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【寄稿】なわをそめてみた。【やってみた】

 これは自己流なので、一切の責任を負いません。ネットで探しても参考文献となるものがほぼなかったため、手芸サイトでの麻の染め方などを参考にしてやってみました。私は手芸はやったことないです。手芸屋さんに入ったのなんて、スパンキング用に50センチ竹定規を買いに行ったくらいです。それくらいの民がやった記録と感想ということでよしなに。


【はじめに】

私は縄での緊縛を初めて1年程度の民です。好奇心のままに色々なことを経験しており、ひょんなことから縄で縛られたときに、

なんかたのしい!!!!きれい!!!!!やってみたい!!!!!!

となったので、現在も縄を練習しています。

月に1.2回は縄の講習会に行って勉強したり、縄好きの方々と交流したりして楽しんでおります。

縄を自分で作ったのは数回程度、染色は初めての実践です。


みなさん、自分の道具を自分好みに改造していきたい欲に襲われたことはないだろうか。私はあります。

ゴールデンウイーク、時間がある、普段できないことを何か時間をかけてやれるチャンスである。映画やたまったドラマを見るのもいいだろう、だが何かを作り上げたいという欲が出てきてしまったのである。

ならやるしかない。やるしかないのだ。


そうだ、縄を染めよう。

午後九時、気力を使い果たした状態。明日は休みだ。夜更かしができる。

思い立ったが吉日だ!!!!!とその足でSMバーにて麻縄を購入、百円ショップと手芸用品店で必要な物品をそろえて帰宅。

というわけで、大まかな手順が下記。


【縄作りの大まかな手順】


 習っている先生に聞いたやつ、SMバーのワークショップで学んだやつなどを総合すると、縄づくりの手順はこんな感じ。

煮鞣になめ
(縄を沸騰しているお湯で煮込み、縄に含まれているタールを取り除いて麻を柔らかくする)

ゴミ等ピッキング
(麻縄に含まれている麻の殻、ゴミ、不純物を取り除く)

干す

脱色

染色

干す

摺り鞣すりなめ

オイル入れ

炙り

干す

蜜蝋

上記の通り、進めていきたいと思います。




【作業開始!】

午前零時、作業開始。

緊縛縄は基本的にジュート(麻)縄の6mmを使用する。長さは7~10mが多い。

今回は取り回しがしやすく、使用率が高いため購入が簡単な8mの黄緑色の麻縄を作ろうと思う。

麻縄はアダルトグッズ店や縄の専門店、縄の講習会が行われているバーで売っていることが多い。

これらは煮鞣になめしやピッキングなどの下処理がされており、中にはオイルや蜜蝋クリームを入れてあり、買って即プレイできるものまである。

今回は下準備があらかた済んだ縄を使用する。まねーいずぱわー。

今回必要な物品はほとんど購入したのだが、

麻縄2000円が3本、
染色用試料(ダイロンプレミアムダイ)700円、
その他諸々で約700円、

計7400円の出費である。

一応、無加工の麻縄はホームセンターや金物屋に売ってある。畑の柵に使うやつである。

値段的にはとても安いのだが、そのまま人体には使えないため、様々な下処理が必要である。とても時間がかかるし、初心者にはおすすめしない。

大人しく専門のやつを買おう。

(ホームセンターだと園芸コーナーに置いてあるのだが、今回は1mmの麻ロープしか見つからなかった。残念)


【脱色】

麻縄は通常ベージュに近い色である(生成り色)。今回は明るい黄緑色にしたかったので、脱色することに。色素を抜いただけなので特に縄は弱くならないはず・・・自己責任で。

脱色方法は様々あるが、今回は塩素系漂白剤を使用。

使用例の2倍の濃さで希釈をして縄を10分漬けてみたが、なにも変化が見られなかった。そのため原液を入れて3分間揉み込んだところ、きれいに脱色できた。

きっちり水で洗う。ぬめりがとれるまで、洗面台で3回つけ洗いした。所要時間は3分くらい。


ナイロン袋2枚に入れた。上からもみこんだり、普通に手をつっこんで揉んだり(本当は手でやっちゃダメ)
脱色した縄。



【染色】

染料はダイロンのものを使用。6.5Lの40℃のお湯に250gの塩を入れてかき混ぜる。

6L入る入れ物あるか??

