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「学際」

 「言語訓練専門職員」はスピーチ・セラピストSpeech Therapist(STエスティー)ということがわかった。「セラピスト」、、令和の今(2024)ネットを見ると「セラピスト」という人が多くいるようだが、昭和の当時は一般には馴染みの薄い言葉だった。でも、何か響きがいいな、、「セラピスト」

ふーん、STの基礎科目は心理学、言語学、医学の3本柱か、加えて福祉も学ばなければならないんだ、、幅広い領域だ。

 まず心理学。心というものを初めて知った気がしたのは、加藤諦三の「賢い生き方、愚かな生き方」を読んだ時だった。その後、日本人の心象を精神分析の視点から捉えた名著、土居健郎の「甘えの構造」などに感銘を受けていた。ユングと河合隼雄氏の存在を知ったのもその頃だったと思う。加藤諦三と共に、その後長く私の心を占める大きな存在になった。3度講演に足を運び、ユングクラブにも入会した。会員番号はハ−100で、実家の番地と同じだ、と縁も感じた。ずっと後に高知の講演会で著書にサインを貰った時のことを覚えている。

心理学は得意科目かな、と勝手に思っていた。

 言語学は苦手、、😅そもそも話はしない方でお喋りも上手くはない。どちらかと言えば聴く方。ただ英会話は好きで大学は英語科か社会学かと悩んだくらいだ。英語で話すと仮面を被れた気になり、解放感を感じられたからだろう。結局は社会学を選んだが、サークルは英会話研究会に入り半ば趣味に。そうだ!STになれば少しは人と気軽に話せるようになるかもと密かに思ったものだ、、🤛

 そして、医学。最も興味があり学びたいと感じた分野。STは後にほぼ医療職として国家資格化されることになる(1997年)が、細胞や人体の組織、そして分子や原子という物質がどう心と結びつくのか、、大きな神秘を感じていた。精神科医で神経症の権威、森田正馬(まさたけ)や「心の旅」がベストセラーになっていた神谷美恵子にも惹かれていた。無事学生になって献体(医学の発展のために死後の身体を差し出した人の体)の方の頭皮をめくって頭蓋を開きヒトの脳を始めて手にしたその時を今でも鮮明に覚えている。そうか、こうやって頭蓋から脳を取り出すんだ、、と感心した。

 福祉学は弱者への優しさを社会へ結ぶ手立てを学ぶ学問。当時は何故だかどんよりとしたイメージがあった、、 最近は「支援」や「超福祉」「インクルージョン」という言葉も出てきてこの分野の未来にピッタリな気がする。

 STが必要とする学問は、他にも統計学や音響学など理系と文系の混在で、こういうのを「学際」と言うことを知った。社会学で一番好きだったのは社会心理学だった。新フロイト派であるエーリッヒ・フロムの「自由からの逃走」はとても興味深かったが、学生の頃の私には難しかった。私にとってのフロムの一番はST学校時代に読んだ「愛するということ」で、今も愛読書。そうか、社会学も学際的だ、、社会と人、対象は違うがSTとの共通点を見つけた。

 そうして、その言語訓練の現場を見てみたい!と思った。

📕この頃読んだ本
「日本人の内と外」司馬遼太郎・山崎正和 中公新書
「日本人の周辺」加藤秀俊 講談社現代新書
「男と女の歴」諸井薫 角川文庫
「思い込みの心理」加藤諦三 三笠書房
「生と死を考える」デーケン・曽野綾子 春秋社
「菜の花の沖」(〜6) 司馬遼太郎 文春文庫
「氷壁」井上 靖  新潮文庫
「モラトリアム人間の時代」小此木啓吾 中央公論社
「甘えの周辺」土居健郎 弘文堂




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