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Hit the spot=あそこを直撃する...ではなく、満足感が満たされる、になる理由[物語のある英語 Vol. 32]

直訳すると「あそこを直撃する」という、何やら痛そうなフレーズ。Spotは、ピンポイントで照らすことができるスポットライトお馴染みで、「箇所」という意味だ。なぜHit (打つ)とthe spotが組み合わさることで、満足感が満たされるという意味になるのか?今日はこの表現と、他の「hit」を使った表現を見ていこう。

1.Hit the spotは元々はアーチェリーが起源だった

アーチェリーの的の中心の点のことを「Spot」と呼ぶ。矢を放って、真ん中にズドン!これほど爽快なことは無いだろう。私自身はアーチェリーは未経験だが、ダーツでも真ん中(the spot)に当たれば(hit)爽快だろう。

みんな真ん中に矢を当てたいと血眼になって放つので、見事中央を射止めれば大きな満足感が得られる。このことから、「hit the spot」は満足感が満たされるという意味になったのだ。

非常に広い範囲で応用ができる。

Iced tea hits the spot during the hot summer months.
(暑い暑い夏にアイスティーを飲むと、大変スッキリする。)

クーッとうなりたくなるような気持ちが読み取れますね!もちろんビールでも。

A cold beer sure would hit the spot.
(やっぱり冷たいに限るね!)
(冷たいビールこそ欠かせない)

疲れた時、足のツボを押してもらうと異様に気持ちいのと同じで、冷えたビールを飲むこと=幸せのツボ、と思ってもらっても良い。何かが自分をピンポイントで幸せにしてくれる時に使える表現なのだ。

美味しかった!と表現したい時に「It hit the spot !」と言っても良いので、taste goodやdeliciousに飽きた人は使ってみよう。

ちなみに私のように先生をやっている人は、自分の学生が名回答をした時に「hit the spot」気分になる。

You really hit the spot with that answer—good job.
(何という素晴らしい答えだ。素晴らしい。)


ちなみに、先週人生で初めてダーツをし、その時「上手い人のプレイを見た後に自分でやってみると短時間だけ上達する」というミラーニューロンの原理が英語にも応用できるのではないかという記事を書いたので、周りに英語の達人が多い人は読んでみると役に立つかもしれない。

2.Hit the books = 勉強をする 

腹いせに本を叩く、ではない。Hitには「始める」という意味があるのでhit the booksで勉強を始める、となる。開始の合図に手を叩いたり、太鼓を叩くことがあるので、「hit = 始める」となるのだ。

I can't go out tonight. I need to hit the books.
(今夜は遊びに行けないよ。勉強しなきゃいけないから)


3.Hit the road = 帰る

先ほどと同じノリだ。Hit (始める) + the road (道を)、で帰路につく、だ。

Time to hit the road, bye !
(帰る時間だ、じゃまた!)


4.Hit the sack = 寝る

これも、Hit (始める)+sack (袋)で、寝始めるという具合かと思いきや若干違う。19世紀、干し草を入れた袋を布団として使っており、毎晩寝る前に、干し草に熊手を下ろして(hit)、集め、袋に詰めていたのだ。今でこそ布団で寝るが、このように昔の習慣が表現に残っているという場合も非常に多い。

物語を感じるし、そこに味があると思わないだろうか?

I’m exhausted. I think it’s time for me to hit the sack.
(ヘトヘトに疲れた。もう寝る時間だな)

まとめ:Hitには打つ以外にも、始める、の意味がある


いつも記事を読んでいただきありがとうございます。英語学習に苦しんでいる方、つまらなそうに嫌々語学を学んでいる方が周りに居ましたら、シェアしていただければと思います。楽しく、深く、語学に取り組める人が1人でも増えたら幸いです。