家中を探したが無かったため、ごみ袋を採用した。二枚重ねにする。

先程準備した塩水に、染料を混ぜ合わせ、縄を投入。染料が染み込むように15分間混ぜながら揉み込んでいく。

その後時々かき混ぜながら1時間放置。

現在の時刻は午前1時30分。

服に色が付かないよう半裸の成人男性が、ひたすらに緑の液体を揉み込んでいる。

一体何をしているのだろうか。冷静になってはいけない。


色は何となく黄緑色に。好きなのは水色だが、蛍光緑は映えそうな気がしたので。


放置プレーが終了したら色が落ちなくなるまで水洗いし、未脱水で丸1日干す。

(ほとんどの麻縄の作り方では洗濯機での脱水を推奨しているが、今回は麻衣料の干し方を採用している)


濡れ干しってやつですね。



摺り鞣すりなめし】

乾燥が終了したら、摺り鞣すりなめしの時間である。

単純作業で無になれる。楽しい。まるで禅を組んでいるかのよう。


安定した場所に縄をかけ、縄同士をくるくるさせる。


くるくるとしか表現できなかったんや……


右肩と左肩を交互に後ろに引き、縄を動かす。

擦れる音、舞う毛羽。とても楽しい。

人によって様々であるが、今回は擦る作業を20往復程度行った。回数を重ねると縄の質感や柔らかさが目に見えて違うので、ぜひ好みの回数をやっていただきたい。


毛羽が出るので掃除がしやすい場所で、軍手をはめてやることを推奨する。

今回は自宅ベランダで作業を行った。

想像以上に音と振動があるので注意。近所の方に迷惑をかけないよう、細心の注意を払ったことは言うまでもない。

その日は風が強かったため、毛羽を吸い込まないようゴーグルとマスクを着けて作業に臨んだ。着ける意味は全く無かったが、楽しい気分になった。


【オイル】

不審者ムーブを行った後にオイルを入れていく。様々な油の種類があるのだが、今回はベビーオイルを使用した。

ベビーオイルは、
・非常に入手しやすく安価(百円ショップなどで購入できる)
・肌にも優しい
・サラダ油のような食用油よりも酸化しにくいため品質が長持ちしやすい
以上の点を考慮した。

縄に使用する油として、馬油ばーゆやホホバオイル、椿油などが推奨されていることが多いのだが、
・ベビーオイルと比較して高価な点
・夜間に売っている場所が無かった点(ドラッグストアや化粧品売り場、ハンドクリームや香水を売っている場所にあります)
これらの要因により今回の使用は見送った。

縄に使用するものとして、専門店で売っているクリームを入れるのも良いと思う。そのあたりは各自の好みに合わせていってもらいたい。

オイルを手になじませ、縄に染み込ませるようにペタペタと入れていく。

縄の端から端までオイルを入れた後、縄をしごきながら再度軽くオイルを塗り込むようにすると上手く浸透してくれる。

その後、縄の表面にあるチクチクしたものを燃やす「毛羽焼き」を行う。

ガスコンロの火の上に縄を素早く通して、表面だけを炙る。ゆっくりすると縄が焦げるので注意。

また、焚き火のような煤のにおいがするので換気をしないと大惨事になる。

なった。

毛羽焼きにおいて、ガスバーナーやロウソクを使用する方法もあるが、火力不足なのでムラができやすく、初心者には難しいとネットに書いてあった。

家にガスコンロがない人は、カセットコンロを利用することを推奨する。

不要な布で縄を拭いて煤を落とし、匂いが取れるまで半日以上乾燥させる。今回は3日干した。

仕上げにもう一度オイルを入れて、表面を布で磨いたら完成!!!

