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大きな蜘蛛と過ごした日々


モザンビークの田舎町でのことです。

実は私、いい歳こいて不良が直らない
ヘビースモーカーなのですが、

ある時、

日本から到着して、
定宿の「定部屋」にチェックインして、

荷物から仕事道具とお土産を取り出して
事務所に向かい、

夕方帰宅して、
昼間はちらかしたままにした荷物を
定位置に片付け、

ホッとしたところで
一服しようかとベランダに出てみると、

動物園以外では見たこともない、

脚の先から対角線上の足の先までを測ったならば 

20㎝ もあろうかという
黒くて大きな蜘蛛が
巣を張って鎮座していました…。


私の部屋に向かって張り出した中庭の木の枝と
ベランダの壁の隅に2本の糸を渡し、

その2本を足掛かりに見事に編み上げた巣と、
その巣の「住人」です。

私の出入りする扉との距離は2m あるかどうかと
いった近さです。

しかも、アフリカという土地柄、
毒蜘蛛である可能性もあります...。

虫?

正直苦手です。

ただ、虫でなくても、
ふいにピョコピョコ、ニョロニョロ、バサバサと動くものが駄目で、
見るだけなら大好きな鳥も触れません。

一方、
静止状態のものや動きが遅いものはそれほどでもありません。

*****

しばし固まりました…。

「どうしよう...?!」



なんてったって、慣れ親しんだ部屋です。

位置も出口に近くて、忘れ物をした時なども便利な部屋です。

しかも、たった今荷物をばらし終え、
いつもの生活ができるようにしたばかりです。

疲れています。

翌日も仕事です。

ついでに、
かなしいかなスモーカーの性で、

この場に及んでも、
一服することが何をおいても最優先事項。>苦笑

そこで意を決して、蜘蛛には

「お願いだから、そこを動かないでね」

と懇願し、

蜘蛛から目を離さないようにしながら一服し、
その晩はおとなしく寝ました。

*****

翌朝、真っ先にベランダを覗くと、
蜘蛛はいなくなっていました。

巣だけが残された状態です。

部屋には客(私)がいるので、後ほど掃除が入ります。

これなら
帰宅する頃には巣もなくなっているだろうと思い、

ホッとした気持ちで仕事に出かけました。

*****

ところが夕方ホテルに戻ると、

蜘蛛さんもちゃんと帰宅されていました…。

ベランダに出ると、蜘蛛と目が合った気がしました。

相手も困惑しているようでした...。

そして、
改めて意を決して、

「私はあなたに危害を及ぼさないと約束する。
その代わり、あなたも私に危害を及ぼさない。OK?」

と、契りを交わし、

私と蜘蛛の奇妙な「ルームシェア」が始まりました。


つ・づ・く...


ここまでお読み頂き、ありがとうございました!


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