう検査しても何もでないと
教えられました…。

😅😅😅


そんなこんなで

ガザでの講義通訳のお仕事は
大半の期間を熱と汗にまみれながら、

そして
ガザ州の人員の優秀さに
ひたすら驚かされながら
遂行したわけですが、

そうしつつ、私の中では
日本人にも他の援助国の人達にも
ひたすら誤解され続けている受講者達
(一部は役所勤め、もう一部は
機材置き場勤務の現場労働者)に、

直には誰も言ってくれないであろう
いろいろなことを
言いたくて言いたくて
仕方ない気持ちが
どんどん膨らんでいきました。

とくにこの時は、
普段の大人数の調査団とは違って
話の分かる講師の方と私の二人きりのミッションです。

そこでさっそく
講師の方に事情を説明して許可を得て、

最後のまとめと別れの挨拶をする日に、
講師の方が言うことを全て行ったあとで

少し時間を頂いて、
私の独断の「演説」をさせて頂けることになりました。

そしていざその日を迎え、
まだブツブツの残る顔で(笑)
次のようなことを話しました。

🌻🌻🌻🌻🌻

「私は何年も前から
幾度となくあなた方の仕事場に寄らせてもらっています。

ですから、
あなた方の中にも何度もお会いしている人もいますし、
この組織への愛着もあります。

で、以前から思っていたことなのですが、
私の「通訳」という立場もあり
言えないままになっていたことがあるので、

今回は、こちらの○○先生に許可を得ましたので、
少しお話しさせてもらいます。

私は仕事柄、
調査団が他機関を訪れるような時にも
同行していることが多いのですが、

どこへ行っても

皆さんの組織については

『やる気が感じられない』、

『何を供与しても無駄になるに違いない』

といった意見が耳に入ってきます…。

これは
モ国内で活動する各組織の
誤解に他ならないと
今回確信に至ったことです。

しかしながら、

一方では、
皆さんを含むモ国側にも
別の意味での誤解があると、
兼ねてより感じています。

というのも、

あなた方の組織のみならず
モ国の多くの組織で見受けられることなのですが、

協議中にせよ、サイト調査中にせよ、
あなた方を含め、モ国側の人達は
自らの組織が如何に困窮しているかばかりを
アピールしているように見受けられるのです。

あたかもモ国側の人達が皆、
『我々が困っていて可哀そうだと思わせさえすれば
きっと援助がくる筈だ』と
信じているようにしか見えないのです。

事実、内戦中には
多くの国際組織やNGOなどからの
「人道援助」があったでしょう。

この地方で多く発生する洪水の際も然りです。

結果、
どんな組織もどんな案件も
十把一絡げで「援助」という意味で
『cooperação(協力)』という言葉を使う文化が定着してしまい、

今でこそ辛うじて
『doadores (ドナー)』とは言わずに
『parceiros de cooperação(協力パートナー)」と言うべきだなどと
言われるようになってはきていますが、

『援助』と『協力』は
根本的に違うものだと理解する人は少ないのです。

『国際協力 (cooperação internacional』の案件は
『互いに協力し合う』という大前提がありますから、
『可愛そうだから、あげる/貰える』といった
考え方は、そもそも通用しません。

ドネーションではないので
援助される側にも当然負担事項があります。

一部の経費といった形での負担もありましょうが、
何より受けた協力を有効に活用し、
国の発展に貢献するというのが
最大の負担事項であり、義務となります。

ですから、
協力する側が事前に調査に訪れるのは、
相手がどれだけ困っているかを知るためではなく、

その協力者のパートナーとして相応しいかを
知るためにやってくるのです。

他機関で聞いた話の中でも最悪だと感じたのは、
あなた方の事務所で
資料のコピーをお願いしたら、
『紙がないからできない』と言われたという証言でした。

私はあなた方の事務所を知っていますから、
そのようなことはないことも知っています。

それを聞いてまず思ったのは、
『困っていることをアピールをするのが良い』
と信じて疑わない誰かが『気を利かせて』
やったことなのではないかということです。

ところが、そんなことは
ポジティブに作用する筈もなく、
そう言われた国際機関職員は、

『そんな基礎的な事務用品も調達できない組織に
要請通りの機材を供与したところで、
万が一使いこなせたとしても
使い捨てになるのは一目瞭然だ。
だから要請を却下する決断に至った』