今回はオイルの代わりに、普段縄の手入れで使用している蜜蠟クリームを塗った。感触がすべすべになるので私の好みである。通販サイトで1000円のものを使用した。


【結論】

1日目
21:00 縄等物品購入
24:00 作業開始 準備10分 脱色20分 染色90分  
26:00 作業終了 乾燥

3日目
11:00 作業開始 摺り鞣すりなめし60分 オイル入れ15分 毛羽焼き10分 煤落とし5分
12:30 作業終了 乾燥

6日目
15:00 作業開始 オイル入れ10分 縄の末端処理 100分
17:00 作業終了 氏


計算したら悲しくなりそうだから、計何時間かかったかは計算してない。

これじぶんでやるもんじゃねぇ!!!!!!

ちゃんとしたところで色付きの縄を買ったほうが、時間的にも仕上がり的にもよいと思います。

けど自分で縄つくるの楽しいよ。みんなもやってみよう!!!!!


脱色したほうがサンプル通りの色が出るかも、蛍光色だから?

向かって左が脱色したもの。右が脱色なし。


内側まで染まらんかった、揉み込みの時に意識したほうがいいと思います。


完成度的にかなしい。多分使ってても見えないとは思う。



【おまけ:レポート形式】

緊縛におけるジュート麻縄の下処理及び染色方法

けん
2023.5.6

要約 

近年SM界隈の中で縄による緊縛の愛好者が増えてきている。その多くは麻縄を使用しており、専門店からの購入が主な入手元となっている。
本研究では、麻縄の下処理の方法の確認及び、市販の物品での麻縄の染色方法を明らかにすることを目的とした。今回の手法では、着手して三日で麻縄の処理・染色が出来ることが明らかになった。淡色で染める場合、麻本来の生成り色と混ざる可能性が示唆された。
多くの手間と時間をかけることにより個人でも麻縄の染色ができることが示された。

使用した物品

ジュール麻縄(以下麻縄)3本 
染色用試料(ダイロンプレミアムダイトロピカルグリーン)1袋
塩素系漂白剤 100mL
計量カップ (500mlが望ましい) 
40Lポリ袋 2枚
ビニール袋 1枚
ベビーオイル 20mL
蜜蝋クリーム 
軍手 1組
使い古したタオル 1つ
40℃の水 6.5L 
食塩 250g
物干し台
やる気

場所
自宅風呂場

方法
1 麻縄をビニール袋に入れ、塩素系漂白剤を入れて3分間揉み込み脱色する。
その後水で洗う。
2 2枚重ねのポリ袋に40℃の水6.5Lと食塩、染色用試料を入れよく混ぜる。
3 2の溶液に麻縄を入れ、15分間揉み込む。
4 その後15分ごとに撹拌を計4回行う。
5 麻縄を取り出し、色が出なくなるまで水で洗う。
6 物干し台にて半日干す。
7 縄と縄をこすり合わせ、縄の毛羽を落とす。
8 ベビーオイルを縄に染み込ませる
9 物干し台にて半日干す。
10 蜜蠟クリームを縄に塗り込む


結果・考察

サンプル通りのきれいな黄緑色に染まった。
脱色していない縄も同時に染色してみたが、黄緑とはならず、抹茶色のような縄になった。生成りの色と混ざったのであろうか。参考文献では赤色の染色液であれば綺麗に染まっていたため、淡い色だと麻の色と混ざりやすい特性がある可能性が示唆される。

麻縄の内までしっかりと染まらず、内面2割ほどが生成り色のままであった。麻縄を入れて揉み込む際、しっかりと撚りの中まで溶液をすりこむ必要があると考えられる。
まだ未使用であるため、麻縄の強度・質感等は詳細不明だが、今後聞き取り調査や実践を介してデータを取り、明らかにしていきたい。


ライター:けん


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