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流行り言葉のゆくえ

先日、僕の仲間たちが、
広範な世代の方々が読まれる文書のなかで、
若者中心の流行り言葉(造語)を使っていた。

例えば「フットサル」ならぬ「フッ軽」。
フットワークが軽いという意味であろうから、
難易度は高くない。
しかし、分かり易い文脈の中で使われない限り、
唐突に使うとわかりにくい。

僕はひとつ、お願いした。
「流行り言葉を使うのは良いですが、
ネット世代でない方もお読みになるので、
別の言葉に置き換えるか、
どうしても使うというのなら、
文脈上で意味が分かるもの以外は
小さなフォントで良いので、
その造語に注釈を入れてください。」

仲間たちからダサいと思われたかもしれない。
しかし、言葉は、誰が受け手であるかを
最優先に考慮したうえで選択すべき。
それが持論。

ネット社会になりSNSの普及により、
若い方々が次々と造語を創るようになった。
言葉の乱れを指摘する向きもあるが、
こうした言葉が流行るには、
間違いなく何かしらの理由がある。
よって、それらは、世相の象徴とも、
現代文化の言語化とも言える。

僕はこの風潮を否定しないし、
「名は体を表す」というように
言葉が醸す意味合いに脳が刺激され、
そのユニークさに感心することもある。

さりとて、会議の席で僕が
「その発想、なかなかエモいね!」
などと発したら、同僚たちの
「その発言、キモイ!」
という心の声が聞こえてきそう。
発し手については、
世代間格差とは限らず、
その人のセンス、
キャラクターが影響しそうだ。

僕が若手の頃のスラングは、
パソコンすらなかったので、
「ナウい」くらいのものだった。
今となれば、「ググる」「エモい」等は
AIエンジンでも登録されている様相。

ちなみに、数年前に流行った
「神対応(と塩対応)」を
僕は大変気に入っている。
人は誰も、自分本位、身勝手になりがち。
常々に「神対応」を心に携えたいもの。

ところで、僕は対外的な文書については、
新聞記者ハンドブックと広辞苑、
国語辞典で用いられる言葉を使う。
これぞ最小公約数的な選択であり、
全世代共通の言葉と勝手に考えている。

一方で、その時代の流行り度合いにより、
言葉辞典に掲載となる場合がある。

こうした均衡に鑑み、
話し言葉や書き言葉においては、
受け手が誰かによって、
ちょっとしたスラングを、
文書や会話の「隠し味」として入れても
良いと思っている。
要は、受け手の関心を引き寄せ、
距離を縮めるセンス。

LINEが今年の2月、高校生に対象に、
これから流行りそうな言葉を調査したところ、
1位は「ぴえん」で、
2位「おはようでやんす」
3位「あせあせ」と続く、との記事があった。

ちなみに、「ぴえん」は
泣いている様子を表すようだ。
僕は全く知らなかった。
ダサいと言われてしまうだろうか。
僕は使わないほうが
良いと感じている。

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