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世界は贈与でできている

近内悠太「世界は贈与でできている 資本主義の「すきま」を埋める倫理学」を読了。人文系の本だがサラリと読める。資本主義は交換の論理だけど、交換のレイヤーの上に積み上げられる〈贈与〉をきちんと受け取れるか、という自分の問題。〈贈与〉は受け手にちゃんと宛先があり、受け取るものを贈与と感じられた瞬間に初めて立ち現れる、という話。僕らを取り巻く日々の等価交換の正しさは身も蓋もなくて、自分の欲望を解決するモノやサービスを出来るだけ安価に手に入れる工夫だとか、自分が差し出すものの価値を上げることの呪縛(資本主義社会に於ける基本的なマナー)で私の日常はガチガチである。そこから逃れるためのひとつのアイデア。マネーとモノが基本的な等価交換のスタイルだが、無形のサービスもそうだし、人と人の付き合いだって。ポストモダン以降の寄る辺なき日常にふっと火を灯すような優しさ。この本に出てくる非日常を引き出す装置としてのSFの話、興味深く読む。殆ど読んでこなかったけど、小松左京、筒井康隆、星新一読んでみようかな。あと、テルマエロマエか。

今年も横浜マラソンへエントリー。これは、¥23,000もの大枚を払って42.195kmを走るという酔狂である。お金を貰ったとしても、この距離を走るのを躊躇う人もたくさん居るだろう。この資本主義社会の捻れと言うべき1日を今年も迎えたい。最近、ジョグをサボり気味なので、生活にジョグを取り戻すところから始めたい。と思いたち、久しぶりに早朝に6km走ったら早速筋肉痛。やっぱり筋肉は裏切らないのだった。兎に角、抽選に当たれ当たれ〜(念)。

横浜のこどもの国へ。ディズニーランドが夢の国なら、こどもの国はこどもの国である(そのままだが)。田園都市線の長津田駅から乗り換え2駅で着ける豪華な公園以上、テーマパーク未満と言った塩梅。入場料も安く子連れ最高の施設。ゴールデウィーク中に2回も行ってしまった。

マーティンスコセッシ × ロバート・デ・ニーロの「The King of Comedy」観る。初見。「Taxi Driver」は勿論大好きな映画だけど、こちらも最高。「JOKER」の元ネタということで最近(最近でもないか)話題になっていたので気になっていたところであった。メディアに対する批評的な視座は勿論、妄想と現実の往来、社会のルールの外側にカタルシスが存在するというテーマ。とても自分の感覚にしっくりくる。カットもいちいち洒落ているし、分かりやすい筋立てで観やすい。笑いとは詰まるところ悲しみであり、フィクションとは実はノンフィクションであり、人生に必要なことは、今ここからの跳躍である。松本人志のコント作品を想起したりも。

残業中になんとなくフリクションが聴きたくなってspotifyで「DUMB NUMB CD」を聴く。このライブ盤初めて聴いたけど、バチクソかっこよ過ぎて残業中に即死。意味不明な日本語、リフ、ディストーション、強靭なビート、うねりまくるグルーヴ。ついつい、イヤフォンのボリューム上げまくる。野暮なことを言うが、ロックバンドはやっぱり最高だ。そうだった、ロックバンドは最高にかっこいいのだった。やっぱり、これだ。30代、自己啓発本にそって残りカスの人生を歩み始めた私はやはり間違っていたのだ。こんな、ゲームみたいな仕事なんてさっさとやめて、デスクに積まれているPCのディスプレイを正拳突きで破壊して、飛沫防止パーティションを軒並み手刀で薙ぎ倒し、オフィスグリコの中のお菓子を全てタダで根こそぎ食い散らかした後、ゴミもそのままに、「おまえら、全員、死ねー!!!」と叫んで帰宅しようと一瞬考えたが、私は来週に〆切の迫った資料の作成をすべく、無言でキーボードを打ち続けたのだった。一瞬魔が差す、22:45のCRAZY DREAM。

愛器Tyler 315-CEがメンテナンスから上がってきたので松下工房へ迎えに行く。fishmanのPUがややノイズが出る時があり、暫定的に針でプチプチやるか、恒久的には弦アースを渡すか必要とのこと。ほぼアンプに繋いぐことはないので、今は良しとする。ちゃんとギターの状態の説明やメンテナンスのアドバイスもしてくれ、ホクホクで帰宅。やっぱり職人は良いな。弾きまくるぞー。打田十紀夫先生、よろしくお願いします。

古館伊知郎のオールナイトニッポンのyou tubeを聴きながら眠りにつく日々。古館伊知郎のバランス感覚と才能に打ちのめされる。このnoteは宛先であって、古舘伊知郎からの贈与を私は受け取っているのだと、独り腑に落ちる。





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