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簡単な解決策っていちばん難しい。

ある課題を解決するというときに、大事にしていることがあります。

それは、「できるだけ簡単な方法で解決する」。

こんな逸話があります。

その昔。米ソが宇宙開発でしのぎを削っていたころ。両国が同時に「無重力の宇宙でも書けるペン」を開発することになった。NASAは莫大な予算と最先端の技術を投じ、「スペースペン」を発明した。通常のボールペンは重力によってインクがボールの先へと落ちていく。スペースペンは内部に封入された窒素ガスの圧力によってインクをボールペン先ヘ押し出すため、逆さでも、無重力状態でもスムーズに書く事ができるのだ。国の威信をかけたこのスペースペンでソ連に勝った。アメリカはそう思った。

一方、ソ連の宇宙飛行士は「えんぴつ」を使った。

どうですか?おもしろくないですかこの話。都市伝説らしいですけど。鉛筆は折れた芯や粉が宇宙船内に舞うとたいへん危険なので、スペースペンがいまも実際に宇宙で活躍しているそうです。

でも、こういうことって意外とあるんじゃないでしょうか。えんぴつで解決できる問題に、スペースペンを持ってきてしまう。頭のいい人ほど陥りがちな罠かもしれません。そりゃかっこいいですしねスペースペン。「やった感」もあるし、自慢もできちゃう。

けれど、難しい方法で解決するより、簡単な方法で解決するほうがはるかに難しく、そしていいことが多い。

簡単な方法は、すぐやれる。
簡単な方法は、お金がかからない。
簡単な方法は、みんなにやさしい。
簡単な方法は、長く続けられる。

簡単な方法って、とってもフレンドリーで、サステナブルで、コスパがいいのです。

だから、解決策を思いついた時に「でももっと簡単な方法があるかもしれない」と考えると、さらによい解決策に化ける可能性があるかもしれません。

いろんなことに言えますが、人間、特に大人って、ついつい難しく考えがちなところがあります。そして大人が「えんぴついいでしょ!」って声高に主張するのは勇気がいるし、賛同する方もセンスがいる。こんだけ莫大な予算かけたのにえんぴつ?幼稚園児かお前は!みたいな。そういうの抜きで「このえんぴついいね」って言えるNASA長官で私はありたい。

もちろん簡単な方法であればなんでもいいわけじゃなく、手抜きっぽい簡単な方法と、考え抜いた挙句に出た簡単な方法は、やっぱり精度も迫力も結果も違ってきます。えんぴつという答えにたどり着く前に、スペースペンやらチョークやら筆やらいろいろ考えることは無駄じゃない。

できるだけ簡単な方法で、解決する。
できるだけ少ない手数で、解決する。
できるだけ面白い方法で、解決する。

解決する時の3つの大事。今週はひとつめを書きました。つづきはまた別の機会に。ではまた来週。

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