【迷子と郵便配達人のリアリズム、儚き意味に意味を】『トイ・ストーリー4』(ジョシュ・クーリー)

ブリコラージュという遊びそれ自体から生まれた神の子フォーキーを鏡としてウッディが聞いた内なる声は、極めて現実的な交換・流通される商品としてのおもちゃの声。自らの使命を郵便配達人とするウッディは子離れを決意する親そのものである。ネオン煌めく移動遊園地、そして迷子。圧倒的交流の中で迷子をできる限り少なくしようという、ある理想へ向かう現実的な運動。つまり、元は先割れスプーンだろうが今やカラーモール・アイスの棒・粘土を纏ったからにはおもちゃなんだというように、関係性からしか生まれない意味の儚さを認識しつつも、意味があることに価値を見出し、意味の獲得と意味の遂行に邁進するリアリズム。艶かしいほどの質感を表現するアニメーションと劇的な照明効果、そして主人公はおもちゃという虚構の素晴らしさ。

トイ・ストーリー4(Toy Story 4)/ジョシュ・クーリー(Josh Cooley)/2019

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