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本の紹介『上達の法則』岡本浩一   ~効率よく上達して、人生を豊かに~

mangara(@mangara08)です。今日ご紹介するのはこちらの新書です。

上達の法則

まず筆者曰く「本書で上達というのは、ふつうの生活をしている私たちが、人並みの適性のある技能に、そう無理ではない練習量で、まあまあ一人前のレベルに達しようとする過程である」とのこと。

この観点面白いですよね。「超一流!」「トッププロ!」とかでなく、

「英会話なら、外国に仕事でひとりで行くことになっても、そう困らないだろうと思えるレベルに達すること。(中略)絵画や書や写真撮影なら、小さなコンテストに出して、佳作に入るという可能性が少しはあるレベル」

このくらいの感じ、いいですねえ。

そして、なんらかの技能でそれなりのレベルに達していると、

「自信から来る穏やかな楽観性を身につけ」

「他の技能の上達にも応用ができる」

「物の見え方が変わる」

履歴書の「特技」の欄に書くことがある、みたいな感じとも言えるかもしれません。

では、具体的にはどのように上達していけばいいのでしょうか。

個人的にヒントになりそうだと思ったことを箇条書きにしてみます。

1.忘却の頻度を意識して練習頻度を組み立てる。

人は「24時間後」「72時間後」「7日後」に大きく短期記憶を失ってしまうのだそうです。

なので何かの練習・レッスンなどは週2回くらいがよいのではとのこと。

データ的には週3回にしてもそれほど差がないらしく、参考になりますね。さらに増やしたいならほぼ毎日にすべきだそうです。

また、復習や宿題はとても大切だなあと改めて思います。

2.得意な部分・好きな部分から伸ばす

好きな部分を見つけて集中的に練習してみる。

プロを目指しているわけではないので、実際の向き不向きは置いておいて、なんとなくの好みで選んでいいそうです。

3.やる気が高いほど覚えやすい

愛着を持ち、本気で取り組んでいればいるほど、記憶は定着しやすくなるとのこと。

たしかに、記憶力が悪いと嘆いていても、好きな選手やアイドルの名前ならたくさん覚えている人はいますよね笑

4.ノートをとる

記憶だけでなく、いちど言語化することで処理しやすくなる。

またノートに取るために「いちど覚えておく」という行為がワーキングメモリーを鍛えてくれる。

ちょっとした一言でもよい。

それに、なにかに気付いても書き残さないと結構忘れてしまいますからね。

5.概論書・理論書を読む

浅く広い知識・理論的思考を身につけることで、経験を有効に上達へとつなげる。

さらに細かい差異に気づけるようになる。

6.一つのことを精密に学ぶ

音楽ならば一つの曲だけを細かく仕上げてみると、他のことにもよい影響が出てくる。

また、非常に得意なものを作ることで自分への要求水準が高まり、さらにやる気が上がる。

7.模倣や暗唱をする

同じ動作をすることにより、深く上級者の感覚を理解できる。

情報処理能力や感性が高まり、違った視点を身につけられる。

どうも欧米系の友人と話すと「意味が分からないのに真似や暗記させても仕方がないだろ?」みたいな意見が大勢を占めるのですが、

それはそれで人間の頭脳をちょっと甘く見てるんではないかと。

例えば小林秀雄がある対談で言っていたように、

論語を暗記しておき、ふと思い出して納得できる、なんてことも立派な暗記の効用だと思います。

8.達人と触れあう

その道の一流の人に会うと、思考のスキーマ(枠組み)を些細なことから実感できる。

関係ない立ち居振る舞いや態度からも得られるものがある。

また、意外な間違いも貴重な教材。

対談記事や身辺雑記なんかそういう意味でも面白いですよね。

9.ある程度お金のかかる道具を買う

お金をかけていると、さらに愛着が湧く。

作家の保坂和志さんも、本は買ったほうがいい、

図書館というのは買えない絶版本を借りるための場所で、

たくさん本にお金を使わないと文学への愛は育たないとおっしゃっていました。

あるいはもっと身近なことで言えば、「英会話スクールに毎月2万円も出しているんだから、絶対に元を取るぞ!」と必死になったりとかね。

10.「後退しなければ前進している」

伸び悩んでいるときは、疲労が溜まっている場合もある。

しかし、プラトー(拙記事をご参照ください)に陥って上昇が止まっているときは、「後退しなければ前進している」というのを忘れず頑張る。

また反復訓練や日々の記録はスランプ脱出に有効。

11.マラソン的な鍛錬をしてみる

短期留学や日をまたぐ競技会などに出る。

ただし、おかしな癖がつきやすいので行う時期は慎重に考える必要がある。

これは本当にそうだと思います。

たとえば語学の「化石化」。

ある事柄を間違えて覚え、修正しないまま使い続けるとそれが固定化してしまい、非常に直しにくくなる、という事象です。

初心者がいきなり留学したりするのはやめたほうがいいと思っています。

最後に

ポイントはたくさんあるので、いくつか取り入れられそうなものだけ取り入れていってもいいかもしれないですね。

例えば、   

「週1だったレッスンを週2にしてみる」(1)(9)

「気付いたことをスマホにメモするよう習慣づける」(4)など

理論的な解説も多い本でしたが、人生を豊かにするために何かに打ち込む、という視点がとてもいいなと思いました。

「仕事以外に多様な自己実現の場を持っている人達がいる。(中略)このような人達は、仕事以外にも、何ヵ月間、あるいは何年間かにわたって自分の成長をはかり、自分の力量をみつめ、自分の生活のなかに、鍛錬の努力や時間を調和させていくことを楽しみとして知っている。(中略)自発的な意志でこのような情熱の燃やし方を知っている人は、一段高い自発性と、上達した自信から来るおだやかな楽観性を身につけている。それが潤いとなって、人柄から香るのである」

上達って楽しいですよね。

自分も、なにか新しいことに取り組んでみようかな、という気持ちになれました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

mangara(@mangara08)













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