とおっしゃっていました。

あなた方の組織との関わり合いの中で
私自身、何度も

『○○を要請したが貰えなかった』

だの、

「この部品を○○個欲しいといったのに
これっぽっちしか貰えなかった」

といった話を耳にした記憶があります。

でも、その原因については

『どんなにそれを必要としているかを
なかなか理解してもらえなくて』

といったもので、

『如何にそれを有効に利用できるか、
如何に我々にはやる気も能力もあるかを
理解してもらえなかった』

といった方向の発言をする人はいません。

実は日本の調査団からも

『あの現場に出ていない人達が何もしないで
一日中ボーっとしているのは
どうにかならないものだろうか』、

『あんなホコリだらけにしておいて、
機材をきれいに保つという概念がないのだろうか。
掃除するだけでも寿命が違ってくるというのに...』

といったコメントを聞いたことがあります。

ですから皆さん、
私からの助言であり、お願いです。

機材が足りなくて仕事が出来ないから
ボーっとしているところを見せてしまうなんて
言語道断です。

この際
どこかの調査団が来た時だけでもいいですから、

こっちで機械を拭いている人がいる、
そっちで機械を直そうと四苦八苦している人がいる、
あっちでちらかった図書類を並べなおしている人がいる、
等々、

手持無沙汰の人なんかいませんよ、
皆で供与されたものを大事にして
一生懸命働いていますよ

という『芝居』でもしてごらんなさい。

それだけでも印象が変わり、
協議の結果も変わってくるのですから!

あなた方のような優秀な人達が
そうでないように振る舞うのも
そうでないと思われるのも
私としては心外で、
非常に腹立たしいのです!!」

…等々、まくしたててみた...。 >爆!

実は、

「そんなこと分かってらい!」

とでも言って怒られるかなとさえ思っていたのですが、
意外や意外(いや、案の定というべきか?)、

本気で

「おお、なんてことだ!
『困ったアピール』をするのが正解だと思っていたよ!」

と「白状」する人などもいて、

皆、

「よく理解した。ありがとう」

と言ってくれました。(ホッ ♪ ✌)

そのあとは
誰にあげてもいいお土産として持ち込んでいた
100均グッズがいっぱい入った袋を

「皆で分けてね!」

と言って渡して、
時間が押しまくってしまったので、

そそくさにお暇しました。

🌻🌻🌻🌻🌻

翌日は私達が首都マプトに戻る日でした。

ホテルをチェックアウトする直前に
現場のチーフ(この人も受講者)から電話があり、

「気を付けて帰るように」

そして

「昨日の話は忘れないし、
絶対言われたようにしていくから」

と約束してくれました♪ 😊✌

🌞🌞🌞


この時が私がガザ州に赴いた最後だったので、
その後受講者がどうなったかは分かりません。
(というか、同地域に中国の援助が
バンバン入っているのは知っていますが。>苦笑…)

正直、今思い出しても
「大それたことをやっちまったナ」
とも思うところですが、

結局は「困ったアピール」
気のせいでもなんでもなく、

本気でそうするのが正しいと信じて
わざとやっている人がいたと
判明したのですから、

きっとあれで良かったのでしょう。笑

いずれにせよ、
熱くなるとキツイものの言い方をしてしまう Shiomin なので、
その辺は注意しなきゃナと思う次第です…。

🌻🌻🌻🌻🌻

それでは長々と失礼致しました。

そして本日もお読み頂き、誠にありがとうございました!

※ 「落語 猫」はこたつぶとんさんの作品です。











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