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NくんとTさん

 いつの年代でも新しい友人👬ができるのは嬉しく楽しいことだ。この学校(名古屋文化学園言語訓練専門職員養成学校)で出会って卒業後も長く付き合いがある二人が、NくんとTさんである。

 Nくんは素晴らしい臨床の素質をもちながら数年でSTの世界を後にした。新聞配達のバイト仲間でもあった。彼がSTを辞めた後も交流は続き、私の人生の転機には必ず会いにきてくれた。STとしての最初の地だった高知、母校の講師として働いた名古屋、そしてUターンした熊本の実家にも来てくれた。彼は大学では剣道部の部長と応援団長もしていて、スポーツ刈りで快活で裏表がなく、本当に優しい性格だった。授業中にふと見ると居眠りもしてたが、、、😆

 そんな彼の本領発揮の場面を見た。よく憶えてるが、それは臨床実習での小学生の自閉症のお子さんへの接し方だ。私が見るに、クラスで一番上手かった。セラピーの技術以前に人として対等に相対しているのが分かるのである。クラスの誰もがどう接したら良いのかわからない、、ある人は身体が拒否している、、プログラムを立てたものの上手くは行かない、、私といえば、キャッチボールの課題だったが、そもそも呼んでも私の前に来てくれないのである。私の周りを手をヒラヒラさせながら走り回っていた、、🏃 「〇〇くーん、キャッチボールやるよ〜」と連呼しつつ、しゃがんでボールをバウンドするしかない、、、堪りかねたのか担当の I 先生が彼の身体をギュっと捕まえて私の前に連れてきた😅 、、行動療法の実習だった。そんな中で光っていたのが彼である。

 その彼が何故STを辞めたのか、、日本では名の通ったな小児の施設に就職した彼、そう言えばその事については話した記憶がない。。

 そしてTさん。今もバリバリに活躍中である。私より少し歳下だったが福祉職からの転職を目指していた。とても温厚で寛容な彼は既に家族をもっていた。彼も最前列で私の左、Nくんは2列目で私の後ろが定位置だった。クラスの皆は一年という短い中で目的を共有していたのでとても仲が良く、ある時皆でTさんの家に行こう!となり5、6人で押しかけた。当時よくあった畳二間とキッチンの小さく可愛い一軒家。奥さんと3、4歳だったろうか、息子さんが出迎えてくれた。息子さんはお隣りの家族について外出できるほど大人びいていて驚いた。奥さんは小柄で、そこに座っているだけで暖かさが伝わってくるような人だった😊

 Tさんの宅には卒業後も学会出張の時など2、3度泊めて貰った。そう、学会発表のデビューも同じで二人並んだ写真がある。その内に邸宅のような大きな家を建ていて驚いたが、庭と縁側のある大広間を前に「ここで失語症の人たちと友の会をしたい!」と、その為に建てたように聞こえたほどの大きく立派な家だった。スゴイ!Tさん😀と感心した。その後も医学博士をとり国立の大きな病院でST科長などの職についていつもエネルギッシュに活躍を続けている。

 先日、ネットで彼の人懐こい顔を見つけた、メガネに映る彼の大きな目(彼は強度の遠視)が私の目に飛び込んで来た。なんと、嚥下障害の講師としてリハビリテーションの分野で有名な動画配信教材のリハノメに出演しているのである。評価も高い🤗

 クラスの殆どは病院に就職したが、その後Nくんと同じように多くのクラスメイトが辞めている。。その理由は様々だろうが、私が病院で働く中で薄っすらと感じ始めたのは、スピーチセラピーという仕事、これは病院という、言わば人生の非常事態の場が中心であるべきだろうか、、という事である🧐

 今改めて感じているのも、STは福祉や教育の場でもっと多くの人が活躍している、というのがあるべき姿ではないかという事である。

🖥️PTOTSTのための動画配信リハノメ https://www.gene-llc.jp/rehanome/

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📕1990年6月に読んだ本
「脳〜1400gの宇宙」小出五郎 朝日選書
「こころの旅」神谷美恵子 みすず書房
「精神分析読本」大橋秀夫 サイエンス社


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